全体ロゴ無し.jpg

Gt.大祐

Gt.衍龍

Vo.点々

Ba.諒

Dr.哲也

4月1日にニューミニアルバム『MIMIC』をリリースする、My BACTERIA HEAT IsLAND。ライヴで人気の曲を始め、聴き応えのある6曲が揃った。きちんと意味を持ってヴィジュアル系に取り組んでいるメンバーが、この作品を通して伝えたかったこととは。作品の内容に迫ります。

――ミニアルバム『MIMIC』、ついに完成しましたね。
哲也:元々、曲のストックはけっこうあったんです。それなので今回は、その中から選曲したのと、その都度新しい曲を作っていったという感じですね。
――すごくまとまった内容になっていたので、テーマ先行で考えていったのかと思いましたよ。
衍龍:でも、全体的にまとめてから新曲は考えていきました。
哲也:うん、そうだね。
大祐:軸となっているのが「嗚咽」。それに合わせて、バラエティに富んだ楽曲を選んでいったんです。
――今回、バンドの持つ世界観が濃くなっているように感じられました。勢い重視でやってきた結成当初と比べても、今は深さを追求するようになってきたのではないかなと思ったのですが?
大祐:それは、歌詞がそうさせているのかなっていう感じがします。
哲也:点々さんの作ってくる歌詞が曲と合ったことによって、そうやって思ってもらえたのしれませんね。
点々:ちなみに、作品タイトルは曲が揃った時点で考えたんですよ。哲也くんと俺でタイトルをどうしようかって言っていたとき、色々な案が出ていたのもあって、お互いの意見がぶつかることもあったんです。それほど、タイトルに込める想いっていうのは強くて。
――なぜ、『MIMIC』というタイトルに?
哲也:これはまた、曲とは別なんですよ。今回のデザインをMIMICにしない?っていう案を衍龍が出してきたのが始まりですね。
衍龍:何て言うか、僕の中のMIMICのイメージは宝箱なんです。何が入っているんだろうと開けてみたら、その中には魔物が住んでいて。この作品で言うと、その魔物が曲たちなんです。で、それを今回のデザインと作品タイトルにしてみたらどうだろう、ってメンバーに話しを振ってみたら、いいんじゃないって返ってきて。それで作品のタイトルが『MIMIC』となりました。
――そういった経緯があったんですね。「嗚咽」を1曲目にしたのも、何か理由があってのことですか?
哲也:まさに。これが1番グッとくるかなと思ったからです。まず、俺がメインとなるものを作ったんですけど、元々のネタとしてはけっこう前からあったものなんですよ。
諒:たぶん、1番古いレベルだと思います。
哲也:そうだね。お蔵入りしたというわけではないんですけど、当時はこれをやろうぜっていう感じにはならなくて。
大祐:サビもなかったし。
哲也:1分もなかったからね(笑)。それで、これを引き延ばしてやってみようということになり、みんなで意見を重ねながら長くしていきました。
大祐:前と比べて壮大になった感じがしますね。
――作品の軸となっている曲だけに、それぞれの聴きどころも教えて下さい。
諒:ベースはAメロが聴きどころだと思います。ここはベースとドラムしかないので。これはもう、メンバーからも絶賛の嵐でした。
哲也:ドラムは、出だしから割と多めにバスドラムとハットの4つ打ちのビートが良いのかなって。
衍龍:ギターはフレーズがシンプルなところとややこしいところが混ざっているので、前半も後半も、全部好きですね。
大祐:あと、サビで3拍子になったりするので、懐かしい感じというか、そこをギターでも取り入れてみました。
点々:時間がない中での歌録りだったんですけど、表現すべきことはちゃんとできたなと思います。何だか悲しい感じですよね。今回、この曲を始め、全体的にテーマが悲しいなんですよ。だから、僕の出す雰囲気もそうなったというか。語るには重いというか、負の部分を出せたんじゃないかなって。
衍龍:色々な魔物が住んでいるよっていうことですよね。
点々:MIMICを開ければ、そこは罠だったっていうね。
――「ネジレル」は、哲也さんが作詞・作曲されていますね?
哲也:僕は題材を提示していったので、歌詞は点々さんと共同で書いていった感じですね。しかし、これも暗いですよね。頭では思っていなかったんですけど、どこかでMIMICのイメージを考えていたのかもしれません。
点々:少年少女がはまる罠を表現した「嗚咽」。「ネジレル」では、異世界系の罠を表現しています。見える人には見えるというか。世界はねじれているなという曲だと思いますね。
大祐:僕は歌詞より先に録りが終わっていたんですけど、てっちの曲って簡単そうに見えて細かいところで難しかったりするんです。
衍龍:同じフレーズでも、弦1本鳴らすときと2本鳴らすときがあるんですよ。それでニュアンスを変えていくみたいな。あとは、リズムもずっと4分の4でいかないとか。
――弦楽器陣泣かせの曲だったと?
諒:いや、俺はレコーディングすぐ終わりました。全曲とも1日で終わりました。
大祐:諒くん、優秀なんで。
諒:だから、レコーディングで苦労したっていうことがないんですよ。
衍龍:じゃあ、俺もないです(一同/笑)。
――「REAPER MIMIC」はどういった曲ですか?
点々:これは、バンドの初期からライヴでやっている曲なんですよ。
大祐:ライヴで人気の曲です。
点々:ただ今回、作品に入れるにあたり、タイトルが変わりました。それまでは「オカルト(仮)」だったので。仮を外して「オカルト」にしようかと思ったんですけど、歌詞がオカルトっぽくなかったので、「REAPER MIMIC」になったんです。
大祐:ここに入ることによって、また人気が出てくれたら嬉しいですね。
――「灰色の森」も最初は仮タイトルだったそうですね?
哲也:これもそうですね。「シグレ」っていうタイトルでした。
大祐:その後にも変わったよね。
哲也:「シグレ2」って。
衍龍:で、次がマッチ。
哲也:そうそう、「1本のマッチ」ね。
点々:てっちがそのタイトルはイヤだって言ったんだよ(笑)。
哲也:歌詞の世界観としてはぴったりなタイトルだったんだけど、見え方的に、俺としては変えたいなって。
――しかし、メンバーに柔軟性がなかったら、ここまでタイトルを何度も変えられませんよね?
点々:柔軟というより、良い意味で、そこまでこだわりがないんですよ。
大祐:たしかに。でも、改めて見てみるとこの歌詞良いですね。いつもライヴで聴いているから、ここまで良いとは思わなかったです。あぁ、こういうことなんだなって。
点々:嬉しいな。最初、LINEで歌詞送ったときなんて反応なかったんですよ。
――LINEで? それは何とも現代的。
諒:なんですけど、LINEだと読みにくい。幅が狭いから、あんまり心に入ってこないんですよ(笑)。だから、俺はテキストに変えて読んでいます。
大祐:やっぱり、歌詞カードに載ったものを読むのは違いますね。
衍龍:紙と文字の組み合わせって素晴らしいね。
哲也:文字から想像するものだったり、音以外のところで聴ける曲になったと思います。
――「凶の世界」は大祐さんが作られていますね?
大祐:これは、コード進行や流れなど、普通に思い付いたやつを作っていったんですけど、その後すぐにてっちに投げましたね。“かっこよくしてくれ、よろしく!”って。そこからリズムパターンが乗って、また投げ返されてできあがったっていう。
哲也:ある程度隙間を空けて曲を作ってきてくれるので、投げられた俺としてもやりやすいんですよね。
大祐:想像を超えたものがきたので、GOODって感じです。
点々:さすが、哲也プロデュースだね。それだけでも1つのジャンルだと思います。
衍龍:完全に彼のセンスですよね。
大祐:自分にないような感じだからこそ、良いんですよ。
哲也:こっちからしても、他のメンバーが作ってきたものっていうのは、自分では作ろうとは思わないような発想が入っているので面白いんです。この曲も、なるほどなって思えましたからね。そこはメンバーとして感心できるところだし、点々さんの書いた歌詞と合わさって、さらに自分の想像を超えましたね。やっぱり、曲って歌詞と曲があってこそなんです。気持ち悪いことを言うようだけど、いくら良い曲を書いても、それだけでは形の良い人形を作っているだけ。そこに魂を吹き込むのが、うちらでいうところの歌詞なのかなと思うんです。
――まさに職人技。
点々:職人だと思います。この曲では、自分が罠にはまっているところを表現したんですよね。解決できない問題を持って毎日を過ごしていると、毎日が同じになってしまうというか。代わり映えのない毎日になってしまうなと思うんです。だから、“今日”という言葉を“凶”に言い換えて、ずっと今日(=凶)が続いている。でもそれは自分に騙されているからだよ、っていうのを表わしてみたんです。
大祐:なかなか、そういった発想はしないですよね。僕自身、普段は思わないですからね、そんなこと。
点々:ほんとに? でも、わかってくれて良かった。って、さっき、曲を作るときのたとえとして人形を挙げていたけど、この前はうどんを例に挙げてなかった?
大祐:そう。それで何を僕は勘違いしたのか、曲よりうどんをフューチャーしてしまって。やっぱ、さぬきうどんは良いよとか(笑)。
――人形を例に挙げていただいて良かったです(笑)。でも、凶より悪いものってないから、ここから落ちることがないと思うと気持ち的には楽にはなりますよね?
点々:そう、それが言いたかった。
哲也:あぁ、どん底から失うものは何もないと。……って、大凶があるよ。
点々:言わないで!(笑)。
哲也:ただ、音はそこまで暗くはないので、歌詞とのバランスがいいなって思います。
――最後は「目覚める2分前・・」です。
点々:うまいこと最後に持ってこれたなという感じはありますね。曲自体は重いけど、つるっと終わるというか。
哲也:スカッとしているよね。2分ぐらいで終わってしまう曲を最後に持ってくるっていうのも面白いかなって。
大祐:もう少し長いバージョンで考えてもいたんですけど、これはこのぐらいの尺がいいだろうって思ったんですよね。
点々:全体的に罠がたくさんあって、悪夢が続いているじゃないですか。でも、この曲で目覚めるわけだから、罠にも必ず出口があるんだなっていう。
大祐:この先に希望があるということを、この作品を聴き終わったときに感じてもらえるはずですよね。
点々:うん。本当にそういうCDになったなと思います。まるで、小説を読み終わったあとの達成感というか。僕としては、レコーディングが全部終わったとき、そこに近い感覚でしたね。
――最後の最後に裏テーマを仕掛けてくるというのも、マイバクらしいです。
点々:毎回、作品に意味を持たせたいなとは思っているので、これもまたそうなって良かったです。
――また今回は、Aタイプ・Bタイプ、それぞれに収録されているDVDの内容が異なりますよね?
点々:Aタイプに「嗚咽」、Bタイプは「凶の世界」が入ります。
衍龍:内容としては、間逆ですね。
哲也:でも、どちらもかっこいいと思ってもらえるはずです。
大祐:こうやって2つに分かれているんですけど、実はこれ、つなげて見てみると解明されるところがあって。
点々:PV同士が重なっているという。だから2枚とも見てほしい。
――そして、この作品がリリースされた後には、ライヴがたくさん控えています。
大祐:まずは【森羅万象TOUR】ですね。
哲也:ドラムセッション“STICKERZ”がないことを祈りますよ(笑)。でも、せっかく『MIMIC』を作ることができたので、この中からも演奏できたらいいなとは思います。
点々:【森羅万象TOUR】が終わった後は、ワンマンがあります。無料と有料があるんですけど、5月にやる無料ライヴは日頃の感謝を込めてという。
大祐:普段のワンマンとは少し空気が違った感じになるかとは思うんですけど。
点々:まだ企画途中なんですけど、感謝祭という感じになるかもしれないですね。
哲也:これをきかっけに、上り詰めたいですね。
――アー写から受け取るイメージだと、マイバクは一見近寄りがたいバンドですが、こうして感謝祭を企画してくれているところからも、ファンにとって身近な存在であることが分かります。
点々:俺たちのヴィジュアル系というものはこれだ、というのを今回の作品、しかもPVで出せたと思うんです。そこに行き着くまでは、自分自身、ヴィジュアル系とはっていうのを考えて飽和状態になることもあったんですけど、僕が知っているヴィジュアル系っていうのは、自身が持つ型を自ら破っていくというイメージがあったので、僕たちもここでやりたいことをしようって。そういった想いがPVで明確になっているなって思いますね。それこそ、こういうのはしたくないっていうことがはっきりと言える5人なので、ちゃんと追求してヴィジュアル系をやっているというところを、音源やライヴで感じてもらいたいですね。その上で、このシーンに一石投じられたらいいなって思っています。

Interview:ERI MIZUTANI

★ONEMAN LIVE★
2015.07.20 [Mon]
高田馬場AREA