Gt.Ray

Vo.猟牙

Gt.K

Dr.TOMO

7月22日にニューミニアルバム『オルタナティヴ・タランチュラ』をリリースするBORN。リリース後には待望の全国ツアーも開始する。ファイナルは9月6日、赤坂BLITZとなっているだけに期待大だ。

――新作『オルタナティヴ・タランチュラ』が完成しましたが。
Ray:毎回ないない言ってるんですけど、過去最高に時間がなくて制作時間がタイトでしたね。
TOMO:だって、ドラム録りのときには猟牙曲がどれも1コーラスぐらいしか出来上がってなかったし。
猟牙:俺はギリギリが好きなのか、時間がなければないほどゾクゾクするんですよ。
――追い込まれた方が、良い物が生まれるときもありますからね。
猟牙:だから、楽しかったですね。
K:でも、昔の音源のレコーディングの仕方ってこんな感じだったんですよ。曲ができて、レコーディングまで誰が何をやるかわからないっていう。だけど最近は、プリプロっていって仮レコーディングの機会を設けているので、今回のレコーディングみたいに、敢えて時間のない中で録るっていうやり方に昔っぽさを思い出しましたね。音楽に対する姿勢が真剣なんだけどラフというか。それを全部ひっくるめて『オルタナティヴ・タランチュラ』という作品になったかなと思います。
Ray:今回はそれぞれにやることが多かったんですよ。猟牙は作曲を多くしていたし、Kは全曲のベースを弾いたので1人2役ですね。
K:その分、ギターのアレンジはRayが詰めてくれたんですけど、今まで自分の曲でベースを弾くっていうのはあるにせよ、全部弾くってなると、ベーシストとしての我の強さっていうのも必要だと思って。やっぱ、ファンに聴いてもらうわけですからね。ほんと一生懸命でした(笑)。
――ちなみに、今作はタイトル先行でしたっけ?
猟牙:そうです。でも、ずっとこのワードは温めていたんですよ。当時色々なタイトル案があったんですけど、それ以外にも作品にあったタイトルが出てきてしまったのでこれとは別のものを使っていたんです。
K:それで今年1月のLOFTのライヴ後に機材車の中で、次の作品タイトルは『オルタナティヴ・タランチュラ』でどう?って猟牙が言ってきて。前に出てきたやつだなと思いつつも、それがいいなって。
――では、満を持してという感じですね。リードトラックとなっている「オルタナ」も相当インパクトがあります。とにかく、ミュージッククリップの衝撃度がすごくて。
TOMO:流せないシーンもあるらしいですよ(笑)。
――あら(笑)。しかし、この曲は展開が複雑ではないですか?
K:そうなんですよ。BORNも活動始めて7年が経つんですけど、自分も年数を重ねて色々な曲を作ってきている中で、気付かないうちに大人になってきているんだなって。曲の作り方1つ取っても、ギターの弾き方1つ取っても。音楽的に素晴らしいものにしたいという自分のプライドもありつつ、そんなこと考えたくないって思う自分もいて。いつもなら転調するにも綺麗にとか考えていたんですけど、そういうのを出来るだけ取り払って作りましたね。
――なるほど。でも、よくよく聴いてみると3曲ぐらい詰まっていそうなボリューム感ですよ、この曲は。
K:本来なら、そこをもっと綺麗にしたはずなんですけど、もうやりたくねぇっていうところに気持ちが言っていて。だから、今までの作品を手掛けてきてくれたエンジニアさんも最初は、もうちょっと流れ綺麗にしない?とか言ってきたんですけど、嫌だって言って(笑)。このチグハグ感を俺はやりたいんだって言ったんです。それで、猟牙がメロを乗せてくれたんですけど、中盤を聴いてこれは俺の勝ちだなって思いましたね。
――もし、そこで一歩引いて流れを綺麗にしていたら、この面白さは生まれてはいなかったかもしれないですか?
K:多分。でも、良いっていう判断は難しいですよね。音楽家が聴いたら綺麗な方が良いだろうけど、俺らは誰に向けて音楽をやっているかというと、第一にファンなので。ファンに対して面白いものを作りたいなっていうところですね。そういった意味でも面白い曲が出来たんじゃないかなと思います。
Ray:サビのコード感も表題曲ではやったことないよねっていうのもあって、選曲会の時点から面白いって言ってたんです。僕も曲を作りますけどこういうテイストのものは同じように作ろうと思ってもならないから、聴いていてもなるほどって思ったし、単純にバンドでやってみたいなって思って。展開も色々とありますからね、聴いていて飽きないと思います。
TOMO:1曲叩いているんだけど、また違う曲を叩いているような感覚でしたね、この曲は。今回偶然なんですけど、テンポチェンジする曲が7曲中4曲ありまして。録っているときはライヴどうしようかなっていう感じだったんですけど、実際に録り終わってみて、今スタジオでちょこちょこ合わせているんですけど、良い形になりそうだなと思っているので、ライヴが楽しみですね。
――ライヴだとアグレッシブさが増しそうです。歌うのも楽しかったのではないですか?
猟牙:ライヴを想像しながら歌いましたね。歌詞も書くときはポンポン出てきましたから。救いのないことをポップなメロに乗せて歌うっていうのが逆説的になっているというか。直接は言ってないけれど、それでも生きていくしかないんだというのを、音と言葉が融合することによって生まれると良いなって。あと、さっきKも言っていたけど、テンポが変わったときが1番、ファンと盛り上がれるポイントなんじゃないかなって思うので、聴いているだけでテンションが上がるんじゃないかなと。
――Kさんが作られたもう1曲「零未来-zeroAsu-」は、仮タイトルが“破壊”だっただけに、その様子が表れた曲となりました。
K:「オルタナ」もそうですけど、これも選曲会の段階でみんなからの評判が良かったんですよ。それだけ印象が良かったんですけど、これはもう俺のギターをガンガン聴いてくれっていう感じですね。うるさいぐらいに弾いているので(笑)。
猟牙:この曲は「オルタナ」と地続きの歌詞になっているんです。今、原子力の問題が反乱していますけど、そこで考えさせられることも多くて。結局、俺がどんなに平和主義なことを言っていても、音楽をやること自体に電気は使っているし、そこで環境の損害もあるんだろうなって。だから、俺たちは色々な犠牲の下に生きているなって。でも、犠牲がある上で成り立っているっていうのを色々と考えながら書いた歌詞ですね。綺麗事だと言われるかもしれないけれど、1つこういった考えさせられるメッセージを投げ掛けることもステージに立っている人間の特権なのかなって。
――もしかしたら伏せるべき内容かもしれないけれど、こうして素直に書き綴ることこそがロックなのかなと思います。
猟牙:うん、そうですね。生きていう上での永遠のテーマなんでしょうけど、ここではそれほどまでに投げ掛けてみたいものがあったっていうことなんですよね。それにより、1ミリでもみんなの考えるきっかけになってくれたらいいなって思うんです。
――この曲もそうですが、今回の作品はかなり生々しいことを歌っているように感じますよ。
猟牙:今までもそういう想いはあったんですけど英詞が多かったんですよ。それを今回は、ほぼ日本詞で書くことによって言葉もより直接的になるというか。
――だから響いてくるものがあったのですね。言葉の持つ力というのは非常に大きいです。
猟牙:自分の中にある想いをリアルに吐き出したっていう感じがあります。
K:パートも表現方法も違えど、何だかんだで全員が似たようなところにいるのか、かっこいいだけじゃ人の心は動かせないし、伝わらないっていう気持ちがあるんですよね。伝わらなかったら何の意味もないっていうところに今いる感じなのかなと思いますね。
――Rayさんの作られた「坩堝」は、仮タイトルが“隕石”だっただけにスピード感があります。
Ray:イントロで隕石が落っこちてきた感じがしますよね。って、これを言ってもメンバーがわかってくれないんですよ(笑)。それで、落っこちてきたところがサビまで続くんですけど、最後にはその隕石が海に落っこちて。でも、ギターソロの辺りで海からボーンと飛び出してくるっていう。
猟牙:ほら、ここまでのイメージがあるんですよ(笑)。
Ray:インストアイベントでもこの曲のイメージは話したことあるんですよ。それがようやく出来上がりました。
K:このアイデンティティで曲が1曲仕上がるっていうのがすごいなって。
TOMO:うん、すごいよね(笑)。
Ray:こういう曲作ろうってなる時は、風景とかを思い浮かべてその音のイメージを固めていくんですよね。洞窟とか夜の空とかそういうとこから作ったりもしたり。
――TOMOさんが作られた「La Tarantella」は、具体的なイメージがあった上で作曲されたのですか?
TOMO:俺はイメージとかは別にないですね(笑)。単純にライヴの絵を想像して作ったんですけど、この曲もテンポチェンジするんですよ。そこでファンの子がワチャワチャする感じが見えたというか。でも、その言葉だけだとメンバーに伝わらないなと思ったので、自分でシャウトを入れて持っていったんです。夜な夜なシャウトしているものだから、ネコが寄ってきたりして(笑)。でも、それをやったことにより、メンバーに言いたいことが伝わりました。
Ray:音源にも入っているんだよね。最後にサイレンの音が出てくるんですけど、実はそれ、TOMOが自分でやっていたっていう(笑)。
K:曲調も面白さもあったし、何よりTOMOが歌っていたっていうので、選曲会では1番に決まりましたからね、この曲。
TOMO:リードではないけれど絶対に入れようって(笑)。
猟牙:俺はTOMOのシャウトを完コピしましたからね。この曲に関してはTOMOのデモをそのまま活かそうかと思ったぐらい(笑)。
K:俺は、猟牙のシャウトが乗って安心したところはあるけどね(笑)。
――そんな猟牙さんは、今回は3曲の作曲を手掛けられていて。
猟牙:「foxy foxy」と「LETTER」はミディアムテンポの曲なんですけど、最近、バラードがほしいなと思っていて。そこで振り幅を増やしたいなと思ったんですよね。だからと言ってどっちも似たようなバラードにはなっていなくて。「foxy foxy」は、ロックバンドがやらないような染みる感じの歌モノになっていると思うし、「LETTER」では、悲しさの中に少し光が差すような曲になっていて。こういう人生もあるんだよなっていうのを俺自身が書いていて思ったので、読んだ子たちが感じて家族ってありがたいなって思ってほしいですね。そして「DISASTER」は、愚かさを歌っている歌というか。最近こういうことを考えることが多くなって。でも、俺もこんなこと考えるようになったんだなって思いますね。
――生命について深く考えるというのは良いことだと思いますよ。
猟牙:色々な矛盾やモラルが渦巻いている世の中だからこそ、第三者、地球や自然が人間を見たらこういうことを思うんじゃないかなって。押し付けがましい曲にはなってないにせよ、色々なものの見方をした方が良いとは思いますね。だから、曲を聴いて想像力を働かせられる人が増えたらいいなと思います。
――固定概念にとらわれるな、という感じにも聴こえました。
猟牙:一言で言うとそういうことなのかなと。結果、そこが作品のテーマにもなっていますからね。
――発売後にはワンマンツアーも始まりますからね。ファンの方には想像力を働かせながら参加していただきたいものです。
K:それこそ、こんな時代の音楽シーンなので、いつ終わってもいい、最後のワンマンツアーになるかもしれない、というほどの覚悟を持ってやりたいなって。そう思っていれば自然と頑張れますからね。その上でめちゃくちゃ楽しくやろうかなと。 ――良い空気の中でのライヴになりそうです。あとは、TOMOさんのシャウトがこのツアー中にどれだけ聴けるか。 Ray:ファイナルまでに喉ガラガラになってるかも。
TOMO:あははは。嫌だな、それ(笑)。
Ray:でも、全国ツアーは1年ぶりとなるので、新しい武器と共に廻れるので、ファンと共有しながら一緒に夏の思い出を作っていきたいなと思います。
猟牙:今作が面白いものに仕上がった分、あっさりと終わることなく深くて楽しめるライヴになると思いますよ。だから、どういうライヴを展開していこうか、これから詰めていこうかなと思います。そして、ファイナルは赤坂BLITZでやるんですけど、イベントで立ったことのある会場でどれだけかっこよさを出せるか。BORNは大きい会場が似合うと周りから言ってもらえているので、ここでも俺たちが似合うということを見せ付けたいですね。

Interview:ERI MIZUTANI

BORNTOUR2015
【オルタナティヴ・タランチュラ】

■7月28日(火) 渋谷REX
■8月2日(日) 浦和ナルシス
■8月8日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
■8月9日(日) 柏ThumbUp
■8月12日(水) OSAKA MUSE
■8月13日(木) 名古屋ell.FITS ALL
■8月17日(月) 仙台MACANA
■8月19日(水) 札幌colony
■8月20日(木) 札幌colony
■8月26日(水) 博多DRUM Be-1
■8月27日(木) 岡山IMAGE
■8月30日(日) 金沢AZ

-TOUR FINAL-
■9月6日(日) 赤坂BLITZ

[料金]
渋谷REX~金沢AZ公演:前売¥4,200 / 当日¥4,500(DRINK代別)
赤坂BLITZ公演:前売¥4,500 / 当日¥4,700(DRINK代別)
[一般発売日]
渋谷REX~金沢AZ公演:2015年6月20日(土)
赤坂BLITZ公演:2015年7月18日(土)