Dr.宏崇 

 Ba.七星

Vo.マモ

 Gt.Z

Gt.楓 

R指定にとって意味のあるものとなった森羅万象ツアー。一緒に回ったレーベルメイトから受けた刺激は、後に展開されるライヴに必ずや反映されるはずだ。また、本ツアーで披露されていた新曲「スーサイドメモリーズ」が6月3日にリリースされる。ツアーで聴いて気になっていた人も、まだ聴いていない人も、ぜひとも手に入れてほしい1枚だ。

――宏崇さん復活しましたね。
宏崇:無茶しなければ大丈夫です。
――脛椎捻挫とのことでしたが。森羅万象ツアーパート1の最終日に首を痛めてしまったのでしたっけ?
宏崇:そうです、ライヴ中にやってしまって。でも、自分ではよく覚えてないんですよね。だけど、夜にかけてだんだん痛くなってきて、病院に行ったら「骨が折れている」って言われて。「ツアーがあるんですけど」って言ったらそれどころじゃないっていうことで、即入院になったんですよ。結果、骨は折れていなかったので良かったんですけど、ライヴやりたかったです。俺が入院していたのはツアーの最初の頃だったんですけど、スタッフからライヴの動画が送られてくる度に悶々としてました。 ――本当に驚きました、森羅万象ツアーパート2に参加できないと聞いて。
宏崇:STICKERZ、実現ならず。
――本当ですよ、あれだけドラマー対談で盛り上がったのに。
宏崇:ただただ、無念です(笑)。
――でも良かったです、元気になられて。
宏崇:3年連続で入院してますからね。今年の目標は“入院しない”ってことだったんですけど早くもダメになったので、下半期の目標も引き続き、“入院しない”でいきたいと思います。
――しかし、レーベルメイトだけで回る森羅万象ツアーは今回が初めてとのことでしたから、R指定にとっても新鮮だったのではないかなと。
マモ:今まで回ったツアーとは、一味違うツアーだったかなと思います。
――それこそ、レーベルメイト同士ではない森羅万象ツアーを始め、色々な対バン形式のライヴに出演されているR指定ですが、それと今回のツアーはまた違う感じでしたか?
マモ:何か、自分の気持ちが違ったかな。今までの対バンライヴだと相手バンドに対抗意識を燃やして勝ってやろうっていう気持ちでやっていたんですけど、今回はそういうのは一切なかったですね。このイベントを盛り上げなくてはいけないっていう使命感の方が強かったです。
――とはいえ、始まる前までは負けん気の方が強かったのでは?
マモ:いや、そんなことはなかったですね。元々、自分が見ていた森羅万象っていうのはキャストメインで回すっていう感じだったので、そこに憧れていた部分があって。それで、今回出演したいっていう旨を社長に話したら入れてもらえるってことだったので、夢が叶ったような感じですね。大きく言うと、それぐらいのイベントだったかなって。
――理想の形にはなりましたか?
マモ:そうですね。じょじょにレーベルメイトとの仲間意識も出てきて。
――マモさんから仲間という言葉が出てくるなんて。
マモ:そうですね(笑)。同じレーベルに所属しているとはいえ、初めは知らない人もいたんですけど、途中ぐらいから仲良くなれて。
――そうやって仲間が増えるというのもイベントの醍醐味です。
七星:普段の対バンツアーとはまったく違っていて。他のバンドから刺激をいっぱい受けましたね。ベーシストが本当にかっこいいんですよ。
――たしか、それまでは見たことのないバンドもいるとおっしゃっていましたよね?
七星:そうですね。ちゃんと見たことあるのはIvy(Moran)ぐらい。Ivyは元々かっこいいのは知っていたし、それ以外のベーシストを見ていてもすっげぇかっこいいから、何か感化されたし、仲良くなりたいって思いましたね。それで仲良くなれたので良かったなって。
――七星さんもだいぶ個性的なベーシストではありますが、他のベーシストも見せ方の部分では自分と比べてかなり違っていましたか?
七星:違いますね。似たところがある人もいるけれど、自分にとってあの頃の気持ちを思い出させてくれたというか、良い刺激になりました。それぞれにバンドのカラーがありますからね、それをちゃんと表現してくれる良いベーシストたちだなって。素敵でした。
――良い収穫となりました。また、ギタリストも色々なタイプがいましたね。
Z:それぞれの色があるバンドっていうのが、こんなにも近くにいたんだなっていう。
――Zさんは、ツアーが始まる前から他のギタリストとの交流はありましたよね?
Z:ライヴをちゃんと見たことない人の方が多かったですね。だから、このツアーでステージを見て変わりましたね。刺激を受けました。
――きっと他のギタリストも同じことを思っていることでしょう。
楓:ツアーの合間にギタリスト会っていうのもやったんですけど、そのときはギターの話よりもバンドの話を多くしていましたね。単純に、人間がみんな良い人たちで。良いものを持っているなって思ったので、ずっと楽しかったですね。本当に回って良かったので、終わりたくないなと思ってしまったぐらいです。
――まさか、そこまでの気持ちになるなんて。
楓:最初はそうでしたね。でもやっぱり、喋ってみないとわからんなって(笑)。あとは、同じレーベルっていうのは大きかったですね。勝手がわかっている分、通じる話も多かったし。
――楽しく回れて何よりです。しかし、R指定は宏崇さんがいない分、サポートドラマーを立てて回らなくてはいけなくなりました。急な話にも関わらず、よくサポートをやってくれる方がいましたね。
宏崇:毎年俺が入院しているから、R指定の曲を叩けるドラマーが増えてきているんですよ。
――笑えないですよ、それ(苦笑)。今回サポートをしてくれたのは、enaさん、悠さん、鈴音さんの3ドラマー。鈴音さん、このツアーを振り返ってみていかがですか。
鈴音:えっ、俺ですか!?
――せっかく隣にいるのですから、お願いします(笑)。
鈴音:メンバーじゃないんですけど、終わるのが寂しいです。
――よく急に話を振られてOKしましたね?
鈴音:自分を追い詰めて、やるしかないんだっていう気持ちでやっていきました(笑)。でも、すごく楽しかったです。
――ご苦労様でした。本当に仲間に恵まれていますね、R指定は。そんな中、しっかりと新曲「スーサイドメモリーズ」も披露されて。マモさんとしては、前作「サドマゾ」を作り終えた後から「スーサイドメモリーズ」の構想を立てられていたのでしょうか?
マモ:そうですね、割と早めに。それこそ、NHKホールでワンマンライヴをやったときにタイトルとイメージはあったので。いつもはタイトル未定としていることが多いんですけど、今回は違いました。あとはそこを煮詰めていくだけだと自分を追い込んでいったところはあります。
――テーマに置いたのは“思春期のジレンマ”だそうですが。
マモ:テーマとしては今までR指定がやってきたこととそんなに変わりないんですけど、ちょっと成長した感じはありますね。
――それはバンドの成長に伴ってということですか?
マモ:いや、そこは考えてはいなかったです。ただ、中学生ぐらいの思考というのが俺の中ではやり尽くした感があるんですよ。それで、次のステップにいこうかなと。 ――曲調にも新しさを感じます。
マモ:ちょっと大人っぽくなりましたよね。
――ちょっとどころか、ぐんと大人っぽい音使いになっていますよ。
マモ:そこはイメージしたところではあります。同じことはあまりやりたくないというか。
――今までR指定の楽曲を支持してきた子たちが聴いたら、驚くかもしれませんね。
マモ:そうかもしれないですね、言葉の比喩とかわかりにくくなっているところもあるから。でも、ファンも一緒に成長していると思うので、わかってくれたらいいなって。
――七星さんはこの曲を聴いて、まずどう感じました?
七星:やっているようでやっていない楽曲だし、それこそ、プログレッシブ感がやったことない感じだなって。
――プログレというと一般的には長い尺で表現されるものを指します。しかし、この曲は短めではないですか?
七星:ギュッと詰まっていますよね。
――となると、表現力も難しくなってくると思うのですが。
七星:あぁ、そうですね。慌ただしい感じを出したり、出さなかったり、というところでは、差し引きは考えました。そういうところでも成長しているんじゃないかという感じはします。
――作品を重ねる毎に難解になってきますからね。宏崇さんはレコーディングを振り返ってみていかがです?
宏崇:入りが歪んだピアノの音なんですよね。デモを聴いた時点から、この曲かっけぇって思ったんですよ。ただ、曲が短い分、どう色を付けるかっていうのが難しくて。途中の部分も今までにはない感じになっていますからね。この曲、しいて言えば「ラストレイン」の感じに近いのかなって。それと同じで、曲を上げる感じのドラムを叩いていきました。自分の得意分野ではありますね。
――Zさんとしては、レコーディングを終え、そしてツアーでも披露した「スーサイドメモリーズ」をどう見ています?
Z:こんなに短期間でもってライヴで披露するのは珍しいですね。これこそ、やってみないとわからないというか。今までは、テンポやリフによってライヴはこうなるだろうなって想像できる曲は、それに合わせて演奏しているんですよ。わかりやすく言うと「國立少年-ナショナルキッド-」とか。あの曲はライヴでの絵が見えやすかったので動きやすいフレーズにしておこうっていうのがあったんですけど、「スーサイドメモリーズ」はライヴがまったく見えなかったのでどんな感じになるんだろうっていう期待が大きかったですね。実際にライヴでやってみたんですけど、もうちょっとやることでバランスが取れるんだろうなって。
――そこは乞うご期待ということですね。楓さんはいかがですか、この曲に対して今思うことは?
楓:森羅万象ツアーの初日からやっていたんですよ、この曲。だけど2本目ぐらいまではどうしようって思ってましたね。レコーディングから間もないっていうのもあって、体にフレーズが入っていなかったんですよ。だから、動くのは二の次という状態で。でも、やるとなったからには動けないとかはお客さんには関係ないじゃないですか。それでこのままではいけないと、見せるフォームを意識してツアーを回っていきましたね。おかげで曲が体に入ってきたし、結果的にお客さんも喜んでくれて。俺たちとしても面白かったですからね。ほんと、意味のあることだったなと思います。
――カップリングの「ネクラ・ネクロ・ネグロ」「置き去りの傘」も早くライヴで聴きたいです。
マモ:これから小箱ツアーが始まるので、そこで披露できたらいいなと思っています。「ネクラ~」の方はこのツアーのテーマソングにしたいんですよね。これで始まってもいいかなって。
七星:妖しい雰囲気があるし、オープニングとしてはかっこいいっすよね。雰囲気に飲み込まれるぐらい、曲に入り込みたいです。
マモ:「置き去りの傘」は中盤ぐらいに持ってこれたらなと。と言いながら、最初に持ってきても面白いかな(笑)。
――【死にたがりの民】は小箱ツアーというだけあって、メンバーにとってもファンにとっても体力勝負となりそうですね?
マモ:いらない服で来るぐらいで丁度良いと思います。めちゃくちゃになる前提で来て下さい。
――このツアーが終わると、真夏の二大野音単独公演【スーサイドサマーキラーズ】が控えています。
マモ:小箱ツアーはチケットが完売している箇所もあるので来られない子もいると思うんです。そういう子たちにこそ、野音は見てもらいたいですね。願望としては、雨降ってもらいたいなって。
――では、いらない服と、レインコートの2つを用意しておけばいいですか(笑)。
Z:理想は、開演と同時に台風でしょうね。良くも悪くも後に絶対残るっていう(笑)。それは置いておいても、何かしら刻みたいので。小箱ツアーを回った後に野音でできるっていうのもR指定の良いところだと思うので、それに相応しいライヴになればいいなと思います。
七星:遠くに感じさせないライヴをしたいですね。野外をライヴハウスに変えてやるっていうぐらいのものを見せたいです。
楓:それこそ、狭いところでワーとなった感じを野音に持ってきたいんですよね。
――小箱ツアーで見られる光景をそのまま移動させたいと。
楓:それで、R指定ヤバイよって言ってもらいたいですね。マナーを気にしなければいけないところでもあると思うんですけど、もうちょっとはめを外してもいいんじゃないかなって。熱いライヴを見たいです。
――ルールを守りながら楽しみたいところですね。
宏崇:俺は今のところドラムソロは考えていないです。定番化しても面白くないので。とりあえず、倒れてまた入院しないように頑張ります(笑)。

Interview:ERI MIZUTANI

二大野音単独公演
『スーサイドサマーキラーズ』
■日程:2015.7.11(土)
■会場:服部緑地野外音楽堂

■日程:2015.7.25(土)
■会場:日比谷野外音楽堂