Ba.明弥 |
Vo.ハロ |
Dr.正人 |
Gt.夢人 |
間もなく結成1周年を迎えるベル。“歌謡サスペンス”と付けたバンドコンセプトは、新作の「ビードロ」でも大いに発揮されている。
──現在、ニューシングル「ビードロ」制作の真っ最中の皆さんですが、仕上がりを100%とすると、今は何%まで出来ていますか?(取材は9月上旬に行いました)
一同:80%ぐらいですね。
夢人:帰ったら追い込み作業します。
──10月21日リリースですから、すごく順調と言えますね。
ハロ:そうですね。間に合いそうなので良かったです。
──それにしても、ベルには“歌謡サスペンス”というバンドコンセプトがあるだけに、新曲を出す度にアイデアがよく途切れないものだなと感心します。
ハロ:結成した最初の頃は、どうしようって言っていたんですけどね。
夢人:新曲を出す度に、これ以上は無理だって(笑)。
ハロ:そうそう(笑)。でも、変に余力を残してもしょうがないと思っているので、1作出す度に持っている全部の力を出してしまうんですよ。だから、前作を出した時もこれ以上のものは出来ないって思っていたし。だから、また新しいところを掘ってみて出てくるのを待っている感じなんですよね。
──そして出来たのが、今作。
夢人:「ビードロ」は、うちの天才が持ってきました。
ハロ:自信付いてきたって、あっきー言ってたよね。
明弥:うん、そうだね。ベルは結成して間もなく1年が経つんですけど、メンバーそれぞれの活かすポイントっていうのが分かってくると曲も書きやすくなってくるんですよ。特に、メロディとかはハロくんの歌い癖をイメージしながら作っていくので。それがうまくはまった曲が書けたかなと思います。
──今回、「ビードロ」を表題曲に選んだ最大の決め手というのは、何だったのでしょう?
ハロ:デモを持ってきた時点で、メンバー全員が、これ超良いじゃんって言ったんですよ。
明弥:6月ぐらいかな、ツアーも一段落したし、暇さえあれば曲を作ろうっていう期間を自分で設けていて。それで、一気に5、6曲ぐらい作ってメンバーに持っていったんですよ。だから、改まって選曲会っていうわけではなくて、自分で聴かせたい曲を持っていっただけというか。そうしたら、みんなから良いじゃんこれって言ってもらえたのが、「ビードロ」だったという。
──満場一致だったと。
明弥:自分としては、80年代的な楽曲をイメージして作っていったんです。だから、デモの段階からドラムもパーンと広がる感じにして。だけど、個人的にはこの曲が選ばれたのが意外だったんですよね。それだけ、表題曲というのを意識して作ってはいなかったので。でも、こういう形で使ってもらえてすごく嬉しいですけどね。
──80年代の楽曲をイメージして作られたとおっしゃいましたけど、その時代をリアルタイムで追い掛けていたわけではないではないですか。それでよく作れたなと。
明弥:あはは、そうですよね。まぁ、元々、その当時の楽曲が好きっていうのもあるんですけど。
──ちなみに、「ビードロ」というタイトルは原曲の段階からあったのですか?
明弥:その時点ではタイトルは無かったです。
ハロ:僕が付けたんですけど、基本的にタイトルは歌詞を書き終わって、1番最後に付ける事が多いんですよ。なので、「ビードロ」もそうでしたね。ただ、一言で歌謡感が伝わるものって難しいんですよね。なので、みんなでどういうのが良いだろうって話し合って、最終的に「ビードロ」というタイトルに落ち着きました。
──ビードロという言葉を最近ではあまり聞かない分、とても新鮮でした。
明弥:そこがミソだよね。
ハロ:うん。前作の「午前3時の環状線」もそうだったんですけど、どこにも被らない言葉って良いなと思ったので、今回もそうしたかったんですよね。とはいえ、歌詞はけっこう書き直しましたけど。
──情景が浮かびやすい歌詞になっていますが。
ハロ:そうなるように書いていきました。今回は3作目というところに加え、ベルとして初のMV付きとなるので、絵が浮かばない歌詞だけにはしたくなかったんですよね。だから、いつも以上に難しかったです。
夢人:でも、そうやって、明弥がどんどん良い曲を持ってくるから、僕が曲を作る時に追い込まれるんですよ。あれ、これって明弥の曲に似ているかも!?って(笑)。
──メンバーが1番のライバルだと(笑)。正人さんはいかがですか、「ビードロ」に関しては?
正人:僕が1番最初に聴かせてもらったと思うんですよ、この曲。
明弥:移動中にね。
正人:そう。それで、これ作ったんだけど聴いてみてって言われて。その時に、僕はこの曲でいこうって思いましたね。
──それほど印象が良かったというわけですね?
正人:何か、うちのバンドってドラム的には裏打ちの曲が多かったんですけど、これはそうではなかったのですごく新鮮だなって。
明弥:確かに、こういうリズムは無かったよね。
ハロ:さすが明弥先生。でも、やっぱり、メンバーが直感で良いって思った曲が、リスナーも良いって思う曲だと思うんですよね。だから、素直に良いって思えた曲がこれだったっていう。だけど、この曲が出た時点では、まだ夢の曲は出来て無かったんですよ。それで、その後に「あなたまぼろし」っていう曲を持ってきてくれて。これがA面でも良いって思ってしまうほど、良い曲だって夢以外の3人で言ってたんですよ。
夢人:だからと言って、A面を狙っていこうっていう意識は無かったんですよ。既に「ビードロ」が表題曲になるって決まっていたし、それよりも、バンドの力になれればっていう気持ちで「あなたまぼろし」は作っていきましたね。
──そうだったんですね。どちらもA面向きですが、今回は「ビードロ」が表題曲に選ばれて良かったと思います。ところで、先日録り終えたというMVですが、どのような内容になっているのですか?
ハロ:ヤバイですよ。これは衝撃の問題作になっていると思います(笑)。
──想像するに、歌詞の世界観が活かされた映像になっているのかなと思ったのですが?
ハロ:いえ、それが全く違うんですよ。何なら、イメージシーンも無いと思います。
──演奏シーンはありますよね?
夢人:それは、フルで演奏してます。
ハロ:でも、普通の仕上がりになっていないというか。
夢人:きっと、誰も想像出来ない感じになっていると思います。
明弥:メンバーがこんな事までしちゃうんだ!?っていう、想像も付かないMVになっています。
夢人:監督さんから、初MVなのにここまでやって大丈夫なの?って言われたんですよ(笑)。しかも、正人にとっては人生初のMV撮影だし。
正人:うん。あまりにも強烈だったので、絶対に忘れないと思います(笑)。
──それにしても、MVの中身が全く想像出来ないです。バンドコンセプトである“歌謡サスペンス”は活かされていますか?
ハロ:もちろん、歌謡の部分は活かしています。ただ、サスペンスというと…………。
明弥:むしろ、俺がサスペンス(笑)。
夢人:そういった部分も含めて、面白く観られると思いますよ。
──衝撃的と取るか、笑撃的と取るか(笑)。でも、曲もそうですけど、映像に関しても、初回からハードルを上げてしまいましたね?
ハロ:ほんとですよ。次はサスペンスの部分を活かして、崖で撮るしか無いですよ(笑)。でも、僕らとしては、最初から最後まで観たくなくなるような内容にしたかったので、今回のMVは大成功だと思いますね。
夢人:楽しみにしておいて下さい。僕らも楽しみにしているので。
──はい。「マリオネット」は、夢人さんの作曲ですね?
夢人:「マリオネット」は、自分の中では振り切っている曲なんですよ。これこそ、歌謡の要素を結構出していて。こういった曲調って昔からやりたかったんですよね。元々、懐メロ好きだし。だから、“歌謡サスペンス”をバンドコンセプトにしているベルで出来て良かったです。
ハロ:これも良い曲だよね。
夢人:最初、この曲のサビが「ビードロ」と似ていたんですよ。それだけ、明弥の作る曲と方向性が完全に一致しているんだなって思ったし、それによって自分も安心して曲を作る事が出来るんですよね。
正人:「マリオネット」は聴いた段階で、ドラム的にNHKの『のど自慢』を思い出したんですよね。歌う人の後ろでヘッドホンを付けながら演奏している紳士をイメージが出来て(笑)。だから、レコーディングでも、アーティストを引き立たせる職人に徹して叩いていきました。
ハロ:そういえば、この曲だけタイトル先行だったんですよ。僕、頭にメロが入るまでずっとデモを聴くんですけど、これは絶対にマリオネットだって思ってしまって。それで、先に「マリオネット」っていうタイトルを付けて、操り人形というところから派生させて歌詞を書いていったんです。
──季節感もしっかりと出ていますしね。また、明弥さんが作曲された「音見世ディスコ」は雰囲気がガラリと変わっていて。
明弥:そうですね。この3曲を並べた中で、ライヴ曲が欲しいなと思って。今ある自分達のライヴ曲に比べるとテンポが遅いんですけど、歌詞と合った曲になったと思います。
ハロ:ダンスフロアというか、そういうのを思い起こさせる曲にしたいなって。
明弥:クラブでは無いんですよね。あくまで、ディスコの雰囲気。
──ライヴでは、お客さんを巻き込んで楽しい感じになりそうですね?
明弥:そうですね、コーラスもメンバーで入れたので。そこにいる人全員が魅了されるような曲になったと思うので、実際のライヴでのみんなの反応が楽しみです。
──この4曲からも分かるように、皆さん本当に楽しんでバンドやっているなぁと。だからこそ、10月18日に新宿ReNYで行われる1周年記念単独公演「歌謡サスペンス劇場-急-」で、ベルがどのように成長するか楽しみでなりません。
ハロ:ここでは確実に新曲を全部披露すると思います。
夢人:それにしても、あっと言う間の1年でしたね。今、うちって何曲あったっけ?
明弥:ワンマンをやるのに丁度良い曲数は揃っていると思うよ。
──何だか、去年の今頃にデモンストレーションワンマンをやっていたのが、遥か昔の事のように感じられます。
明弥:あぁ、そうですね。あの時はまだ10曲も無かったですからね。
夢人:よく、人から、ベルって何年もやっている雰囲気だねって言われるんですよ(笑)。それだけ、数多くライヴやっているのかなって。当たり前かもしれないけど、この夏でそれぞれのパートがうまくなりましたからね。
──さすが、イベントライヴをたくさんやっただけありますね?
夢人:良い事です。
──言われてみると、ベルのライヴって観ていて安定感があるんですよね。結成して1年経つバンドとは思えないぐらいに。
明弥:逆に、フレッシュさが出せないんですよね(笑)。でも、そこに関しては悩んだ時期もあったんですよ。
夢人:あった、あった。
明弥:周りからは順調にいっているように見られるんですけど、実はそんなんじゃなくて。自分達でやっている自主バンドだからこそ、地道な作業の上に成り立っているし、何より、前のバンドのイメージじゃないですけど、自分達の玄人感っていうのが新しいバンドでやっていく上でどうなんだろうって悩みはありました。だから、ライヴ映像を観てずっと研究してましたね。
夢人:僕なんか、ギターのストラップを下げてみたりしましたから。
──それで、結果的には?
夢人:上げました(笑)。
明弥:結論としては、自分が出来る事を頑張っていこうっていうところに行き着いたんですよね。ステージングも大事ですけど、何よりもやっている曲に僕達は自信があるので、まずはしっかりと聴いていただこうと。
──曲がちゃんとしているからこそ、“歌謡サスペンス”というバンドコンセプトがブレて聞こえないんだと思いますよ。
夢人:うん、このスタイルはしばらく変えずにやっていこうと思ってます。
──ここからが勝負ですね?
夢人:そう思います。だからこそ、慎重に。でも、うちのメンバーはしっかりしているんで、そこは安心です。
ハロ:おそらく、変換期と呼ばれるタイミングはいずれ僕達にもやってくると思うんです。でも、今は変わらずに、遊び心を持ちつつ、しっかりとやっていこうかなと。自分達が自分達を嫌いにならないような環境でずっと出来たらいいなって思いますね。なぜか、このままの調子でやっていけば大丈夫だろうという根拠の無い自信が僕達にはあるので。だから、心配はないです。でも、まずは、ニューシングルの「ビードロ」を聴いてもらえたらと思います。
Interview:ERI MIZUTANI
ベル1周年記念単独公演
「歌謡サスペンス劇-急-」
2015.10.18(SUN)新宿 ReNY