Gt.Sizna

Dr.Soan

 Vo.Hitomi

Ba.Ivy

Gt.vivi

――本日は、HitomiさんとSoanさんのお2人に話を聞いていこうと思います。9月21日の解散ライヴを終えてからも何かと忙しく作業をしていたそうですが、その甲斐もあって12月24日のクリスマスイブに、何と4タイトル同時で作品が出るんですね?
Soan:そうなんです。5人の作品がクリスマスプレゼントという形でファンに届けられるのはすごく良かったなと思いますね。
――忙しくしていたという事は、解散ライヴの余韻に浸る暇もなく?
Soan:俺は浸ってないですね。
Hitomi:何せ、ライヴの1週間後ぐらいから新曲の作業に入ってしまっていたので。
Soan:解散したアーティストの動き方じゃないですよね(笑)。
――本当に(笑)。それにしても4タイトル同時リリースは嬉しい限り。まず、ベストアルバムの話から聞いていきたいのですが、時系列にそって2枚に分かれているんですね?
Hitomi:Moranで出した楽曲は最終的に70曲以上あるのかな。それで、新曲を1曲追加して。2008年から2012年に出した楽曲と、2012年から2015年に出した楽曲で分けたんです。前者は、veloが作った「rub」と「マニュキュア」が収録されます。この曲は、ライヴでは定番となってはいたけど音源としては未収録で。
――そうでしたね。また、こちらの作品にはZillさんの楽曲も収録されています。そこはファンにとっても嬉しいのではないでしょうか?
Soan:そうですね。本作では、許可を取って今のMoranのメンバーで新録をしているんです。あと、楽曲だけじゃなく、ブックレットにもこだわっていて。何と、当時のメンバーの写真が入っているんですよ。
――そういった仕掛けがあるとは。Soanさんは、こちらの作品で印象に残っている曲はありますか?
Soan:1曲目の「Element」は印象深いですね。1stシングルながらに、完成されていたなって。そこは、歌詞の力もあるんだろうけど。
――世界観は最初から濃かったですからね。
Hitomi:歌詞に関しては、個人的にはどれも気に入ってるんだけど、その中でも「Element」は、すごく思い入れが深い。最初の作品だからっていうのもあるけれど、敢えてこの曲を1stシングルのA面にしたっていうのは、普通のバンドではなかなかやらないだろうって。Moranというバンドのイメージを作る上でこういう曲をA面にっていうところで、すごく世界観を大事にして書いていったなって。あと、「カクタス亜科」も傑作だなって思う。この曲を好きなファンも多いし。
――Moranは奇抜な事をやっているバンドというイメージもあると思います。でも、メンバーはそれをいつも自然体でやっていて。そこがすごいなと思いますよ。
Soan:うん、裏をかこうって思ってやった事はないですからね。
――では、曲で言うと、Hitomiさんはこの中でどれが印象に残っていますか?
Hitomi:やっぱり、「同じ闇の中で」は、自分にとってもMoranにとってもすごく大きかった曲だなっていうのはあるかな。この曲、ファン投票でも1位を獲った事があるんですよ。昔、ファン投票ライヴっていうのをやった事があって。ランキング形式でカウントアップしていくんだけど、見事に1位でしたね。
――この曲のどういった部分が、ファンから支持されたと思います?
Soan:俺の目線で言ってしまえば、曲のタイトルからバンドの世界観を反映しているっていうのと、楽曲のクオリティがすごく高かったところですね。それは歌詞も含めてだけど、Moranの真骨頂を見せる事ができたなって。だから、そういったところがファンからも支持されたのかなって思います。
――逆に、これだけの楽曲を出してしまうと、その後に作る楽曲へプレッシャーはなかったのかなと?
Soan:ありましたよ。だから、「同じ闇の中で」は、俺の中で永遠のライバルでしたね。あと、「Party
Monster」も。だからこそ、これよりも絶対に良い曲を作ってやるって思う事ができたんですけどね。
――自分のバンドで出した曲がライバルっていうのは、何だか素敵です。
Soan:ただ、この曲を出した後に、Moranは無期限活動休止の道を選ぶんです。それからしばらくして、また気持ち新たに始めるとなった際、過去の自分達の曲をプレイバックしたんです。そこで俺はこの2曲が改めてライバル曲になりましたね。「やっぱ、あの曲の方が良いよね」って言われたくなかったんだと思います。
Hitomi:それってきっと、うちに限らず他のバンドでもぶつかる問題だと思うんですよね。それこそ、初期に出している曲ってなかなか超える事ができないじゃないですか。
――あぁ、確かにそうですね。
Soan:初期の曲に力があるのは、時間が経つと深みが増すのに対してライブでなど聴けなくなるからだと思うんですよ。リリースを重ねていくと、良い意味でバンドって進化していくわけで。だけど、そういった中で昔に出した曲をライヴで1曲演奏すると盛り上がるというか。その破壊力はすさまじいなと思います。
――そう思うと、こちらの作品は懐かしさもありながら、改めてMoranの基礎の部分を味わえますね。そして、もう片方のベストは、今のメンバーとなってからの曲が満載です。
Soan:さっき、奇抜な事を自然体でやっているって言ってくれましたけど、今のメンバーになってからの方が、その印象は俺自身強いんです。メンバーチェンジをして、1stフルアルバムをリリースするってなった時に、敢えて幅広い世界観でいくのか、それとも、よりコアな部分を見せていくのか、作品の概要についてすごく悩んで。それで出た答えが、敢えて幅広くしていこうって。その上でMoranらしさを提示していけたらと思ったんですよね。
Hitomi:俺は、メンバーありきでバンドって成り立っていると思っていて。だから、このメンバーでやるのなら、5人のMoranの形を見せていこうって。
Soan:コアな部分で攻めた2008年から2012年。そして、コアな部分は残しながらも世界観を広げていった2012年から2015年。それだけに、現体制になった時、よりMoranは面白くなっていくなと感じました。
――5人体制となってからはそれぞれがコンポーザーとなった事で、アプローチの幅も広がりましたよね?
Soan:そこが良かったなって。お互いにアプローチ方法も全く違うし、持ってくる曲を聴くたびに、この人はすごいなって、同じメンバーながらに感じていて。単純に、曲が良いなって思いましたね。
――こちらの作品で印象に残っている曲はどれでしょう?
Soan:自分が作った曲以外で言うなら、Sizna作曲の「Eclipse」ですね。5人になって1発目のシングルという事もあるし。あとは、Hitomiが初めて作曲を手掛けた「以降、白紙のクロニクル」です。これは最初にアカペラで歌ってきてくれたんですよ。その上でどうやってこの世界観を具現化していこうって。それで出た答えが、バックをしっかりと演奏していこうって事で。スタジオでピアノを出してHitomiとやり取りをしていったんですけど、アナログな手法を取った事により、逆に良い曲になったなって思います。
Hitomi:俺は、「堕落へと続く偏愛の感触」がすごく好きかな。Moranって前からバラード曲は大事にしてきたんだけど、そうじゃないところでMoranらしさが出ていて良いかなって。バラードじゃないのにMoranっぽいっていうのが、すごく気に入っているところではありますね。
――更に、こちらの作品には新曲「Eyes Wide Open」が収録されます。
Soan:この曲は俺が作曲したんですけど、前からあった曲なんですよ。いつかは出したいなと思っていたので、今回タイミングが合って収録する事になり、良かったなと思います。また、ライヴの最後を飾るようなイメージで作り、明るくて華やかな楽曲だけに、Moranのメンバーが光り輝く未来に向かって歩いているというところを出すにはぴったりだったんじゃないかなと。
Hitomi:「夜明けを前に」で、Moranとしては完結していたと思うんです。だから、新曲でそれより前に戻ってしまうのは違うかなって。だから、完結したその先にあるものというのを出していきたかった。そうじゃないと、Moranとしては違うと思ったから。なので、これを読んでメッセージが伝わったら良いなとは思いますね。
――ベスト2作品の他に、MV集と解散ライヴの様子が詰まったDVDも同日にリリースされますが、ライヴDVDに関して、Soanさんはどう思っていますか?
Soan:ライヴDVDに関しては、一生モノとして観てもらいたいというのはありますね。当日は意外にも普通だったんですよ。それこそ、今までのワンマンで1番緊張していなかったかもしれない。
――3時間半ぐらい演奏していたんでしたっけ?
Soan:ううん、もっと。だって、ここに収録されているだけでも4時間半以上ですからね。今思うと、ずいぶん長く演奏していたなって思いますよ(笑)。
Hitomi:単純に、曲数が半端なかったからね(笑)。俺、最後だからといって変に気負わないようにしていたんだけど、どうしても緊張した部分はあったな。たぶん、映像が入っていたからっていうのもあったんだろうけど。
――そこですか(笑)。
Hitomi:俺だけじゃなく、Moranってみんなそうなんだよ。前回の赤坂BLITZも映像入っていた分、変に緊張しちゃって。何か、うまくやらなきゃっていうところがあるんだろうね(笑)。
Soan:今だから言っちゃうけど、ここにいない3人が1番緊張してたんです(笑)。でも結局、ツアーの時もそうだったんだけど、湿っぽい感じで終わらなかったのは良かったなと。ありがたい事にフロアからのレスポンスもすごくて、アンコールもたくさんできました。
Hitomi:たくさん演奏した結果、Siznaがバテ気味っていう(笑)。
Soan:7曲もやれば誰でもバテるよ(笑)。
――何とも、最後までMoranらしい。
Soan:でも、あれだけの曲数をやれて良かったなと思います。
Hitomi:限界だって思えるぐらいにやらないと、解散ライヴとは呼べないからね。
Soan:それだけに、改めてじっくりと作品を観てほしいと思います。
――MV集は、未発表作品であるラストシングル「夜明けを前に」を含む歴代MV全楽曲が収録されているそうですね?
Hitomi:シングルとして出す以上はMVも撮りたいなと思って「夜明けを前に」を撮り下ろしたんだけど、バンドが解散した後にMVを撮るって、ある意味、新しいよね(笑)。
Soan:ほんとに(笑)。でも、映像チェックをしていて思った事は、懐かしいなって。7年の重みというのをそこで感じましたね。それぞれ、監督さんが違うっていうのもあるんだけど、曲によってメンバーも違うから、バラエティ豊かな映像集になっているなと思いますね。
――私が改めて思うのは、Moranは過去を糧にしてここまでやってきたのだなと。お2人は、その実感はありますか?
Soan:それはあります。
Hitomi:自分との戦いって大事だと思うんですよ。その時その時で最高のものを作ろうとしているから、過去の自分を振り返った時に、映像然り、歌詞然り、強烈な事をやっているなって思うと、そこに負けたくないって思うんですよね。それに、俺としては、ファンを失望させるのが1番嫌で。だから、昔は良かったと思われないように、今日まで頑張ってきたっていうのはあるかな。
――ファンはもちろん、関係者からも愛されたバンドですからねMoranは。
Soan:そう言ってもらえるのはありがたいです。
Hitomi:他誌でも聞かれるんですよ。「今後はどうするんですか?」って。
――どうするんですか?
Hitomi:そこ具体的に聞いちゃう?(笑)。というか、俺達まだ解散して3ヶ月しか経っていないからね。もうちょっと落ち着いて考えられる期間がほしいかな。
――そういえば、解散ライヴの余韻に浸る時間すらなかったんでした(笑)。
Hitomi:そうそう。だから、今はもう少しゆっくりしたい。
Soan:でも、うちのメンバー全員に共通して言えるのは、みんな音楽が好きっていう事。だから、音楽を忘れる事はないと思いますよ。Hitomiは、もはやライヴ中毒だし(笑)。
Hitomi:そうだね。1度でもライヴの快感を知ってしまうと、それ以上に楽しい事ってないからね(笑)。

Interview ERI MIZUTANI