Dr.秒-byou-

Gt.楓-kaede-

Vo.業-Karma-

Ba.禅-zen-

──AvelCainは、昨年から他のバンドとのツーマンライヴを積極的に行っていますよね。取材している現在(2月上旬でした)は、ペンタゴンと一緒にツアーを廻っていますが、いかがです?
業:それまでも対バンで一緒になった事はあったので、すごく元気なバンドだなという印象はあったんです。AvelCainは大人しいのでペンタゴンとは真逆な感じがするんですけど、ライヴになるとお互いのお客さんの層も違うから面白いツアーにはなっていますね。
──ペンタゴンに限らず、他のバンドのメンバーとは、楽屋でも積極的に交流をしているんですか?
業:秒くんは、色々なドラムの人と話しているよね。
秒:その人の興味のある事を見つけて、話しかけてはいますね。やっぱり、楽器の話が主流にはなってきます。そうすると、次のライヴも入りやすいというか。
──良い事ですね。楓さんと禅さんも他のバンドとは仲良くなれましたか?
楓:ペンタゴンのゆとりは、夏のイベントライヴで一緒になった時にすごく話しかけてきてくれたんですよ。なので、今ではあだ名で呼ばれるほどの仲になりました。あと、自分とステージングが違う分、見ていてすごいなとも思うし、少なからず自分も影響を受けてはいます。
禅:僕も、夏のイベントの時からペンタゴンとは話していたので、元気な子たちだなとは思っていたんですけど、本当に楽屋でもステージと同じテンションなんですよ。その様子を、僕はちょっと離れたところからずっと見ていました。それと、このツアー中に眠花のエフェクターが壊れたんので、僕の物を貸したんです。お互い、ステージングは真逆なんですけど、バンドマンとして、楽器の話はよくしてますね。
──業さんも、ペンタゴンのメンバーとは何か話されたのですか?
業:千吊とはよく話しました。ライヴはもちろん、割と真面目な話が多いですね。だからこそ、彼のステージングに刺激を受けたし、自分も負けていられないなって思うんです。あと、その前に一緒にライヴをやったグリーヴァとは対バンをやる事が少なかったんですよ。そうした中でやっと出来たツーマンだったのですごく嬉しかったですね。それこそ、ツアーが終わる頃には、もっと一緒にライヴをしていたいと思いましたから。
──そうなると、ツーマンライヴをこれだけの本数こなせたというのは、自分たちにとってもかなり勉強となったのではないですか?
禅:6月に赤坂BLITZでやるワンマンライヴに向けて力を付けていこうという事から、色々なバンドとツーマンをやっていきたんですけど、おかげで一歩進む事が出来たんじゃないかなと思います。
──ちなみに、ツーマンライヴでは、新曲も披露されたんですか?
業:はい。2ヶ月連続リリースの第1弾「月-MOON-」から、表題曲の「月-MOON-」を演奏しました。実は、発売日の前からこの曲は演奏していたんですよ。というのも、どうしてもこの曲を演奏したい日があって。1月25日に初めて披露したんですけど、その前日が満月だったんですね。満月の次の日を十六夜というんですけど、歌詞にもその言葉を入れていたので、敢えて日にちを選んで演奏しました。
──何て素敵な。そもそも、2ヶ月連続で音源のリリースが決まった時、具体的なテーマは設けられていたのですか?
業:テーマというか、2作品とも映画『Moonbow』のタイアップ曲となっているんです。主題歌と挿入歌の両方を兼ねているんですけど、それが先に決まっていたので、それなら、2ヶ月連続でリリースしようとなったんですよね。
──『Moonbow』は、海外へ発信する映画だそうですね?
業:そうですね。ヴィジュアル系や原宿のファッション等、日本を代表するカルチャー文化が映画の中に詰め込まれているんです。なので、日本を好きな海外の方には気に入ってもらえる内容になっているんじゃないかなと思います。
──だからと言って、曲は映画の内容に固執した感じの仕上がりにはなっていませんよね。海外向けというから、てっきり、歌詞は和のテイストを出してくるかと思いましたよ?
業:あぁ、そうですね。日本をわざと意識させるかのようなベタな仕上がりは、僕も思い付かなかったです。
──そこはきっと、作曲を手掛けられたサウンドプロデューサーのeveさんも同じ考えだったのではないですか?
業:映画だけの曲にしたくなっていうのは、eveさんと話し合ったところではあります。そうして曲が出来上がってきたんですけど、歌詞は割と早くに書けたんですよ。それは、この曲に限らずなんですけど。いつもは何週間もかかるところが、今回は1日半ぐらいで書けましたからね。
──なぜ、そんなに早くに書けたのでしょう?
業:自分が映画に出演しているという事もあり、撮っている最中から浮かんでくるものがあったんですよね。
──結果、綺麗な雰囲気の曲になりました。楽器陣の皆さんは、「月-MOON-」をライヴで演奏してみていかがでしたか?
秒:この曲はすごく好きなので、感情移入がしやすくて。なので、また新しい表現が出来たと思います。
禅:どんなライヴハウスでも自分達の表現する事は変わらないんですけど、大きい会場で演奏できたら気持ち良いだろうなって思いましたね。まだ演奏し始めたばかりなので手探りの部分はあるんですけど、演奏していくうちに曲が成長していくんだろうなという実感はあります。
楓:でも、これほどギターソロが緊張する曲はないですよ。今まで出した曲で言うと、「おやすみなさい」もそうだったんですけど、やっぱりバラード系の曲はライヴで演奏すると緊張しますね。だから、この曲も初披露した時は緊張で足が震えていました。まぁ、そこはメンバーには伝わっていなかったと思うんですけど(笑)。
──楓さんでも緊張する時があるとは(笑)。それにしても、PVも美しい仕上がりとなっていましたね?
業:海で撮影したんですけど、とても寒かったです。
楓:1月に撮影したので大変でした。
業:けど、不思議なもので演奏中は寒さも気にならなくなるんですよ。ただ、僕は海に入っていくシーンがあったので、そこは大変でしたね。演技ではなく、本当に震えていますから。
──あのシーンは、1回でOKを出さないと服も濡れてしまうから難しかったのではないですか?
業:そうなんです。なので、1回でOKを出しました。
──こんな事なら、沖縄やハワイといった暖かいところの海で撮影すれば良かったですね?
業:青い海に白い砂浜ですか。そういう綺麗な感じは、僕たちに全く似合わないです(笑)。
──確かに(笑)。でも、外でのロケだと時間も限られてくるから大変でしたね。
禅:そうなんです。日が落ちる前に撮影を終えないといけなかったので、短期決戦でした。
業:そもそも、AvelCainはPVが少ないので、相当に気合いは入りましたけどね。
禅:撮影自体は過酷でしたけど、楽しかったです。
──となると、次はどのようなPVになるのでしょう?
業:第2弾の「蘇-よみがえり-」ですか。実は、昨日撮影してきたんですよ。今回、森の中で僕1人での撮影という少し変わった感じの仕上がりになっているんですが、途中でカットをかける事なく、長回しでの撮影に挑戦にしてきました。“死”と“蘇”をイメージした内容となっているので、「月-MOON-」とは違った色になっていると思います。
──2ヶ月連続リリースというだけあって、敢えてそのように色を変えていったのですか?
業:そこは最初から考えていました。楽曲と同じように映像も違った色を出すからこそ、2ヶ月連続でリリースする面白さがあるのだと思うし。
──こちらでも、圧倒的な世界観を観る事が出来そうですね。
業:そうですね。斬新なPVになると思います。また、楽曲自体も、「月-MOON-」は綺麗な感じで、「蘇-よみがえり-」はかっこよくなっているので、そこも聴いていて面白いんじゃないかなと。
──第1弾の「月-MOON-」にも、「影」のようにかっこいい曲が入っていますよね?
業:「影」はライヴ曲だと思います。
楓:この曲は、いかにも禅さんっていう感じですよ。
禅:元々を僕が作って、楓が後のアレンジをして出来上がった曲なんですよね。僕が曲を作る時って、最初にメロディを考えて、その次にリズムを作るんですよ。そして、キーをどうするかと考えつつ、「月-MOON-」とは対極的にしたいと思ったので、弦楽器は激しい感じにしていきました。ただ、これが出来たのがレコーディングの前日だったんですよ。
楓:前日どころか、レコーディング当日まで作業してましたよ(笑)。
──それは過酷な。
禅:いやぁ、かなりヤバかったです。
──でも、そうやってこだわって作ったおかげで、理想どおりの仕上がりになったのではないですか?
禅:そうですね。限界までやれたので良かったです。
楓:でも、秒さんはすごかったよね。
──と、いいますと?
楓:レコーディング2時間前に出来上がったのに、めちゃくちゃレコーディングが早かったんですよ。
禅:漢気を見せてくれました。
秒:レコーディングも勢いが大事だと思うので、2時間前に出来ようが、時間は関係ないですね。
──何て、漢気あふれる発言なんでしょう。
秒:なので、気持ちが冷める前に速攻で録り終えました。
禅:それで、僕らは秒さんがドラムを叩いているうちに、フレーズを煮詰めていたんです。
楓:そうでした。
禅:だからこそ出せたスピード感ですよ。こっちも早くライヴで披露したいですね。
──では、「夜光虫」で業さんが伝えたかった事というと何でしょう?
業:「月-MOON-」同様、こちらでも“海”が入ってくるんですけど、夜の海ってすごく切ないじゃないですか。曲を聴いただけで、その情景が想像出来るような感じにしたかったんです。ちなみに、夜光虫とは、夏の海に出るプラントンなんです。夜に光るから事から夜光虫と呼ばれるんですけど、朝が来たらその光は見えなくなってしまう。その儚さを自分の心情と共に言葉で表現していきました。
──情景が想像出来るような感じに、とおっしゃいましたけど、まさにその通りの仕上がりとなりましたね。業さんは以前に増して歌い方に感情が込められるようになったように思います。だから、曲の情景が見えやすくなったのかなと。
業:本当ですか。この曲は景色が見えてくれたら1番嬉しいです。あと、今回は、バラード系の曲と激しい曲の両方が入っていたので、それぞれどうやって歌おうかって考えるのが楽しかったですね。
──「月-MOON-」もそうでしたが、「夜光虫」も広い会場を意識しているように感じられました。実際のところ、いかがですか?
楓:確かに、広い会場は似合うと思います。自分の中ではミラーボールが回っている中で演奏するというイメージなんですよね。だから、今後のライヴで使うかもしれないし。まぁ、あくまで僕のイメージなので、どうなるかは分かりませんけど。
秒:この曲はサビが壮大な感じなので、そこまでのメリハリを付けて聴きやすくしたいですね。これから、大事な曲の1つになると思います。
禅:AvelCainってこういう曲も出来るようになったんだなぁって、お客さんから感じてもらえるようになったら嬉しいですね。
──この記事が載る頃には、第2弾の「蘇-よみがえり-」も無事にリリースされている事と思います。3月からはワンマンツアー「はじまり」が開始しますが、ここではどのようなAvelCainを見せたいと思っていますか?
業:今回6曲出来た事によって、必然的にセットリストも変わっていくと思うんですよ。だから、これからのライヴがすごく楽しみですね。また、このツアータイトルを「はじまり」としたのは、ちゃんと意味があって。これは、僕たちが事務所に入った時にやったワンマンタイトルと同じなんです。初心を忘れないのはもちろん、新体制になって初めてのワンマンツアーなので、敢えて同じタイトルを持ってきました。きっと、お客さんもこのツアーに対して期待感を持ってくれていると思うので、それに相応しいライヴが出来るようにしたいですね。
禅:今回、意識的にライヴハウスのキャパを下げたんですよ。その分、お客さんとの距離が近いので、漢気で攻めていきたいなって。きっと、暑苦しいライヴになると思います。
──ツアーファイナルは、6月23日の赤坂BLITZとなります。当日は重大発表もあるそうですね。良いお知らせが聞ける事を期待していますよ。
禅:はい。その為にも、ツアーを頑張ります。
Interview:ERI MIZUTANI