Gt.K

Gt.Ray

Vo.猟牙

Dr.TOMO

──2月10日にニューシングル「SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~」をリリースされますが、とても自由な作品に仕上がりましたね。
Ray:メンバーの色が出ている作品だなと思います。
──今回は、特にテーマは設けずに作曲していったのですか?
Ray:結果的に、そうなりましたね。それこそ、結成当初やその時のコンセプトによっては“こういった世界観で”という事を決めたりすることはあるんですけど、今回は選曲会をやっていく段階で、みんながピンとくる曲、良いと思える曲をチョイスしたんですよね。
K:前回出した「オルタナティヴ・タランチュラ」同様、1人1曲は作ろうって言っていて。それぐらいですね、今回は。
──とはいえ、これだけ見事に違う個性を持った曲が揃うとは、予想もしていなかったのではないですか?
Ray:そうですね。多分、Kが空気読んでくれたんですよ(笑)。
TOMO:最初、Kがバラード曲を出そうとしてたんです。
K:でも、選曲会でみんなが作ってきた曲を聴いた時、良い意味でいつもどおりだなと思ったんです。それで、俺もいつもどおりに作ればいいかというところに考えが落ち着いて。それで、激しいんだけど聴きやすいという曲ができました。
──「Recall the mind」は、そういった経緯でできた曲だったのですね。
K:はい。それに、俺がいつも作っているポジションの曲って、当たり前なんだけど他のメンバーは出してこないんですよ。そうすると、俺がやるしかないかなって(笑)。でも、作っていくうちに、やっぱり俺にしかこういった曲調は出せないなって思ったんですよね。
TOMO:ねぇねぇ、バラードを書きたいっていう気持ちはあったの?
K:いや、バラードを作ったとしても無理している感じは出たかなって思う。それに、自然な流れでこの曲を作った事によって、やっぱり俺が求められているのはこういう曲なんだろうなって再確認する事もできたし。ただ、1つ大変だったのは、俺は英詞を書いた事がなくて。日本語で書く分にはすらすらと書けるんですけど、英語となると、かっこいい言葉を探したり、一小節の中で言いたい事を全部言うのが難しかったりするんです。だから、調べながら書いていきました。
──最後に新たな挑戦をしましたね。
K:敢えて苦手な事をするのが、人って1番成長できると思うので、今回、英詞を書いたのは良かったと思うし、元気でポジティブなんだけどどこか切ないという曲調も、自分らしさが出たなと思いますね。
TOMO:さっきも聞いたけど、最初はバラードを書こうとしていたわけでしょ。でも、できた曲はそれとは違っていて。それって、伝えたい事は一緒なの?
K:うん。伝えたい軸は一緒だね。だから、歌詞のテーマ自体は最初から変わらなかったんだよ。
Ray:へぇー。あ、じゃあ、ついでに質問良いですか。
K:どうぞ(笑)。
Ray:曲のタイトルは、どういう意図で付けたの?
K:これは、タイトルそのままだよ。昔の気持ちを思い出して下さいっていう。この曲が聴いてくれたファンの子達の中で生きるようにと、そういう意味で付けたんだ。
Ray:Kらしいね、そういうところ。そういった点でも、今回の作品はメンバーそれぞれの良さが出ていると思うんですよ。
──「BECAUSE」は、Rayさんが作曲です。
Ray:バンドにとって最後の音源というのは決まっていたので、最後に作るんだったらこういう曲かなというのが自分の中でイメージとしてあって。それで、家でギターを弾きながらシーケンスの音も考えていったんですけど、元々、こういったテイストが好きなのもあるし、シンセとバンドサウンドを混ぜたものは以前からBORNでよくやってきた事なので、今回は、そことハイブリッドした形が出せればいいなと思ったんです。
──まさに、集大成と言える曲ですね。
Ray:今の自分のできる事と、今まで自分がやってきた事を、1曲の中で自分なりに8年分の想いを詰め込んでみようというところはありました。
TOMO:Rayらしさが出ていると思います。
Ray:ただ、最後だからといってしんみりとするというよりは、最後だからこそ後悔のないようにしたいなと。
K:それだけに、今回は割と忠実にデモを再現していったよね。
Ray:そうだね。先にイメージが固まっていた分、みんなにも、このイメージでやりたいって伝えていって。
K:それもあって、彼の本気具合が、レコーディングを通して伝わってきました。
──歌詞のイメージも、Rayさんの中では最初から固まっていたんですか?
Ray:どういった歌詞を書こうかというのを猟牙と話していた時に、卒業がテーマはどうだろうって提示したんですよ。そうしたら、その直後に猟牙が知り合いの結婚式に参加する機会があって。どうやら、人の結婚式に行くのは今回が初めてだったらしく、やたらに感銘を受けて帰ってきたんですよ。で、気付いたら歌詞のテーマが結婚になっていて。いつの間にかテーマが変わった事に驚いたんですけど、まぁ、人生のステップという点では、卒業も結婚も一緒かなと(笑)。
──でも、この歌詞は、ファンへ対しての愛情にも受け取れます。
K:あぁ、そうですね。そういった事も含めて書いたと、後から聞きました。
Ray:結果的に、歌詞がリンクしましたね。
──「殉恋歌」は、タイトルだけ見るとバラード曲なのかと思いきや、実はそうではないという。
Ray:これはTOMOが作ったんですけど、ドラマーが作っただけあるなという曲になりましたね。元々、TOMOはコアな音楽が好きなので、そうした音楽を彼なりのフィルターを通して見た結果、「殉恋歌」のようにTOMO色が強く出ている曲になったんだと思います。
TOMO:最初は、弦楽器をKに弾いてもらったというのもあって、あんまり俺っぽくない曲に仕上がったなと思ったんですよ。だから、そこからどんどん俺色を強くしていって。
Ray:聴きやすかったんだっけ?
TOMO:そう、元々は。それで、リズムを変えていって。
──ライヴノリが出ましたよね。それに伴い、歌詞もかなり強烈です。
Ray:そこなんですよね。やっぱり、ドラマーって人と違う目を持っているなと思いますよ。
TOMO:この曲は、俺が歌詞を書いているんですけど、最初は書く予定ではなかったんです。曲ができあがった時点で、ドロドロとした恋愛の形を猟牙に書いてもらおうと思ったんですけど、これだけ具体的にテーマが決まっているんだったら、自分で書いてみようって思ったんです。
K:最初に歌詞を見た時、引きましたからね。TOMO大丈夫かなって(笑)。
Ray:あはは(笑)。いわゆるストーカーの話でしょ、これ。
TOMO:そうそう。知らない人に見張られているっていう内容だからね。だけど、それも受け取り側の問題かなって。例えば、自分が好きな人から見られていたら嬉しいじゃない。だから、こういった形も、ある意味で純愛かなって思うんだよね。
──TOMOさんは、恋愛において、追われるよりも追いたいタイプですか?
TOMO:まぁ、そうですね。だからと言って、歌詞のように間違った行為には及ばないですけど(笑)。
──でも、この曲はライヴで盛り上がると思いますよ。
Ray:聴く人によっては新鮮に感じるかもしれないけど、こういう曲ってヴィジュアル系らしいよなって感じてもらえると思います。
──そして、リードトラックとなっているのが、猟牙さんが作曲した「SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~」です。
猟牙:今回が集大成となるという事で、俺としては逆に考えがまとまらなくて。
Ray:選曲会で猟牙はたくさん曲を持ってきたんですよ。それこそ、ミニアルバムができるんじゃないかっていうぐらいに。
──確かに、今まで色々なタイプの曲を作られているだけに、集大成と言われても難しいかもしれません。
猟牙:そうなんです。だから、どれもこれもBORNだなと思った時に、それならば全てを凝縮した曲を作ろうと思ったんですよね。それで、歌詞の場面が変わる毎に、曲の場面も変わるものをと思って、こうした走馬灯が見えるような感じの曲にしたんです。ただ、こだわった分、レコーディングのギリギリまで曲が仕上がっていなくて。だから、TOMOの録りの時にはまだ全部できていませんでした。
TOMO:どこがイントロで、どこがサビなのか、セクションもはっきりとしていなかったから、よく分からないままに叩いていきましたね。それは、過去の作品と比べても初かもしれない。
猟牙:TOMOとエンジニアの人は、ゴールが見えないだけに不安そうにしてましたけど、俺の中では完璧な絵が見えていたので、大丈夫だって思ってました(笑)。
TOMO:だから、できあがって1番驚いたのは俺だと思いますよ。こういう曲だったのかって(笑)。
Ray:トラックダウンをした時、良い意味で音の隙間がないなと感じたんですよ。色々な要素の音がバンバン攻めてくる分、猟牙曲っぽいなって思いますね。
──歌詞では“死”という言葉も出てきますけど、それが決して暗い表現ではなくて。
猟牙:そうですね、そこで華々しく散る感じを表しています。曲と歌詞、両方合わせてBORNらしいなと思います。歌詞にもあるように、まさに有終の美を飾れたんじゃないですかね。
──だからこそ、これがラストシングルになるのは非常に残念です。
猟牙:ただ、この曲達が完成するのはライヴだと俺は思っているので。そこでファンと共有する事ができたら、この作品を作った甲斐があります。
──解散について、今、何を思いますか?
猟牙:そうですね、色々とありますけど、ただ1つ、活動休止にしなかったのは理由があるんですよ。そうする事で、まだ大丈夫だと保険をかけてしまう自分がいるような気がして。戻る場所があると何も本気でできないと考えたんです。だから、解散という言葉を選びました。
Ray:もちろん、このまま続ける事もできるけど、それがベストかどうかと聞かれたら違うような気もするし。そういう考えがメンバーで一致したから、今回の決断に至ったんだと思います。それに、活動8年の間にメンバーが抜けるというできごともありました。本来なら、そこで解散を選んでいたかもしれないんですけど、ファンの子の支えもあり、サポートメンバーにレコーディングやライヴを手伝ってもらったり、事務所に協力してもらったりしてここまでやってくる事ができた。そこは本当に感謝ですね。だからこそ、今回、活動休止ではなく、解散にしたのは、その方が自分達としてもけじめを付けられると思ったんです。活動休止にして、ファンを待たせるのなら、ここまでという期間を決めて、そこに向けて全力で取り組みたいなと。
──ラストワンマンまで、かなりの本数のライヴが入っています。このように、最後を感じさせない活動内容も、BORNらしいなと思いますよ。
TOMO:そうですよね(笑)。
Ray:ここまでガンガンにライヴを詰めるなんて、本当にBORNにしかできないですよ。
K:体調崩さないようにしないと、最後のZepp DiverCityに立てなくなっちゃう(笑)。
猟牙:やめて(笑)。でも、2マンライヴもそうですけど、本当に最後まで引っ掻き回して、散っていくっていう感じですよ。それにしても、共に戦ってきた仲間と最後にライヴができるっていうのは嬉しいですね。あとは、沖縄に行く事も決まったし、DIAURAとMEJIBRAYとの3マンもあるので、あいつらには最後に俺から喧嘩を売りに行こうかなと(笑)。
──最後のワンマン、見所はどんなところになりますか?
K:見所というよりは、終わった時に、ワンマンツアーやりたくなってきたなって思えるライヴにしたいなとは思いますね。
猟牙:絶対に、みんなで、これじゃまだまだ足りないって言いそうだよね。
TOMO:言いそうだな、それ(笑)。
Ray:バカだなぁ(笑)。
K:でも、ワンマンって気付いたら終わってそうじゃない。
Ray:2マンがギリギリまであるしね。だから、逆に余計な事を考えずにライヴに挑めるから良かったなって。ただ、BORNの場合、普通の解散ライヴにはならないと思うんですよ。それと、Zepp DiverCityでワンマンをやるのはこれが初になるので、どういうライヴになるのか、楽しみにしてほしいですね。
Interview:ERI MIZUTANI