Gt.Sizna

 Dr.Soan

 Vo.Hitomi

 Gt.vivi

 Ba.Ivy

オフィシャルHPで発表があったとおり、Moranは9月21日にZEPP Diver Cityで行うワンマンライヴをもって解散する。ヴィジュアルシーンで異彩を放っていたバンドなだけに残念だ。だが、メンバーは今、とても前向きな気持ちである。このインタヴューを行ったときはレコーディング中にも関わらず、終始笑顔で対応してくれた。Hitomiはちょうど歌入れで現場を離れることができなかったのだが、新作にはきっと、最高の言霊を詰め込んでくれていることだろう。

――現在(取材は5月下旬に行いました)、絶賛レコーディング中とのことですが、先日は沖縄でライヴを行ったそうですね?
Soan:そうです、Kraと一緒に。俺、田舎が沖縄なのでメンバーよりも早くに現地に着いたんですよ。
――そうでしたか。早くに着いてどちらへ?
Soan:祖母に会って来ました。体調があまり良くないとのことだったので、婆ちゃん孝行ができたらいいなと思ったんですよね。祖母も喜んでくれましたし、ライヴも楽しかったので、そういった意味では有意義な時間が過ごせました。
Sizna:自分は沖縄自体が初めてだったので、驚くことが多かったですね。まず着いてからモノレールに乗ったんですけど、運転手さんがアロハシャツ着てるんですよ。制服じゃないんだと思ってビックリしました。さすが南国だなと。
――もしやそれは、かりゆしウェアのことでしょうか?
Soan:そうそう。沖縄の県知事も着ているあの服です。
Sizna:あと驚いたのは、軍用車が普通に道路を走っていたことですね。軍用の飛行機もそうですけど、東京では見ることの出来ない光景だったので、すごく面白かったです。
――Siznaさんがそういった類に興味があるとは存じ上げませんでした。
Sizna:昔からガンダムが好きなので、そういった軍事系のものは大好きなんです(笑)。もちろん、ライヴも楽しかったですよ。最初、沖縄のライヴハウスというからには、ゴザがひいてあって風情があるような感じを想像していたんですけど(笑)、至って普通のステージだったのでやりやすかったです。しかも、予想していたよりもたくさんの人が来てくれたんですよね。それもすごく良かったなと。
――初めてMoranのライヴを観る人もいたでしょうしね。Ivyさんは、沖縄をライヴ以外でも満喫できたそうで。
Ivy:沖縄って限定のものが多いんですよ。僕、よくコンビニに行くんですけど、ご当地限定物ってあるじゃないですか。それが沖縄は豊富で。で、せっかく来たからにはと、トマトパスタやタコライスを食べてみました。ただ、商品名だけでは想像できない味の食べ物もいくつかあって。僕、シークワーサーって食べたことがなかったんですよ。どんな味が想像も付かなかったので、そのときは食べませんでしたね。でも、今思えば冒険心を出して食べておけば良かったなって。
――ぜひ次の機会にでも(笑)。viviさんはいかがでした、沖縄。
vivi:オープニングアクトとして、MoranのメンバーとKraのメンバーが入り交じってセッションをしたんですよ。1日目はTHE BOOMの「島唄」、2日目は僕も演奏させてもらったんですけど、オレンジレンジの「ロコローション」を。それをやって、今、沖縄に来ているんだっていうのを実感しましたね(笑)。
――面白い企画です。しかし、普段の皆さんからは想像も出来ないような2曲ですね。
Ivy:やって良かったと思います。心が開放されました。
Soan:それこそ、Hitomiなんて、いつもよりテンションも高かったし、MCも長めでしたからね。今日は楽しいんだろうなっていうのが伝わってきました(笑)。
――本当に良いライヴになって何よりです。
Soan:行けて良かったと思います。
――そして、レコーディング真っ只中の今、新作がどのように仕上がるか期待が高まります。
Sizna:自分の作った曲はツアー前には完成していたんです。作る期間は短かったんですけど、その中で1番良いものを出しました。
――早速聴かせていただきました。まだ歌詞と歌が乗っていない状態のものでしたが、Siznaさんが作られた曲は、とてもSiznaさんらしいなと感じました。
Soan:そうなんですよね。Moranは各々が曲を書けるんですけど、みんな違うんですよ。だから、曲としての繋がりは考えつつも違うカラーを取り入れるっていうのは、みんなが意識していることだと思うんです。今回Siznaが出してきた曲は、単純にギターがすごい。ギターだけで躍動感が出ているんですよ。また、そこが曲を引っ張っていっている。そういう発想は俺にはないので、さすがだなと思いました。
Sizna:Moranとして最後のリリースとなるので、自分の得意分野をやりたいなっていう気持ちがあって。僕は元々ギターロックが好きなので、そういう感じの曲にしました。
――ガツガツしているけれども押し付けがましくないところが、この曲の良いところですね。
Soan:そうですね。だからあとは、viviがどういうギターの絡みを見せてくれるか楽しみです。
Sizna:今回はviviなりに1回録ってきてもらって。そこで、ここはこうしようとか、こんな音を入れてほしいとか、そういうのをやり取りしている最中ですね。
vivi:デモの状態から、ここはこういう風にしたいんだろうなっていうのが分かりやすかったので、ツインギターならではの絡みで面白いことができたらいいなと思っています。
Ivy:ベースに関しては、Siznaさんの曲はまだ昨日出したばっかりなので、聴いてないですよね?
Sizna:うん、まだ。
Ivy:本人も言ったとおり、ギターロックの色が強い曲なんですけど、ベースにとってもやりやすかったです。僕が今までプライベートで聴いているような曲を意識して弾いてみるとはまるような曲でもありましたね。
――また、Soanさんが作られた曲も、Siznaさんの曲と同じように、Soanさんらしさが存分に出ています。
Soan:鍵盤が大好きなので、ついつい入れてしまうというか。俺はギターが弾けないので、他で表現してしまうんです。でも、それが味でもあり、癖でもあるのかなと。
――訴えかけてくる力が強く感じられました。
Soan:そうですね。割と、色々な感情がテーマになったかもしれません。ただ、感情面だけで言うと、曲とは別物にあるんですよ。曲を作るというだけでいうと、Moranに今何が必要なのか、こういうものをやったら新しいんじゃないかっていう感じの方が強いんです。それは俺に限らず、メンバー全員、曲をアプローチするときはそうで。だから、そのときは曲の感情のままにワーッとやっているわけではないんですよね。今回もやっぱり、自分がリスナーとして聴いたときに、どう聴こえるかっていうのを考えて作っていきました。自分で思うんですけど、計算したがりなんですよね。
――ご自身ではそのように分析されますか。
Soan:きっと、理屈攻めをしたがる人間なんだと思います。
――とはいえ、小難しくて分かりにくい曲になっていないところはさすがです。
Soan:それが構築されて、結果聴きやすいという形になっていたらいいなとは思っていますね。
――なるほど。
Soan:ただ、まだ完成はしていないので。
――どうなるかは、ここから先次第ということですね
Soan:はい。あと、ちらっと聴いた感じだと、ベースがめっちゃ良かったです。
Ivy:お褒めの言葉が。ありがたいですね(笑)。ちなみに、そのことを取材場所に来るまでの道程で言われたので、赤面しながら歩いてきました。
――そこまで(笑)。
Ivy:褒められ慣れていないもので(笑)。
――Ivyさんは、Soanさんの曲にどう色付けしていこうと考えて、レコーディングに臨んでいったのでしょう?
Ivy:その前に、Soanさんの作る曲は、1曲1曲、色が違うというか。僕がやったことのないことばかりやってくるんですよ。それが大変迷惑というか。
Soan:あははは(笑)。
Ivy:苦情ではないですよ(笑)。だから、1度自分の中ですごく練ってから出さないとだめで。ほんと、新しいものしか出せないんですよね。レコーディングをするたびに、試されているなと思います。今回はコードについてかなり調べましたね。その上でのベースラインだったので、Soanさんから褒められたときは、これで合っていた良かったと、一安心しました。
――なかなか難しいものです。
Ivy:さっき、Soanさんは自分のことを理屈攻めしたがる人間だと言っていたじゃないですか。だから、理屈を通した上でベースラインを弾かないと納得してくれないと思ったんですよね。僕は今までどちらかと言うと、ベースは感覚で弾いていたので、Moranに入ってからはそれだけでは通用しないなと実感するところがたくさんあるんですよね。
――そのおかげで、1曲出すごとにIvyさんの引き出しが増えると。
Ivy:そうです。むしろ、引き出しから溢れているので、毎回クリアケースを買い足している状況です(笑)。本当に、勉強しないとだめだって思いましたね。
Sizna:Soanの曲、仮タイトルが02の方、バラードではない1曲に関しては、自分のやりたいと思えるフレーズがすぐに浮かんできたので、録りは早くに終わりました。あと、バラードに関しては、viviがセンターで音を鳴らしてきてくれているので、そこを活かしつつ、自分の色を出せる部分があれば、ちょこちょこ出していきたいなと思って、今その部分を調整しています。
vivi:Soanくんの曲は、Siznaくんが作ってきたギターロックの曲とは違って綺麗な曲が多くて。今回の2曲も、綺麗な曲だなと自分では思っていたので、Siznaくんの曲のギターは割とノイジーな感じでいこうと思っていたんですけど、Soanくんの曲はフワッとした感じというか、ギターで綺麗な感じが出せたらいいなって。だから、コードで弾くというよりはアルペジオが多目な感じですね。感覚だけで弾いたんですけど、良い感じだなって自分でも思うので、完成が楽しみです。
――広がっていきそうですね。
Sizna:そうですね。まだ試していないことがあれもこれもあるので。もしかしたら、レコスタで何かが起こるかもしれません(笑)。
――最後の最後まで何が起こるか分からないところがレコーディングの面白さでもありますからね(笑)。
Soan:ドラムはすべての曲を録り終えたんですけど、サウンド面を追求できたので、すごく良いドラムが録れたなと思います。あとは、それ以上の気持ちというのが今回は音に出ていると思うので、ぜひ聴いて下さい。
――今回はことさら気持ちが詰まっていることでしょう。……さて、このことについても聞いておかなければなりません。インタヴュー冒頭で、Siznaさんが今作を“Moranとして最後のリリース”と表現されました。この記事が載る頃には既に正式発表されていることと思います。9月21日のワンマンライヴをもってMoranは解散するそうですね?
Soan:そうです。なので、この夏にやるツアーがMoranとしては最後のツアーとなります。行ったことのない土地もたくさんあるので、そこはメンバーみんな楽しみにしています。あと、今の気持ちとしては、見えないものと戦ってきたものが終わりを迎えることによって終着点が見つかったという感じですね。ただ、今、本当に良い状態でバンドがやれているのは間違いないです。
――とにかく、1本1本悔いの残ることのないよう。そして、ラストとなるZEPP Diver Cityまで突っ走っていってもらいたいです。
vivi:このワンマンツアーを発表したとき、1番熱い夏になるって言ったので、今までで最大規模の熱さを出していきたいですね。解散の発表はしたけれど、メンバーの前向きさっていうのは9月21日まで満開で、そして最後の日に綺麗に散れるように、良いツアーにしたいです。
Ivy:やってみないと分からないっていうところは正直あるんですよね。それだけ解散の実感がないので。でも、それはきっと、ワンマンツアーを廻っている最中に実感が沸くのかなと。絶対に良いライヴになることは間違いないので、今はすごく楽しみです。だからこそ、より数を多く見に来てもらいたいと思います。
Sizna:リリースのワンマンツアーというよりかは、ラストのツアーというところに焦点が当たってくると思うので、本当に集大成を1箇所1箇所で見せていきたいなと思っています。
Soan:解散を決めたバンドの気持ちってどちらかだと思うんですよ。1つの決断を下したことによって投げやりになるか、バンドとして1個にまとまるか。そのどちらかだと思うんです。でも、Moranは今、上を目指してやるという気持ちでメンバー全員が一丸となって輝いている。俺としても、最後が決まっているからといってライヴの1つ1つを消化的にこなすことはしたくはなくて。だから、最後まで燃え尽きる気持ちでやっていきたいですね。

Interview:ERI MIZUTANI

Moran Last Live
「夜明け前、最後の夜に永遠を紐解く方程式を夢む」
9.21(mon)
お台場 Zepp DiverCity TOKYO