Vo.暁

Gt.來堵

 Gt.奈緒

 Ba.祥平

 Dr.堕門

──アルルカンは結成以来、ライヴハウスを中心にライヴを行ってきただけに、正直なところ、渋谷公会堂でワンマンを行うのは早いのではないかと思ったのですが、8月9日、実際にライヴを観てみると、あんなにもホールが似合うバンドに成長していたとは驚きました。
堕門:やっぱり、1度、イベントライヴで渋谷公会堂に立たせてもらったというのは大きかったですね。
──それは、年末のOTE(【OVER THE EDGE】)ですか?
堕門:はい。少ない時間でしたけど、そこで挑んでみたからこそ、足りない部分にも気付くことが出来たし。
祥平:ただ、短かったので、渋谷公会堂に立っているという実感はあまり出来なかったんですけど(笑)。
暁:でも、立てて良かったです。1つ言えば、ピン(スポット)が強かったぐらい。
堕門:あぁ、照明強かったよね(笑)。
奈緒:しかも、下から当たってから、すごいまぶしいなぁっていう記憶が(笑)。
──今だから話せる事ですね、それ(笑)。
祥平:でも、ワンマンの日はちゃんと客席が見えたんですよ。まぁ、緊張が無かったというのもあるかもしれないんですけど。
──それは良い事です。当日は、皆さん最初からリラックスしているように見えました。
暁:確かに、緊張は無かったですね。でも、僕はどこに居ても変わらないんですよ。それより、行ってそこで何をするかっていう方が大事なので。
──どちらかと言えば、ファンの方が緊張していたかもしれませんね。どうかうまくいきますように、と。
祥平:あぁ、そうですよね(笑)。
堕門:そういえば、貰った手紙にも書いてありました。僕がメンバーの中で緊張するっていうのをファンの子も知っているので、たもっちゃん大丈夫?ヒヤヒヤしながら観ていましたよって(笑)。
暁:でも、何も知らないところからの渋公だったので、観ている子がそうなるのも無理はないな。当日のライヴを観て、アルルカンはやっぱライヴハウスの方が良いなって思った子もいるだろうし、ホールでもこれだけ出来るんだって感じてくれた子もいると思うんです。だから、後々、全員を説得出来るようなバンドにはなりたいですね。
──でも、良いタイミングでホールワンマンに挑戦する事が出来たのではないですか?
暁:はい。でも、やっぱり、ここも通過点なんですよね。
──そうですよね。バンドの登竜門と言われる渋谷公会堂ですけど、決してここが最終地点ではないわけですし。
暁:結成から最短で渋公とか言われていましたけど、意外とメンバーはそこまで考えていなかったんですよ。けど、それが逆に良かったのかなって思います。
──ツアーありきでの渋谷公会堂というのも良かったのかもしれませんよね?
暁:そうですね、6、7月とツアーを回った上でのファイナルだったので。
祥平:そう思うと、夏のハイライトになったんじゃないかなと。
暁:でも、振り返ると夏だけじゃなくて、今年初めから大きな出来事が続いているんですよね。リキッドルームでライヴをやった時もすごく考えて取り組む事が出来たし。そうした意識の変化があったからこそ、その次のライヴに繋がっていったんだろうなっていうのはすごく感じました。
──本当に、今年初めから夏まで、一気に駆け抜けた感じですよね。それだけに、渋谷公会堂ワンマンが終わってから、お互いにお互いの事を労ったりしたのかなと?
來堵:無いですね(笑)。
暁:次もっとやらないといけないんで、どうしようねっていう話はしましたけど。
奈緒:まぁ、余韻に浸る感じは無かったですね。
暁:だって、次の日は渋大(8月10日に行われた【beauty;tricker~渋谷が大変~】の事)だったしね。
祥平:でも、面白かったよね。翌日に渋大だからって、ワンマン終わったらみんなすぐに帰っていって。
暁:そういえば、打ち上げってしてないな!
來堵:REALiesと合同ではやったけど。
奈緒:あぁ、そうそう。でも、いつもみんなでご飯食べてるんで、わざわざ打ち上げなんていいかなって(笑)。
──そうやって、浮き足だっていないところがアルルカンの良いところです。
暁:そうなんですかね(笑)。でも、地に足を付けて活動していこうって決めてやってきたので、そう言ってもらえるのは嬉しいです。
奈緒:でも、いつも次の事ばっかり考えているので、渋公で発表したEAST公演も、始まる前からずっと思っていたんですよ。後、僕は映像の編集と新曲制作も同時に行っていたので、とてもじゃないけど渋公の余韻に浸っていられなかったというのはあります。
堕門:考えてみたら、俺もそうだったわ。
奈緒:たもちゃんにも一緒に編集を手伝ってもらってたんですよ。それがかなりの鬼畜スケジュールで。
堕門:そうですね(笑)。でも、そういった編集をするのが初めてだったので、自分の為にもなるし、やりたいって言って。
暁:やっぱり、余韻どころじゃないっていう(笑)。
奈緒:そして今は、新作「クオリア」のカップリング曲を作っているので、忙しいんですよね(笑)。
──それは大変、取材しているどころじゃないですよ!
奈緒:いやいやいや(笑)。
──ちなみに、先程おっしゃっていたEAST公演は、10月18日から始まる東名阪ワンマンツアー【「空」だから手を伸ばす】のファイナルの事ですよね。こちらは、12月9日に開催されますが、既にそこまで考えていたとは。
奈緒:そうですね、今まで、会場のキャパを上げる事を優先的に考えてたのもあって、渋公の先ももっと大きなところをって思っていたファンの子もいると思うんですけど、僕らとしては、僕らが満足出来るところでやれるのが1番大事だったと思ったので、EASTを選びました。
暁:アルルカンにとって、EASTが初めてチケットがソールドアウトしなかった場所でもあるんです。だから、自分達がどうありたいかっていうのを考えた時に、EASTをもう1度きちんとやりたいなって。渋公だって、やりたいと言ったから出来る場所ではないわけで。それでも、機会を与えてもらったからにはそこに向かって一生懸命やっていこうと。結果として、自分達の成長にもなったと思うんです。それならば、そのままキャパを上げるのではなく、まずはEASTをきちんとしておきたいなと。それでこそ、より地に足を付けた活動が出来ると思うんですよ。
──これはもう、確実にチケットをソールドアウトさせるしかないですよね?
暁:頑張ります。
──2階席も埋め尽くす気持ちで頑張って下さい。
暁:2階も!? あぁ、でも入れるだけ入れたいですね。
──楽しみにしていますよ。そして、11月4日にリリースされる6枚目のシングル「クオリア」ですが、現在(取材は9月下旬に行いました)は制作真っ只中という事で。表題の「クオリア」のみ先に聴かせていただきましたが、とても良い曲でした。
暁:今までは曲の全てを奈緒が作っていたんですけど、今回からそのやり方を変えようって。奈緒が作る曲があってこそのアルルカンだったし、僕はそれが良いと思うから奈緒と一緒にバンドをやっているんですけど、5人でやっている事をもっと形に出来たらいいなと思って、みんなで曲を作る事になりました。僕も作曲に関してはよく分からないなりにも意見を言って。
──白熱の議論が交されたのではないですか?
來堵:白熱した?
暁:いや、ふわっとしてたな(笑)。
奈緒:最初、メンバーだけで作ると言ってもすぐに形にはならないとは思ったんです。だけど、そこで僕が意見を出したら僕の色が出すぎてしまうじゃないですか。それはどうしても嫌だったんですよね。
──今までメインコンポーザーとして曲を作ってきたのだから、普通なら反対の考えが出そうなものですが?
奈緒:今までずっと曲を書いてきて、自分の引き出しの少なさっていうのに気付かされたところもあるんです。でも、それは1人で作っているからそう思ったのかもしれないんですけど、このままの状態でいると先には進めないと思ったので、今回メンバーの力を借りる事にしたんです。それが結果的に、自分の為にもなると思ったし、バンドの為にもなるだろうから今すぐにやるべきだと思って。それで、なるべく自分の意見は少なくしつつも、的確な意見を言えるようにしようって思いながら、「クオリア」の制作には携わりました。なので、僕は自分のフレーズだけ作った感じですね。それで、その後に、他のメンバーの音を確認していくという。
──では、ジャムる感じで作っていったという事になりますか?
奈緒:あぁ、それに近いかもしれないです。ロングトーンあるけど、次どうする?とか。そんなやり取りをしていましたね(笑)。でも、それが新しい刺激というか、すごく楽しかったです。
堕門:僕らがどうしようってなった時に、奈緒っちが、もう俺は喋らないから、思った事があったら言うからって言ってくれて。それが新鮮だったし、僕らにとっても曲を作る事によって奈緒っちが今までやってきた大変さに気付くことができたんですよね。
──バンドに新しい風を吹かせる事って本当に難しいと思います。でも、そうやって自らが変えていこうという意志を持って進んでいくのはかっこいいなと。
奈緒:せっかくやろうってなったのに、途中で話がなくなるのは嫌だったんですよね。だから、みんなに逃げられないように、最初から表題で行くからって伝えて(笑)。
──カップリングにしなかったのがミソですね?
奈緒:表題曲をみんなで作る事によって責任感が生まれてくれたらいいなって。おかげで、良い感じにピリッとした空気の中で制作する事が出来たし、バンドとして強くなれたと思います。
暁:バンドがバンドとしてあろうとした時に、こういう形を選んだのは当然なんじゃないかって思いますね。
──確かに。皆さんで曲を作るというのは、最高の選択だったのではないでしょうか?
祥平:何か、分かっていたけど目をそむけていた部分っていうのもあったんですよね、個人的には。それこそ、今までは曲を良くする為にベースを弾いてっていう、やっている事だけで言えばサポートのベーシストと変わりないぐらいだったので。だけど、「クオリア」を通して、ちゃんと自分でジャッジして、良いと思うものを自分で決めてっていう工程が出来たんですよ。今までは奈緒に何でも聞いていたので。だから、そこはこれからの自信にも繋がりました。
來堵:俺は、こうなりたいっていう憧れのギタリスト像が元々無いんですよね。エンターテイメントというか、パフォーマンスがやりたくてギターという手段を選んだので。練習はめちゃくちゃするし、弾く事も好きなんだけど、こういう自分を出したいっていう気持ちがあまり無いんですよ。常に受け身というか。だから、奈緒との相性も良いと思うんですよね。それで満足できる人間だったんですけど、今回この曲をみんなで作曲して、自分の提示の仕方から考える事が出来たので、曲の中で自分の気持ちとかも出ているんじゃないかなって思います。だからこそ、今後もこういう場があるのであればどんどん増やしていって、自分らしいギターをはっきりと提示出来ればいいかなって思いますね。
──聴いてすぐに、これが來堵の音だと受け取ってもらえたら最高なのでは?
來堵:うん、そうですね。
──楽器陣が底上げしてきたとなると、暁さんも負けていられませんね?
暁:僕はもう、突き放しに行くだけです(笑)。これからも、自分がどういう人間なのかっていうのを、曲を通して出すだけなので。でも、「クオリア」は意味を持って作った曲だけに、ここまで大事な事をバンドにもたらしてくれたっていうのはほんと大きいです。だから、こうした僕達の変化を喜んでくれるファンの子がいてくれるなら、それはすごくありがたい事ですね。
──「クオリア」は、ネガティブな意味での変わったではなく、良い意味での変わった曲なので、きっとファンの方も多いに支持してくれると思いますよ。だからきっと、これから作られるカップリングも素晴らしい曲が並ぶのだろうなと期待しています。
奈緒:そうですね。変わるところでは変わっていって、変わらないところでは絶対に変わらないというスタンスで、これからも貫き通して行きたいですね。やっぱり、僕達だけでは活動は出来ないんですよ。支えてくれる関係者やファンの子がいるから今の環境がある。だから、そこは第一に守りつつ、新しい事に挑戦出来るこの環境に感謝してバンド活動を続けていきたいなと。それが、僕達にとっての目標であるし、やるべき事なんじゃないかなと思うんですよね。
暁:だからこそ、これからも媚びずに、自分達がしたい事をやっていきたいなと思います。

Interview ERI MIZUTANI

アルルカン 2nd Anniversary
東名阪 ONE MAN TOUR FINAL
『「空」だから手を伸ばす』
2015年12月9日(水)
渋田 TSUTAYA O-EAST