──新メンバーに直人さんが加入されてからしばらく経ちますが、いかがですか?
玲夏:お酒に強くなりましたね。
直人:強くされたんです(笑)。
──プライベートの面でも、すっかり意気投合しているようですね。そして、10月28日には待望のニューシングル「恋ができない」がリリースされます。本当に、待望という言葉が今回はぴったりなのではないかなと。何せ、1年5ヶ月ぶりのシングルとなりますからね?
幸樹:そうなんです。だからと言って、ファンに対して、待っていてくれてありがとうというメッセージ性を強く出すよりかは、本来の音楽で返す方が僕ら的にも合っていると思うし、むしろ、そうすべきなのかなって。なので、そういった想いで制作には取り組んでいきましたね。
──1年5ヶ月ぶりというだけあって、どのように変わってしまうか心配していたんですけど、聴いてみたらいつもどおりのダウトらしさが出ていて安心しました。
幸樹:今までも、音楽性を変えようと思って意識した事は無かったんですよね。だから、今回も意図的にそうしようっていう話も出なかったし。
──「恋ができない」を表題曲に持ってきた決め手とは、何だったのですか?
幸樹:これ、前に出した「ざんげの花道」からあった曲なんですよ。その時から、僕はずっと出したいと思っていたので、今回の選曲会の時に改めて聴いてみて、やっぱり曲が立っているなと思ったので選びました。
──そこは、作曲者である玲夏さんのプレゼンがうまかったのも影響していますか?
幸樹:いや、それはゼロですね。
玲夏:そもそも、プレゼンしてないっていう(笑)。でも、制作期間を入れると2年前からあった曲なんですよね。ということは、音楽性が変わってなくて当たり前かぁって(笑)。
──特にアレンジも直さず?
玲夏:ちょいちょいはいじりましたけどね。やっぱり、2年前の時とは自分のモードも変わっていたりするので、そこは今のモードにマイナーチェンジして。でも、それぐらいですかね。
──ちなみに、制作を始めた2年前はどんな気分だったのでしょう?
玲夏:うーん。何か、メロディの聴き触りは重視しちゃいがちなんですけど、多少難解でも独自のものっていうか、それが欲しくなったので、こういう曲を作ったっていう感じですね。
──1曲の中に色々な展開を詰め込んでくるところに、玲夏節を感じましたよ。
玲夏:何でもありというか。今回は3曲通して、全部そんな感じがするんですよね。だから、気難しく考えずに出揃った曲だなと思います。ただ、「恋ができない」のガラッと展開が変わる部分は後から新しく付け直したんですよ。ライヴでスムーズに運べるように計算はしているんですけど、初めて聴いたらびっくりすると思います。
──威吹さんが最初にこの曲を聴いた時は、どのような印象を受けましたか?
威吹:最初に聴いた時は、Cメロの展開がまだ無かったのでそこまで驚かなかったんですけど、途中からこういう感じでいきましょうってなってからは、あぁそうなんだっていう感じでしたね。でも、今回はこの曲に限らず、全曲通して面白いので良いと思います。
──ギターチームは、以前に比べてまた腕を上げられましたね?
ひヵる:そうですか??
──相変わらず謙虚な。
威吹:今回、録り自体はむちゃくちゃ早かったんですよ。カップリング2曲も、つるっと弾いて、後は間違えたところを直すっていうぐらいだったので。なので、スムーズに出来ましたね。
──口頭でお互いにやり取りした事などは?
ひヵる:家に行ってやり取りしましたね。
威吹:珈琲を出してあげました(笑)。
ひヵる:久しぶりにやり取りをしたので、何か良いものだなって思いました。
──そういう時って、すぐに仕事に取り掛かれるものですか?
威吹:とりあえず、珈琲を一杯飲みました。
──あぁ、それは大事ですよね。
ひヵる:で、ご飯でも食べに行きましょうかって。
──いつまでもスタートしないじゃないですか!
威吹:ちゃんと仕事が終わってから行きましたよ(笑)。
──ですよね(笑)。では、直人さんが「恋ができない」を最初に聴いた時の印象というのは?
直人:デモはもう少し複雑だったんですよ。何か、プリプロをやってシンプルになりましたね。ただ、らしさは出したいなと思ったので、そこは要所、要所で作ってやっていきました。
──メンバーからの具体的な要望などはありましたか?
直人:いや、好きなようにやらせてくれるんですよ。なので、今のリアルが出せたかなと思います。
──なるほど。ちなみに、今までのレコーディングの仕方と大きく変わったところというと?
直人:今回は、メンバー全員で「せーの!」で録ったんですよ。前にサポートの仕事をやっていた時はそういうやり方もやっていたんですけど、久しぶりにこういった録り方をすると楽しいなって。どちらかというと、レコーディングって嫌いなんですよ、俺(笑)。だけど、こうやってメンバーと向き合って録る事が出来たっていうのはすごく良かったですね。それもあって、一体感が出ているんじゃないかなって。
──玲夏さんからも、さぞかし褒められたんじゃないですか?
直人:録りに関してですか? 無いですよ、そんなの(笑)。
玲夏:いちいち褒めないですよ(笑)。でも、何も言わなかったら良い感じという事なんです。
──では、玲夏さんがこの曲で、ここは良いと思えるところはありますか?
玲夏:そうですね、音が良い。
──実に単純明快な(笑)。
玲夏:今回、「せーの!」で録ったじゃないですか。でも、その前に音作りに結構時間が掛かったんですよ。竿を選び、アンプを選びって、色んなパターンを試してからやるんですけど、何か、みんな待っているしなぁって。こっちは集中してやりたいのにって。
直人:僕らは何も言ってないんですよ、待ってるよとか。でも、気使いだからそう思ってしまったらしくて(笑)。
玲夏:でも、結果、録り音は満足出来るものになりました。なので、この曲のポイントは音ですね。久しぶりに良い曲が録れたなって思います。
──でも、やはり歌詞の力は強いですね。ダウト独特の世界観が今回も繰り広げられています。
幸樹:逆に、前と比べて引き算しているんじゃないかなって思いますね。何か、この曲で1番意識したのは共感なんですよ。アーティストとしては、ひとひねりあるものをと、こだわってしまいたくなるんですけど、そこは敢えてやめて、心に刺さるものをピンポイントで書いていきました。……してます、恋?
──その質問、私が今、幸樹さんにするところですよ(笑)。
幸樹:あぁ、ほんとですか(笑)。まぁ、もちろん経験に基づいて書いていったところもあるんですけど、恋の仕方を忘れてしまった人に対して、この気持ちってどこか分かるなと思ってくれれば良いかなと。人間くささが出ている歌詞だと思います。
──また、この曲では短編映画も撮ったそうですね。ダウトにとっては初の試みとなるのではないですか?
威吹:俺は、直人の演技を褒めましたけどね。
直人:音楽的なところじゃなくて、演技を褒められるっていう(笑)。
幸樹:自分達で短編映画を作って、それをタイアップにしてしまえば良くないかというのが、今回、短編映画を作ったきっかけなんですけど、曲に1番合う映像を撮っていった感じですね。
──そうした発想からだったんですね。
幸樹:でも、撮ってみて、プロの俳優さんってすごいんだなって思いましたよ。
──いやぁ、皆さんも負けてはいないのでは?
幸樹:それが、演技に関しては全くの素人です(笑)。確かに、PVでイメージシーンとか撮ってきましたけど、それとちゃんとした演技は別物なんですって! 正直、撮る前は俺もいけるかなと思ったんですよ、ところが全く無理で!
玲夏:台本無し、演出無しってなると、頼れるものは自分だけっていう(笑)。
──せっかくですから、それぞれの役柄を教えて下さいよ。
直人:俺はオタクの役をやったんですけど、NG出さなかったですからね。
幸樹:演技では無く、本来の直人が出てたよね。
直人:えっ、褒めてるの?
幸樹:褒めてるよ(笑)。
直人:中途半端が嫌いなので、とことんやってやりました。
玲夏:映画の内容が、1人の女性に恋をする5人というのを描いているんですけど、俺は、テニスプレイヤーの役をやりました。まぁ、テニスの経験なんて無いんですけどね(笑)。
幸樹:僕は、ギャンブルで借金まみれになってしまい、組織に運ばれた後逃げ出すっていう役柄で。何だか、1人だけサスペンスでした。
──それは、経験に基づいて出来ない難解な役どころですね(笑)。
幸樹:5人の中で1番難しい役が回ってきてしまいました(笑)。
威吹:俺は、ホスト役です。
幸樹:それは、経験に基づいてやったんですよね?
威吹:やった事もないし、そういった店に行った事もないから(笑)。なので、男役の俳優さんから演技指導をしてもらいました。自分からしたら過激なシーンが多かったので恥ずかしかったです。
幸樹:あぁ、ベッドシーンの事か。
直人:えっ、ほんとに!?
威吹:無いから。嘘だから(笑)。
──メンバーが引っ掛からないで下さい(笑)。
直人:あー、びっくりした(笑)。
──ひヵるさんは、どんな役どころだったんですか?
ひヵる:フリーターです。何か、コンビニに行ってレジにいる女の子を好きになるっていう役だったんですけど、メイクとかもしなかったので、意外と普通に演じる事が出来ましたね。
──それぞれ、良い経験が出来たようで。
直人:ほんとですよ。俺ドラマーやってなかったら、俳優やりかったですからね。
玲夏:好奇心旺盛だな(笑)。
──まぁ、それもダウトにいるから出来る事ですけどね。
幸樹:ボソッと言ってましたからね、演技が出来た、ダウトに入って良かったって(笑)。
──短編映画含め、曲の良さを味わっていただきたいですよね。第2弾がある事を楽しみにしております。
幸樹:という事で、映画等のご出演依頼があれば、是非!
──こちらまで(笑)。そして、カップリングとなる「はいからさん」と「反骨。」も聴きごたえのあるものとなりました。
幸樹:「はいからさん」は、人生って結局、容姿が良い人が得するなっていう妬みの曲ですね。これも「恋ができない」同様、女性目線で描いている曲になっています。最後に謎解きと聴感で楽しませようかなと思っていて。だから、そこはこだわりました。
──この曲は幸樹さんの歌声の良さが出ていますね。そこは、花見桜幸樹としての活動が活かされているなと感じましたよ。
幸樹:ありがとうございます。やっぱり、ソロ活動をやってみて、歌う事がより好きにはなりましたね。
──もう1つの「反骨。」は、これまた玲夏さんの作曲です。
玲夏:新しいチャレンジというのは毎回どの曲に対してもあるので、この曲もそうなんですけど、これだとベタだから敢えて崩そうっていうアレンジの仕方をしていきましたね。
直人:いじりがいのある曲だと思います。だから、背伸びする事なくかっこつけていったというか。「はいからさん」もそうですけど、遠慮する事なく叩けた曲です。
ひヵる:やっていて面白い曲でしたね、どちらも。
威吹:カップリングの2曲は同じ日に録ったんですけど、音作りの時間をいっぱい取ったんです。買ったエフェクターを試すなど、ひヵるとプロデューサーの方と3人で色々とやっていったんですけど、すごく楽しかったですね。そのおかげで録りがスムーズだったんだと思います。
幸樹:「反骨。」はタイトルどおりでもあるんですけど、半年間の葛藤をストーリーありきで書いているんです。何を言っているのか分からないところもあるかもしれないんですけど、そこは聴き手それぞれが噛み砕いて聴いてもらえたらなと。
──本当に、3曲通して表現の幅が広がりましたね。だからこそ余計に、来年早々にリリースされるニューアルバム『心・技・体』の中身が気になります。
幸樹:ちょうど、さっき、選曲会をしてきたところなんです。今回もきっと、良いものになると思いますよ。僕としても、出来上がりが今から楽しみです。
──そして、近い予定といいますと、11月にメンバープロデュースのワンマンもありますが?
幸樹:初日のアコースティックライヴとか、どうなるか気になりますよね。あと、気になるのは、玲夏プロデュースの“プリンセス限定GIG”かな。
玲夏:それ、プリンセスじゃない。
幸樹:あっ、“プライスレス限定GIG”か。そうだよね、そんなメルヘンな事やらないよね(笑)。でも、どれも楽しんでやれたらいいなと思います。

Interview ERI MIZUTANI

2016年新春 全国ツアー「心・技・体」
2016年1月17日(日) 高田馬場AREA
2016年1月22日(金) 札幌 DUCE
2016年1月23日(土) 札幌 DUCE
2016年1月25日(月) 青森 QUARTER
2016年1月27日(水) 仙台 MACANA
2016年1月31日(日) HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
2016年2月2日(火) 横浜BAYSIS
2016年2月5日(金) 長野LIVE HOUSE J
2016年2月7日(日) 金沢 vanvan V4
2016年2月9日(火) KYOTO MUSE
2016年2月11日(木・祝) 高松DIME
2016年2月13日(土) 岡山 IMAGE
2016年2月14日(日) 広島 セカンド・クラッチ(旧ナミキジャンクション)
2016年2月16日(火) 福岡 DRUM Be-1
2016年2月20日(土) 神戸 SLOPE
2016年2月21日(日) OSAKA MUSE
2016年2月27日(土) 名古屋ボトムライン

ダウト自作自演。祝9執念ツーデイズ公演
3月4日(金)LIQUID ROOM(単独公演)
3月5日(土)LIQUID ROOM(主催イベント)