Gt.暁

Vo.勇企

Ba.IORI

Dr.和春

勇企、暁、IORI、和春の4人で結成されたDOAK。バンドコンセプトは“ヒューマニズム”であるが、それだけにとらわれない音楽性を提示したいと、メンバーは言う。それは、バンド名についても同じ。響き重視で決めただけあって、特に意味はないそうだ。そうしたのは、先入観なしで楽曲を聴いてもらいたいから。その言葉の本質を、7月1日にリリースされる初のマキシシングル「揚羽-ageha-」で受け取ってもらいたい。

――4月1日に結成されたということですが、DOAKを立ち上げたのは勇企さんですか?
勇企:そうなんですよ。いきさつとしては、僕が骨をうずめられるバンドを作りたいと思ったのがきっかけです。それで、色々なライヴハウスを毎日転々として、良いメンバーがいないかと探していたんですね。そうしたら、ある日、光る人材を見つけまして。それが、ギターの暁だったんです。彼のことは昔から知ってはいたんですけど、ステージをちゃんと観たのはこれが初めてで。とにかく、華のあるステージングをしているなと思い、一緒にやりたいなと声をかけました。
――それですぐにOKをもらったというわけですね。
勇企:それが、OKをもらうまでに実は1年以上かかったんです。そのとき彼はまだ他のバンドに在籍していて。でも、どうしても一緒にやりたいと思い、とりあえず声をかけてみたんです。ほんと、自分の直感のみでしたね。だからと言って、そんなすぐには応えてくれるわけもなく。彼は自分が在籍していたバンドに愛情があったので、こちらの要求に対してOKは出してくれなかったんです。でも、そんな筋の通ったところがまた良いなと。そのぐらいの方が人間性もしっかりしているじゃないですか。きっと、恋愛と似ているところがあると思うんですよ、バンドって。なかなか落せない分、こっちは余計に燃えてしまって。
――なるほど(笑)。
暁:いや、そこは駆け引きをしていたというわけではないんですけどね(笑)。
勇企:しばらくしてから、僕が単発でセッションライヴに出ることになったんですけど、そこで暁とステージで共演することになって。それがきっかけで、一緒にバンドを組んでくれることを決めてくれたようです。
暁:在籍していたバンドを辞めて、心の整理が付くまでは新しいバンドはやらないと思っていたんです。でも、そんな中で僕と一緒にバンドをやりたいと何度も声をかけてきてくれたのは嬉しかったですね。元々、僕も好きなスタイルのヴォーカリストではあったので。数年前から知り合いではあったんですけど、かっこいいと思っていたので、一緒にやるって決めたときには僕の心の整理も付き、このバンドで骨をうずめたいと思いました。
勇企:と言ってくれていますけど、あのときの僕は相当やばかったと思いますよ。なにせ、暁が出る都内のライヴには全部行っていましたから。
暁:あはは(笑)。一緒にやろうと思った決め手は、やっぱり歌声ですね。ヴィジュアル系をやろうと思う前から勇企さんの前のバンドのCDを買っていましたからね。
――そうでしたか。しかし、根気よく口説いてみるもんですね。
勇企:そうです、異性もバンドも一緒です。
――勉強になります(笑)。しかし、ここからまたメンバー探しに苦戦したそうではないですか?
勇企:出会うまでは、たしかに長かったです。
暁:こいつだ!っていうメンバーがなかなかいなくて。バンドって家族と一緒だと思うんですよ。だから、技術だけ持っていてもだめで。それよりも人間性が合う方が良いと考えたんです。それで知り合いに、誰か良いベースいない?って話をしたんですね。そうしたら、IORIの情報をもらって。実際にライヴを見に行って、すぐにこいつしかいないって勇企さんと決めました。
勇企:それまで色んな方と会ってスタジオにも入ってみたんですけど、ジャストにピンとこないというか。それがIORIのステージングを見たときにピンときて。それは暁を見たときと一緒でしたね。
暁:その後すぐに曲を渡して、3人で会いましょうっていう段取りを付けたんです。
IORI:でも、あのとき、ライヴ始まる15分ぐらいに2人が見に来るっていうことを聞いて。しかも、自分よりも上の立場にいる人が来ると思ったら、何で急に来るんだろう!?って。
――何か怒られるんじゃないかと思ってしまいます(笑)。
IORI:自分がいたバンドは既に解散が決まっていて。それで、解散を迎えるまであと何本っていうライヴだったんですよ。だから、もしかしたら新しいバンドに誘ってくれるのかなと思って、頑張ってライヴやりました(笑)。基本的に、何があっても緊張しない性格なんですけど、後日改めて2人と会うとなったときは、さすがに大丈夫なのかなと思いましたね。
勇企:その気持ちは僕たちも同じでした。でも、曲は渡していたので、あとはやるか、やらないかの返事待ちかなと。
暁:でも、多分だめかもしれないと僕たちは思っていたんですよ。それだけIORIの反応が薄かったんですよね。
IORI:それは、こっちがどこまでくだけて話していいか分からなかっただけです(笑)。それで堅い印象を与えてしまったのかも。だけど、渡された曲を聴いたとき、すごくかっこいいなって思ったんですよね。自分の中で、このバンドをやりたいって決めました。
暁:どうやら、反応が薄いわけじゃなかったみたいです(笑)。こうして3人が集まり、最後に和春くんが入ることになりました。彼はけっこうすんなり決まったんですよ。
和春:そうですね。僕は、共通の知り合いを通じて、このバンドがドラムを探しているということを知ったんです。だけど、直接に声をかけられたわけではない。それならと思って、自分がドラムを叩いている姿を映像に撮ってアピールしたんです。
――いつからDOAKはオーディション制に!?
和春:そのあとでちゃんと知り合いに紹介してもらいましたけどね(笑)。でも、あのアピールの仕方は間違っていなかったと思います。1番良い方向で自分をアピールすることができましたから。
勇企:やっぱり、リズム隊は相性が大きいですよね。テクニックだけで見ると上手なプレイヤーってたくさんいると思うんです。でも、何か相性が大事なんだなってバンドをする上で思って。言ってしまえば、演奏力なんてバンドをやっていくうちに上達していく。それならば、テクニックよりももっと他に重要視することがあるんじゃないかと。僕はバンドとしての集合体の強さを選んだんです。それでフィーリングの合った和春と一緒にやりたいなと。IORIもそうでしたけど、すべてがタイミングだなと思います。良いテンポで2人に出会うことができましたね。
――こうしてメンバーが揃いました。
勇企:見切り発車しなくて良かったです。何か、今となっては、いけない気がしないですね。
暁:そうそう。こういうバンドができたのは人生で初めてなので、そう思えることはいいなと。
――ちなみに、バンドコンセプトは“ヒューマニズム”だそうですね?
勇企:コンセプトに関しては、適当といえば、適当かもしれないです。というのも、バンドコンセプトって後から付いてくるものでもあると思うんですよ。バンドの色というのは、やっている音楽を聴いてもらえれば分かる。だから、伝えたいものを1つのコンセプトに縛ってしまうのはもったいない気もして。それよりも、リアリティのあるものを、毎回作品を通して伝えていきたい。そして、そこに説得力が出てきたときにバンドコンセプトが成り立つのかなと。ただ、フレッシュなバンドではありたいと思っているので、今はバンドコンセプトにとらわれるつもりはありません。だけど、作品に描かれる人間性をまとめると、結局はヒューマニズムということになるのかなとも思うんですよね。
――難しいことにとらわれず、やりたいことをやろうという自由コンセプトの上でのヒューマニズムなんですね。となると、バンド名である“DOAK”も、そこまでこだわって付けたわけではないということになりますか?
勇企:そうですね、これは造語になります。由来もないし、意味も特にはありません。でも、響きが良かったからというのは付けた理由の1つになりますね。あとは、覚えやすさ。それだけといえばそれだけなんですけど。
――と言いつつも、何か深い面がありそうです。
勇企:しいて言えば、先入観を持たれるのが嫌だったということですね。コンセプトと同じで、こういう意味でバンド名を付けたと言ってしまうと、ずっとその由来が付いて回る。それならばいっそ、意味のないものにしてしまおう。いつか結果として、それが意味のあるものへと変わるからと思ったんです。せっかくのヴィジュアル系というジャンルですからね、自分たちで世界をせばめていくのは実にもったいないことだと思うんです。
――意味を持たすこと自体がナンセンスだと?
暁:そうですね。とりあえず、やってみてどうかっていうのが僕はすべてあると思うので。これが1番の形かなと。
――それもあって、7月1日にリリースされる初のマキシシングル「揚羽-ageha-」は先入観なしで聴くことができました。
勇企:ありがとうございます。
暁:全体的に言って、難しくしすぎないということを大事にしました。分かりやすさという部分をこの曲たちで大事にしたところはあります。
――だから、表題曲の「揚羽-ageha-」を始め、4曲どれも聴きやすいんですね。
勇企:僕は割とややこしい人間でもあるんです。だから、DOAKではそれを引き算している感じはありますね。自然な形でこうなったんですけど、それはきっと、歌声にも出ていると思います。変わらないで変わっていく、それがこのバンドを通しての課題でもありますね。だから、僕としては受け取り側が自由に受け取ってくれたらという想いの方が強いんですよ。
――バンドとして良くしたいという気持ちの表れですね。
勇企:一人よがりなのは、もういいかなって。実際にそういうときもあったんですけど、それよりもメンバー全員が同じ比重でやれることの方がいい。それができなければバンドじゃないなって、ここにきて気付くことができました。それだけに、メンバーのジャッジは歌録りのときに大事にしていますね。
――楽器隊のみなさんはいかがでしたか、レコーディング。
和春:レコーディングを振り返ってみると、単純に僕の中にないものがたくさんあったなと思うんです。なので、すごく苦労もしたんですけど、1つのフレーズを自分なりに消化できたときに、何ていうかドラマーとして変われたという気がしたんです。それがすごく良かったですね。
IORI:レコーディング前にリズム隊での話し合いっていうのは特にはしなかったんですよ。ドラムがあって、それを聴いてこんな感じかなって自分で思ったものを、みんながいる前で提示するっていう。だからと言って、4曲とも余裕だったというわけではないんですけどね(笑)。でも、だいぶ早く録り終えることはできました。
勇企:傍から見ていてすごいなとは思ったけどね。それもそのはず、うちはプリプロを入念にするんですよ。だから、その段階で使えるテイクというのがいくつか揃っているぐらいで。なので、レコーディングも必然的に早く終わるのかもしれないです。
暁:僕はギタリストとして、ギターを大事に思うことも大切だと思うんですけど、バンドとして自分の立ち位置を考えたときに、1人で目立つよりも全体を聴かせることが大切だと思うんです。アレンジとかも、僕1人でできない部分は勇企さんに頼ってしまいますからね。そうやって、バンド内での役割分担ができている分、提案もスムーズにできます。
――シングルギターな分、主張も思うままにできそうですが、暁さんが求めているのはそういうことではないようですね。
暁:元々、早弾きとかもしていたんですけどね。だけど、こだわりを極力捨てたというか。
――それよりも、曲としての良さを活かしたいという想いが勝ったと。
暁:そうですね。
勇企:暁は、僕が思いも寄らないようなアレンジをして返してくれるんです。そういったところが良い化学反応を起こしているなと思うし、僕としても刺激になりますね。
――お互いに刺激を与えられる存在というのは良いですね。先程、暁さんがおっしゃった「こだわりを捨てた」という部分で、我が強いというのはバンドをやっていて時として負担になりますけど、個性が強いというのはバンドにとって最大の武器ですから、そこは非常に良い選択だったなと思いますよ。
勇企:こだわりを捨てたら個性が出てきたんです。それは本当に良かったと思いますね。
暁:プライドとこだわりは捨てていかないと。
――良いお言葉です。そして、今後のライヴの予定も続々と決まっていますが。
勇企:1stライヴから本格始動となります。その後には桜華乱舞ツアー、夏には初の4マンの主催ライヴが決まっています。とにかく、ライヴのノリ方に関しては自由で構わないので、台風の目になれるよう頑張ります。全部かっさらう気持ちでやってやりますよ。

Interview:ERI MIZUTANI

DOAK persents【無題】
2015.08.02(Sun)
EDGE Ikebukuro
CAST:DOAK / DADAROMA / SCREW / THE BLACK SWAN