Kra:景夕

ダウト:幸樹

SCREW:鋲

BORN:猟牙

──PS COMPANYに所属するバンドのヴォーカルが、こうして揃って対談取材するというのは、珍しいのではないですか?
景夕(Kra):そうですね。
猟牙(BORN):しかも、この4人というのは珍しいかもしれないです。
幸樹(ダウト):初めてですよ。
──では、このツアーでリーダーとなるのは、どなたでしょう?
猟牙:景夕さんと幸樹さんです。やっぱり、頼り甲斐がありますからね。
幸樹:逆に、猟牙にリーダーを任せて散らかしてみるっていうのも面白いかもしれない(笑)。
景夕:あぁ、それ良いね(笑)。
猟牙:じゃあ、俺と鋲くんで仕切りますよ。
鋲(SCREW):えっ、仕切れなくない? 仕切れる気がしないんだけど。
猟牙:それなら、俺だけで仕切ります(笑)。
──というわけで、2月21日から高田馬場AREAを皮切りに「攻撃ハ最大ノ防御ナリ。」ツアーがスタートします。
幸樹:去年からあったんですよ、このツアー。なので、ダウトとしては、イベントタイトルにちなんで攻撃するというよりかは、観に来てくれた1人1人の心を掴んでいこうと考えていますね。それに、このメンツでイベントライヴをやる事って、今後ほぼ無いと思うんですよ。BORNは5月で解散してしまうし。だからこそ、みんなで一丸となって、その瞬間の良さを見せたいですよね。個人的には、各地で同じ事はしたくないなって思うんです。
──それぞれに出る回は違うにせよ、イベントライヴにしては結構な本数ありますよね。BORNは全箇所での出演が決まっていますし。それでも、同じ事をしたくないとは、さすがです。具体的には何をしてくれるんですか?
猟牙:あれ、幸樹さんが下を向いてますけど。
幸樹:いやいや、僕だって何かやりますよ。でも、それをここで具体的に言ってしまったら面白くないじゃないですか(笑)。
──ちなみに、幸樹さんにとって、この3バンドでライバルはどなたですか?
幸樹:どのバンドもライバル視っていうのはしていないですね。そこは、昔と考えが変わってきたところでもあるんですよ。昔は、「俺らは俺らだから、俺らが良いライヴをすればそれで良い」っていう感じだったんですけど、こうして色々なバンドが集まるわけだから、自分だけの個性を押し出すというのではなく、他のバンドと協力し合って見せていくのも良いんじゃないかって思うんです。例えば、「ここでこういう事をしたいから、一緒にステージに出てくれない?」って言い合える関係にしたいなって。
──そのやり取りにマネーは発生しますか?
景夕:個人的に発生するかもしれないですね。
幸樹:発生しないですから(笑)。
──猟牙さんは、このイベントで何を仕掛けていきたいと考えていますか?
猟牙:そうですね、でも、各バンドが良いライヴをやるのは大前提だと思うんですよ。その上で、「PS COMPANYって、おもちゃ箱のように面白い事務所だな」って思ってもらえる事を目指したいですね。その為にも、良いライヴをしないといけないと思うんです。この3バンドに限っても、嫉妬するぐらいにかっこいいですからね。みんな、俺らに無いかっこよさを持っているなってライヴを観る度に思います。
──猟牙さんでも他のバンドに嫉妬する事があるんですね。
猟牙:それぞれに魅力がありますからね。Kraのライヴでは景夕さんの歌にいつも圧倒されているし、鋲くんはアーティストだなって思えるぐらい居るだけでかっこいいし、幸樹さんは優しく見えるけど常に何かにつけて喧嘩越しというか。それはもちろん、良い意味で。だからこそ、ライヴで誰にも負けないというオーラを出しているんだろうし、かっこいいなと思いますね。だからこそ、どのバンドも観たくなるし、こうしたイベントライヴになると俺も燃えるんです。
──こういう話を聞くと、鋲さんもイベントに対して燃えるのでは?
鋲:そうですね。そこは行動で示したいし、何よりも自分に負けないライヴを各地でしたいですね。そうする事で、猟牙も更に燃えてくれるんじゃないかなって。お互いに、良い化学反応を引き起こせると思います。
──この取材を行っているのは1月なので、具体的な構想はまだ固まっていないと思うのですが、どんなツアーにしていきたいですか?
鋲:僕は、イベントのタイトルはあまり気にしていないところはありますね。そこに気を取られ過ぎると失敗してしまうので。だから、バンドの為、そして自分の為にやっていこうと思います。
──イベントライヴではあるけれど、ワンマンの気持ちを持ちながらやっていくという事ですね。
鋲:はい。それで自分たちを出していけば、周りも慌ただしくなっていくんじゃないですか。だから、敢えて挑発せずに、やる事をやっていくだけだと思っています。
──なるほど。でも、Kraはこうしたイベントライヴに強そうですね?
景夕:穏やかにやれば大丈夫だと思うんです。
──穏やかに、と言いますと?
景夕:俺、出番前に他のバンドのライヴを観たくないんですよね。なぜなら、そこで自分がすごく左右されてしまうから。ワンマンはその時の自分を出せばいいので楽ではあるんですけど、こうした対バンになると色々なバンドがいるじゃないですか。やっぱり、一緒に出るからには気になるんですよ。かっこいいライヴだったりMCで良い事を言っていたりするのを観ると、どうしようってなってしまうんです。意外かもしれないんですけど、そうなんですよ。だから、イベントの時になると気を紛らわすかのように、楽屋でずっとゲームをやっているんですね(笑)。
猟牙:俺、いつもKraのライヴを観ていると、景夕さんって何でこんなにどっしりと構えて歌う事が出来ているんだろうって思っていたんです。でも、今の事を聞いて納得しました。そうなると、きっと俺はM対質なんでしょうね。他のバンドの良いところを見せ付けられる事で奮起するというか。
──同じヴォーカリストでも、ライヴの前の過ごし方は異なるようですね。
幸樹:そう思います。楽器陣だと、機材がどうこうっていう話をライヴ前にしている事が多いんですけどね。
猟牙:ヴォーカルって、孤高の人が多いんですよ。
景夕:そうなるのも、精神面が1番大きく出るパートだからでしょうね。だから、今回のツアーでは、本番前の緊張を少し減らす事が出来たらと思うんですよ。
──この4人で楽屋を一緒にするとかはどうでしょう?
幸樹:例えそうしても、みんなで違う事していると思いますよ。景夕さんはゲームしていたり、猟牙は曲を作っていたり、鋲くんも何か別の事をしてるんじゃないですか(笑)。
──でも、他にもたくさんのバンドが出るわけですから、是非とも活発に交流をしていただきたいなと思うわけですよ。
猟牙:レイヴとthe LOTUSは後輩にあたるんですけど、それはそれで怖いですよね。
景夕:勢いがありますからね。
幸樹:じゃあ、彼らがライヴをしている時はみんなで物販でも売りますか。
鋲:それ、ライヴを見せないっていう事でしょ(笑)。
──卑怯な手を使ってはいけません(笑)。
幸樹:余談なんですけど、こういう事って昔は普通にあったんですよ。自分たちの出番が終わったら物販のところに行って、ファンの子に他のバンドのライヴを観させないっていう。
景夕:あれって、そういう意味があったんだ!
幸樹:実はそうなんです。
──へぇー、ヴィジュアル豆知識ですね。
景夕:でも、この4バンドで争うのはやめようね(笑)。そういえば、前にツアーをやった時はヴォーカル同士でユニットを組んで転換中に見せていました。
──前回同様、今回もユニットを組む等、そういった企画は考えているんですか?
幸樹:やるとしたら、ファンが喜んでくれる内容が良いですよね。まぁでも、ヴォーカリストが集まって出来るのって歌う事だと思うので、やっぱり歌しかないかなと。
鋲:花見桜幸樹さんの「アイラブ東京」でも歌いますか。
幸樹:そこ!?
景夕:しかも、1人ずつ増えていくっていう輪唱形式で。
猟牙:それ、面白いですね(笑)。ただ、事務所のイベントなんで自由度は高いと思うんですよ。
景夕:うん、ほとんどNGは出ないと思う。
──同じ所属バンドだからこそ何でも出来る、というのは強みですね。
景夕:この4人が揃う所ってどこかな。あ、でも、結構あるか。ついでに、やまぴかりゃーのNAOKIさんが加われば、とんでもない事が出来ると思うんですよね。「攻撃ハ最大ノ防御ナリ。」というタイトルが付いているからには、とんでもない事をやった方が良いじゃないですか。
猟牙:なるほど(笑)。
幸樹:ヴォーカルだけで急遽バンドを組むっていうのはどうですか。俺、ギターとベースなら高校生レベルですけど出来ますよ。
鋲:俺、ギターやりたいですね。
猟牙:えっ、俺は何しよう。キーボードやりたいけど確実に景夕さんに勝てないからなぁ。でも、キーボードにします。
景夕:それなら俺は、ドラムにします。初心者程度ですけど(笑)。
幸樹:それで、ヴォーカルはNAOKIさんにお任せして。
景夕:それ良いね(笑)。そこで、面白いイベントだなって感じてくれた子が、後のアンフィシアターに来てくれたらいいなと思います。
──今、景夕さんがおっしゃったように、PS COMPANYに所属するバンドが集まるのは「攻撃ハ最大ノ防御ナリ。」だけではありません。何と、4月30日には、舞浜アンフィシアターで「PEACE&SMILE PARADE DREAM LIVE」が行わるそうですね?
猟牙:これは、すごくなると思いますよ。
幸樹:まず、ステージの広さもそれまでとは違うし。
景夕:会場が広くなればなるほど緊張も増してくるので、その点では俺は怖いですね。だからこそ、ツアー中に改善策を見つけ出していくしかないかなと思います。
猟牙:確かに、これだけツアーの本数が多ければ、色々な実験が出来ますからね。きっと、その集大成を舞浜アンフィシアターで見せられると思うんですよ。
──ツアーを観ておいた方が、舞浜アンフィシアターもより楽しめるという事になりますか?
景夕:そうだと思います。
猟牙:地方のライヴを観てくれた子が、「舞浜に行きたい」って思ってくれるようなライヴを、1本1本したいですよね。
──舞浜アンフィシアターでは、花見桜幸樹さんの出演も決まっているんですね?
幸樹:はい。
景夕:やっぱり、みんなでこのツアー中に「アイラブ東京」を歌うしかないんじゃない?
幸樹:いやいや、そんな。
猟牙:実は俺、歌えるんですけどね(笑)。
──そうやって、舞浜でも何か企画をやってくれたら、楽しすぎます。
幸樹:さっき言った、急遽バンドを組むって事だって、やろうと思えば出来ると思うんですよ。俺たち、楽器にこだわりが無いんで。
猟牙:場所さえあれば、すぐに出られる(笑)。
幸樹:ヴォイスパーカッションとか出来たら面白そうだよね。
景夕:Kraのワンマンでやった事あるんですよ、それ。そしたら、靖乃が「ドッタン!ドッタン!」っていう、ドラムとは思えないほどの鈍い音を出していました(笑)。
──皆さんの頭脳が合わされば面白い事が出来ると思うので、期待しています(笑)。
景夕:みんな、悪ふざけを考えるのは得意なので。
猟牙:確かに(笑)。でも、このイベントを通して、他とは違うというところをちゃんと見せていきたいですね。今って、違う事をやろうと考えすぎて、結果、一緒の事をやっているバンドが多いと思うんですよ。
幸樹:ヴィジュアルシーン、良くも悪くも何でも有りになってますからね。
猟牙:だからこそ、RENOとRYOGAのように、バンドの形態じゃなくて1人で見せるって事も大事だと思うんですよ。こうしたインパクトは俺たちも見習わないといけないなと思いますね。
幸樹:それで急に、BORNがメイク薄くなったら嫌だわー。
猟牙:それは嫌だね。ファンからしても、俺らが媚びを売ってると思われそうだし(笑)。けど、鋲くんだったら媚び売ってもかっこいいんだろうな。
鋲:いや、かっこよくないから(笑)。
──そう思うと、この4バンドは、自分たちの個性を結成当初から貫いていてかっこいいと思います。
景夕:いや、俺なんてすごく媚びを売ってますよ。
一同:あはははは(笑)。
──しかし、今日こうしてお話を聞いて、イベントがますます楽しみになりました。では最後に、景夕さんから改めて、本イベントに対する意気込みをお願いします。
景夕:今言っていた事を活かしつつ、なるべく仲間内だけで終わらないステージに出来るような、そんな科学変化を作っていけたらなと思います。
Interview:ERI MIZUTANI