Gt.shia.

 Ba.野中拓

 Vo.芥

 Gt.千歳

 Dr.成人

10月7日にニューシングル「m.o.b.」をリリースする、Chanty。バンドについて、そして新作について、ヴォーカルの芥とギターの千歳に話を聞いた。

──バンド結成は2013年。芥さんが中心となって立ち上げられたのですね?
芥:そうです。このバンドは自分達の好きな事を自由にやろうと思っている奴等の集まりなんですよ。なので、蟻が象に噛みつく勢いでやってますね(笑)。
千歳:それに、お互いに共感できるっていうのが、Chantyの団結力になっているのかなって思います。
芥:確かに。仲が良いだけじゃなくて、過去に同じ苦渋を味わった事があるからこそ、分かりあえているところっていうのもあるし。そこは、このバンドの良いところだなって思いますね。それと、このメンバーでバンドをやってみようって思った時に、スタジオで何曲か曲を合わせていたんですよ。そこで何の打ち合わせもなく、最初から最後まで通せた曲があるんですね。それが、最初にシングルで出した「終わりの始まり」っていう曲で。メロディも湯水のごとく浮かんできたんですよね。その時に、俺はこの曲を歌う為に生まれてきたんだって思えたんですよ。そんな事ってなかなかないじゃないですか。もちろん、良いメンバーに巡り会えたと思ってはいたんですけど、そんなにうまくいくはずがないってネガティブに考えてしまう自分もいて。でも、この曲をスタジオで合わせてみて、「このバンドは絶対に良いバンドになる!」って確信出来たんですよね。
千歳:驚いたのは、打ち合わせも何もな無かったのに構成がバッチリだったんですよ。「次ここくるだろ」「次はサビだろ」、って。その時、バンドマジックってあるんだなって思たんです。バンドってメンバーと音で会話していく方が、言葉を交わすよりも通じ合える気がするんです。
芥:評価される曲だとは思わなかった。でも、僕達はこのバンドで結果を求めているし、もっと高いところを目指すという目標の上で活動しているので、やっぱり自分達の精神を曲げる事は許されないと思っているんです。だから、自分達が直感的に感じたものが絶対だと思ったし、これからこのメンバーを信じてやっていけばいいんだっていうのが見えた瞬間でしたね。
──そこが、バンドコンセプトである“突き刺す音楽”に繋がっていると。
芥:癖があるバンドですけど、自分達のエゴだけでは聴く人に伝わらないので、そこはいつも考えながら曲を打ち出しています。
──ちなみに、メンバーそれぞれどのような性格の持ち主ですか?
芥:はっきり言って、“ネガティブ”ですね。でも、マイナス×マイナスはプラスなわけですよ。だから、良いバンドだなって。それこそ、みんながいて普通というか。
千歳:2年もやるとそうだよね、それが日常になってる。
芥:うん、そこにいてくれるだけで良い。
千歳:僕は、ツインギターっていうのはお互いに気を使っていてはダメだと思うんですよ。だから、音楽の事では言い合いしても良いと思っているし、そうやって喧嘩してお互いを高め合っていけたらなって。だからshia.くんとは本当に良い関係だと思いますよ。
芥:ベースの野中くんはどんな隙間でも埋められる人ですね。ウワモノがどれだけ無茶な事をやっても対応してくれる。その柔軟性たるや、空気読みの天才です。あと、ステージングもかっこいいし。こういう人はなかなかいないなって思いますね。ドラムの成人くんは、バンドのお母さん的な感じがあります。それと、物事に対して1番冷静な目線を持っているんですよ。でも、ドラムプレイはすごく情熱的で。見た目は秋田犬に似ているんですけど、最近は飼い主の僕に対して噛みつくようになってきましたね(笑)。
千歳:でも、ドラムプレイが情熱的になってきたのは、芥くんに触発されての事だと思うよ。やっぱり、ライヴで芥くんを目の前にしたらそうなるのかなって。
芥:あぁ、それなら良かった。ほんと、うちのバンドって良い関係が築けてますね。
──メンバー間の息の合ったところは新作にも表れていました。表題曲となっている「m.o.b.」は千歳さんの作曲ですが、どのような事をイメージして作られていったのでしょう?
千歳:大切にしているのは、自分達が“かっこいいです”と言えるもの。もちろん、ひねくれてはいたいんだけど、まず前提としてあるのは、メンバーが素直にかっこいいと言えるものを選んでいますね。だから、「m.o.b.」を作っていた時も、これはかっこいいだろうってギターを弾きながら思ってました(笑)。
芥:うちのバンドは色々な曲を持ち寄るんですけど、最終的に集まったものに対して、今回はこのテーマでやっていこうっていうのを俺が吹き込むんです。なので、今回のテーマはとにかくネガティブ。歌詞も含め、こんなにネガティブなものは無いっていうぐらいのものにしようって。
──かっこいいと言えるものに対してネガティブを乗せるというのも、ある意味すごくないですか?
芥:そうかもしれないですね(笑)。うちはメインコンポーザーとして千歳くんが曲を作ってくるんですけど、他のメンバーが作ってきた曲に対しても、原曲そのままで曲が通るって事はほぼ無いんですよ。各々の役割が決まっている分、お互いに力を合わせないとダメなんですよね。俺と千歳くんが曲を作るのを味噌汁作りに例えると、千歳くんは具と味噌しか入れてくれないんですよ。だから、そこに俺がダシを加えるという。そうやって、お互いが力を発揮する事で美味しいものが出来上がるんですよね(笑)。
──チームワークが大事になってくると。
芥:そういう感じの流れですね。
千歳:だから、よくまとめてくれているなって思いますよ(笑)。ただ、今回に関しては早めに「m.o.b.」っていうタイトルが上がっていたんですよね。モブキャラっていうのが今作のテーマであってっていう話も聞いていたので、それを踏まえた上でアレンジしていきました。結局、曲を作ってもバンドで合わせてみて、芥くんの歌が入って、初めてChantyの曲になるんです。だから、1人1人の役割が明確になっていると思うし、安心してメンバーに任せられていますね。
──なるほど。では、改めて「m.o.b.」に込めた思いを、作詞した芥さんから聞かせてもらえますか?
芥:モブキャラ、すなわち脇役の事なんですけど、自分は本当に脇役の極だなっていうところから発想を膨らませていって。とにかく、うちのバンドは脇役の集まりなんですよね。でも、脇役が集まる事によって主役さえも食えると思うんです。だから、今まで自分が書いてきた歌詞はどこか分かるっていうところが多かったんですけど、「m.o.b.」に関しては直情的すぎて意味が分からないところが多いと思うんです。別に気をてらってそうしたわけではなく、改めて意志表明をした感じですね。
──サビがとても印象に残りました。
芥:どこかにちゃんと届くものっていうっていうのは用意したいんです。それが、今回はサビだったんですよね。あとはとにかく、この曲はプレイがかっこいい。
千歳:2年間やってきた経験が活きていると思うんですよね。お互いが任せられるっていうところが曲に表れていると思います。その中で僕の聴きどころというと、イントロですね。曲で大事にしたかったのはCDを入れて開始5秒なんですよ。そこでハッとさせたくて。だから、レコーディングでもその部分に命をかけました。
芥:あとは、シャウト部分も聴きどころでしょ?
千歳:そう!
芥:見事に絶望感を表現してくれましたよ。ライヴでもやってくれる予定なので、乞うご期待です。
──また、MVもかっこよくて。
芥:これは他の曲にも言えるんですけど、僕らのMVはヴィジュアル系で1番と言っていいぐらいスクショしにくいと思います。
──確かに、場面展開が多いですよね?
千歳:だからこそ、ChantyのMVは最初から最後まで観てストーリーが分かるようになっていると思います。それゆえに、1箇所だけピックアップして観ても意味が分からないんですよね。
芥:やっぱり、曲先行で観てもらいたいっていうのがあるんですよ。だから、のめり込んで観てほしいですね。それだけ中毒性のあるものになっているので。
──カップリング曲も表題曲に負けないぐらい個性的ですね?
芥:今までの作品の中で1番、曲のバリエーションがあるかもしれないですね。でも、全部ネガティブなんですよ。
千歳:そう思うと、「m.o.b.」が1番ポップだよね(笑)。
芥:そうそう(笑)。具体的に、「m.o.b.」はモブキャラが反抗しても生きたくて、「誰」は自分の存在意義はどこにあるのかいう事を求めているんですよね。ここでは、歌詞の中に画家のダリを出しているんですけど、俺の中でダリって奇才なんですよ。だから、主人公が自分の部屋にダリの絵を模倣して描くんです。そうする事によって自分も変わった人間になれるんじゃないかって。
千歳:歌詞を読んで1シーン毎の情景が浮かぶなって。だから、僕の中では映画のような曲ですね。
芥:「流星群」はshia.くんが作ってくれた曲なんですけど、分かりやすい曲だと思います。ただ、歌詞はすごく悲しいんですよね。流星って一番星には絶対に絡めないじゃないですか。それこそ、手の届かない人に恋をするようなもんですよ。だから、書いていて暗い気持ちになりましたね(苦笑)。そして、「いっせーの」は、分かりやすくマイナス思考を書いています。やればやるほど空回り、どうしようもない日常から逃げ出したい、っていう内容になっていると思いますね。でも、フレーズはChantyらしさが出ていると思うので、ライヴでどうなるか楽しみです。
千歳:ここまでくだけた感じの芥くんの歌声を聴いた事が無かったから、この曲はライヴでやったらもっとくだけた芥くんが観られるんじゃないかと思います。
──活動2周年を迎え、これから益々の快進撃を見せてくれるであろう皆さんに期待が高まります。これからの予定としては、数々のイベントライヴに出演しながらも、12月にはまた、ニューシングルをリリース。そして、東名阪ワンマンツアー「コタツとミカンと君と僕ワンマンツアー」が控えています。
芥:大阪公演は既にチケットがソールドアウトしているんですよ。
千歳:この段階でソールドするなんて思っていなかったので、自分達としてもビックリしました。
芥:初日の名古屋もソールドに迫る勢いでチケットが出ているので、この記事が載る頃にはソールドしているかもしれません。そうやって、徐々にChantyの輪が広がっているというのは嬉しいですね。
──今回は、どのような内容になりそうですか?
芥:前回が初のワンマンツアーと言いながら全国9箇所も回らせてもらったので、今回は焦点をしぼってやりたいなと。最終が東京なんですけど、俺の中では、ここをファイナルだとは捉えていなくて。何か、これからもライヴをいっぱいやるのに、ファイナルっていう言葉に縛られるのがすごく嫌なんですよね。それだけ、どこの箇所も全力でやっているんです。だから、今回も3箇所それぞれに違う事をやっていきたいなと思いますね。1箇所毎に1つの作品を作り上げられたらいいなって。
千歳:うん、そうだね。
──3箇所全てに行くというファンの方からしたら、その見せ方はとても嬉しいと思いますよ。
芥:同じ事が出来る強みっていうのもあるけれど、それと同じように、別の事が出来る強みっていうのもあると思うんですよ。だから、僕らには鉄板セトリと言えるものが無くて。それだけ、毎回セトリを変えてしまうんですよね。
千歳:何か、欲が出ちゃうんですよ。もっとこうしたい、もっとこういうものが出来る、って。
芥:だからこそ、1つの曲に対してここまでだっていう表現の天井を与えたく無いんですよね。それよりも可能性を広げていきたい。それは活動を初めて2年経った今だからこそ見えてきたものでもあるし、この日はこういうライヴなんだなって伝わるものにしていきたいなって思いますね。
千歳:その箇所でしか観られないもの、特別なものにしたい、っていうのはあります。来てくれる人にとっては、その日1日が特別な1日だと思うし。そう考えると、僕らは全力で特別なものを見せていきたいなって。
芥:こういう事を言うと、取材用のフォーマットみたいに聞こえるかもしれないんですけど(笑)、うちらは本当にその言葉通りのものを見せますよ。
──有言実行でお願いします。それにしても、これからの活動が楽しみですね。
芥:そうですね。応援してくれるファンがいるのもそうですけど、うちらは恵まれているバンドだと思うので、そこに感謝しながら、これからも自由にやっていきたいなと思います。

Interview ERI MIZUTANI

『コタツとミカンと君と僕ワンマンツアー』
12/04(Fri)名古屋 ell.FITSALL
12/05(Sat)大阪paradigm Sold out!!
12/23(Wed)新宿BLAZE