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Gt.さゆら

Vo.春

Ba.LAYHA

Dr.たつき

SCAPEGOATが初となるフルアルバムを完成させた。タイトルは『「デキソコナイ」の「林檎」』。4月1日にリリースされるので、是非とも聴いていただきたい。また、6月には東名阪ワンマンツアー【バイバイ「大嫌い」な世界】が行われる。ファイナルは6月25日、TSUTAYA O-WEST。【森羅万象TOUR】を経て、成長した彼らが見られるのは間違いないだろう。

――『無限回廊』では4回に渡り“森羅万象・パート別対談”を行ってきたわけですが、SCAPEGOATのメンバーが散り散りになって話すのは新鮮でしたね。
春:僕だけ、別口でした。
――そうでした。振り返ってみていかがでしたか?
さゅら:すごく緊張しました。
たつき:ドラム対談は、最初からいきなりモノマネしました。相当無茶しましたよ(笑)。
LAYHA:それを聞いてモノマネの練習をして来ましたからね、ベース対談。
――すみません、披露する機会を設けなくて。
さゅら:せっかくだから、今やりなよ。
LAYHA:やらないですよ(笑)。でも、最初はベース対談ってどうなるのかなって思ったんですけど、Ivyくんが来てから盛り上がりましたね。
春:ヴォーカル対談は撮影の後ということもあり、遅刻者はいなかったです。
さゅら:もう片方のギター対談はどうだったんですか?
――終始にぎやかでした(笑)。
さゅら:うちのグループは、対談をやるまであまり面識がなかったんです。でも、さっき、マイバクさんと対バンをやってきたんですけど、仲良くなりました。
LAYHA:写メまで一緒に撮るようになって。
さゅら:笑顔で話しかけられるようになったので、対談をやって良かったと思います。
――森羅万象ツアーが始まる頃には、他のバンドとももっと仲が深まっていると良いですね。始まる前には何と、初のフルアルバム『「デキソコナイ」の「林檎」』がリリースされます。
春:ちょうど、ミックスとマスタリングが終わったばかりなので、ライヴが空いていたんですよ。でも、今日ライヴをやってみて、やっぱり座る作業よりもライヴは良いなって。解放された感じがしました。
――たしか、制作をスタートさせたのは昨年でしたよね?
春:そうですね、昨年から取りかかってました。「眠れない僕の趣味」をアルバム先行として考えていたので長丁場となりました。
さゅら:でも、飽きるってことはなかったです。充実して作ることができましたね。
――今回もヴィジュアル面が特化していますよね。せっかくですから、本作でそれぞれに立てたヴィジュアルイメージを聞きたいなと。
たつき:僕の中で、メイクや衣装が完成したなと思えるのが、「眠れない僕の趣味」をリリースしたときなんです。これでたつきになれたっていう自信があったんですけど、アルバムを出すということになり、完成したばかりなのにどうすればいいんだっていうのが正直なところでしたね(笑)。だから、今回はけっこう考えて、メイクさんとかにも色々と相談していきました。そんな中、最初から決まっていたのが目を出すことで。フルアルバムだけに、フルに開眼してしまおうと!
――まさかのギャグですか(笑)。
たつき:いえ、真面目に(笑)。でも、先にアー写を出したらファンからもとても評判が良くて。また、両目を出すことによってフロアも見渡せることができますし。気がつけば目だらけになったので、もう僕に隙はないです。
――みなさんから見て、たつきさんの今回のヴィジュアルはいかがです?
春:攻めていて良いと思います。うちのバンドは、事前にきちんと打ち合わせをするんですよ。自分のやりたいものを先に提示することで、お互いに「それはそっちの方がいいよ」とか「あっちの方が良かったかな」って言い合うんです。もちろん、そのやり取りにはメイクさんも交えてバランスを取ってもらっています。
たつき:やっぱり、衣装を纏うことやメイクをすることによって変われるんですよね。自分が何を演じたいか、脳に命令がいくんだと思います。
――では、今回のヴィジュアルイメージにタイトルを付けるとするなら?
たつき:“MAD EYE”。直訳すると、狂った眼です。
LAYHA:かっこいいな(笑)。
――LAYHAさんは作品をリリースする度に、ワイルドなヴィジュアルになっていきますね?
LAYHA:「COUNT D[a]WN」の頃かな、自分のヴィジュアルイメージは何だろうと探していて。それで「サイコな晩餐」でようやく自分のやりたいことが見えてきたんです。最初は衣装でインナーを着るはずだったんですけど、ふと、傍に落ちていた布を上裸のまま羽織ってみたんですよね。そうしたら、意外としっくりきて。デザイナーさんともこれは良いんじゃないかっていうことになったんです。
――今のスタイルは偶然の産物でしたか。
LAYHA:そうなんです。そこから引き続きワイルドな路線でやっているわけですけど、自分の中で1本のスタイルが確立できた感じがしますね。キャラになりきれるというか、やり甲斐があります。
――ただ、つねに見せられる体作りをしていないといけないという大変さも。こうしたスタイルを築いたことで、反対に太れなくなってしまいましたね?
LAYHA:大変さはないです。僕の今の体脂肪率、6%ですから。
さゅら:アスリートだね、それ。
LAYHA:ナチュラルに6%。きっと、元々の体質なんです。
春:1度、ツアー中に太らせようっていう企画もあったぐらいなんですよ、細すぎて。
さゅら:で、食べろ食べろって(笑)。
LAYHA:僕は太りたいなんて一言も言ってないんですよ。ヴィジュアル系は細いっていうイメージが僕自身にあるので、このままで良いんです。とか言って、急に太り出したらどうしましょう。
さゅら:そうしたら、インナーを着るしかない。
LAYHA:それ、実際に着出したら太ったって思われるでしょ(笑)。
さゅら:たしかに(笑)。
――では、そんなワイルドな自分に向けてタイトルを付けて下さい。
LAYHA:衣装のタイトルでいいですか。それなら、“横須賀”。
――もしや、どぶ板通りを意識しました?
LAYHA:はい。柄を見てパッと思い付いたのがそれでした(笑)。まぁ、しばらくは、バンド内のワイルド担当で行きたいと思います。
――さゅらさんは、どういったイメージで今回のヴィジュアルを選んだのでしょう?
さゅら:今までずっと黒を着ていたので、今回は白にしてみました。SCAPEGOATのヴィジョンを決めるときに「ブラックリスト」ではみんなで揃えていたんですけど、それとは反対にみんなで散っているのも良いんじゃないかって。個性が強い分、強制するとイヤになってしまう人が多いので、それなら全部散らした方が良いんじゃないかって思ったんですよね。全員で並んでみると、バラバラな分、そこに違うバンドが存在するように見えるんですけど、ステージに立って4人で集まったときにパワーが出るというか。なので、僕はテーマありきで考えていった感じですね。“白”と“廃虚”のイメージを取り込んで、こういう風になりました。
――タイトルは“白”と“廃虚”でいいですか?
春:えっ、“白い巨塔”?
――そうなると白衣を着ないといけません(笑)。
さゅら:じゃあ、“カルピス”で。
春:意外すぎる答えが!
LAYHA:見てくれる人に初恋の想い出を、って?
さゅら:甘酸っぱさを残していきたいと思います(笑)。でも、自分では最初、黒から白に行くのってどうなんだろう、間逆なだけに冒険してしまったかなって思ったんですけど、アー写を出してみてファンの方から「良いです!」って言われたので安心しました。
――楽器隊のヴィジュアルイメージはこのような感じだそうですよ、春さん。
春:いやー、すごいですね。ヴィジュアルにタイトルを付けるって初めてなんで面白いです。僕は、衣装の打ち合わせでアー写の明確な雰囲気というのが浮かぶんです。「サイコな晩餐」でシックな感じにしたので、逆に「眠れない僕の趣味」は変化球でいこうと。なので、アルバムは定番にしたかったんですよね。1度、「赤いバスルーム」で出したヴィジュアル系っぽさ、そこに近いものを出したいということを今回の打ち合わせのときに話して。
――先にコンセプトをがっちりと固めていたのですね。
春:今回のヴィジュアルイメージは、ザ・ヴィジュアル系なんです。で、そこにタイトルを付けるとなると、“漆黒の翼”ですね。
――素敵です。それぞれに違うことは写真を見れば一目瞭然なのですが、こうしてヴィジュアルイメージを伺ってみると、想像以上の答えが返ってきて面白かったです。
たつき:僕としても、以前よりアー写を解禁するのが楽しみになりました。自分たちのファンからの反響はもちろん、周りの関係者の皆さんも、アー写を見てSCAPEGOATが気になったって言ってくれるんですよ。そう考えると、どんどん良い写真が撮れていっているのかなって気がします。
春:前は、SCAPEGOATでかっこいい写真を撮ろうとしていたんですけど、今はSCAPEGOATのこの作品に添った写真を撮ろうっていう考え方になってきたので、アー写も1つの作品と捉えられるようになったんですよね。そこは自分たちとしても大きいかなと思います。
――映像に対しても同じ考え方ですか?
春:間違いないです。
――改めて本作の魅力を教えていただけますか?
春:出来上がってみると、イケイケな曲が多いなと。中でも、「輪廻はじめました」と「スクラップガール」は相当に尖っている曲だと思うんですよ(笑)。本当に、1曲ごとに個性があるんですよね。ライヴで暴れられる曲もあるし、アルバムとして深いところを突いたなと思える曲もある。だから、結果的にイケイケになったんだと思います。また、そういったところがSCAPEGOATらしいなって。あと、歌詞は「呼吸」が今までとは違う書き方をしているので、新しい攻め方をしていると思います。また、通常盤には僕が監修したブックレットが付いています。曲に合うような感じのものが出来たらなと思っていたので、1曲をモチーフとした挿絵も描いてもいるんですよ。面白い作りになったと思います。
LAYHA:僕は「呼吸」が気に入ってます。こういうバラードを聴きたかったという人は多いと思うんですよ。自分自身が聴いていてそう思うので。あとは「蕾」も良いですね。ベストソング賞をあげられます。「呼吸」は審査員賞かな。
さゅら:グラミー賞まではいかないんだ(笑)。
春:いつも、こうやって言ってメンバーで盛り上がっているんです(笑)。
LAYHA:激しい曲ってお客さんとの一体感を求めて演奏するだけに、パフォーマンスも大きく見せないといけないなって思うんですけど、この2曲に関しては弾くことに徹することができるというか。そこは弾き手として気持ち良いところです。
たつき:「呼吸」も良いんですけど「輪廻はじめました」も僕は好きで。「輪廻はじめました」は、他の曲のドラムのアレンジを考えていたときに送られてきた曲だったんです。聴いた瞬間からこれはヤバイと思って、寝るのも忘れてツーバスの練習をしたぐらいなんですよ。
さゅら:ただ、あまりにも興奮していたんでしょうね。レコーディング当日はペダル踏みすぎだったんですよ。それで僕と春が、そこはもっと抑えてってダメ出しをして。
春:メタリカにしか聴こえなかったんで(笑)。
たつき:きっと、愛情をかけすぎたんでしょうね。でも、最後だけは意地で踏んでやりましたけど(笑)
――すべての作曲を手掛けただけに選びにくいとは思いますが、さゅらさんとしてはどの曲が気に入っていますか? さゅら:「蕾」と「呼吸」もグッとくるんですけど、メンバー脱退後、この4人で気持ち新たにバンドをやっていこうと思って作った「COUNT D[a]WN」は、今回録り直してみてベストソング賞になりました。あとは「幼女A~Hide and Seek」もライヴで多くやっているだけあって、SCAPEGOATを表わす曲になっていると思います。そして、「-666-」は自分たちの意気込みを込めた曲でもあるので自分自身に弾くような気持ちで録っていきました。
――良い作品に仕上がったと思います。曲や映像はもちろんのこと、衣装やメイクも注意して見てみると新たな発見がありそうですね?
春:曲、歌詞、映像、ブックレットに至るまで、1つのパッケージとして楽しんでもらいたいですね。これから始まる森羅万象ツアーでは、僕たちのことを初めて観るという人も多いと思うんです。そこも踏まえて、アルバムの曲も演奏しようかなと。自分らのSCAPEGOATを見せれば問題ないというか。初めて観るからってとまどうってこともないと思うし。>
――心構えをする必要はないと?
春:そうですね。他のバンドさんもいるので、イベントを楽しもうという気持ちで挑んでもらえたらいいなと。できることなら、『「デキソコナイ」の「林檎」』も聴いておいてもらえたら、より楽しめると思いますよ。あと、6月には東名阪でワンマンツアーをやります。アルバムを引っさげてイベントツアーを回ってからのワンマンとなるので、ある意味、集大成的なものになるんじゃないかなと思いますね。

Interview:ERI MIZUTANI