Ba.七星 |
Gt.楓 |
Vo.マモ |
Dr.宏崇 |
Gt.Z |
──本日のインタヴューはZさんが諸事情により欠席との事なので、4人にお話を伺いたいと思います。さて、3月9日に発売される新作ですが、どのような事をテーマに置いて作っていったのでしょう?
マモ:最初は迷っていたんですよね。前々からあったものと、ツアーに絡めたものと、どっちをメインで出そうかなと。それをレコーディングのギリギリまで悩んでいたんですけど、今までどおりのメンヘラ路線な曲を出しても面白くないなと思ったので、これから始まる88箇所のツアーに向けて、自分たちへの応援ソングがほしいと思い、新たに曲を書き始めたんです。そうしたら、思いの外良くなったので、これをメインとして出す事にしました。
──それが、表題曲の「八十八箇所巡礼」ですね。R指定の楽曲というと、今まで人の背中を押すようなものが多かっただけに、自分たちへの応援ソングとは意外な気もしますが?
マモ:確かに、今まで無かったですね。
──歌詞も割と楽に書けましたか?
マモ:お経のような部分があるので、歌詞はサビ以外、般若心経で全部埋めようかと思ったんですよ。だけど、文字数が入らなかったので、1から書いていきました。
──良い世界観が出来たと思います。楓さんは、この曲に関してどう思っていますか?
楓:良い曲が出来たなと思います。分かりやすいし、ファンの子は好きだろうなって。
──制作の際、マモさんから楓さんに何か指示は出したのですか?
マモ:とりあえず作ってもらって、返ってきたのを聴いてから、ここはもうちょっとこうした方がいいんじゃないっていうぐらいでしたね。
──何だか、やり取りがスムーズになりましたね?
楓:そうですね。ただ、内心は焦ってましたけどね。というのも、いつもよりも曲が出来るのが早かったんですよ。一応、レコーディングに向けて色々と逆算して考えていたんですけど、それよりも先に曲と歌詞が出来ていたんで、これはヤバイ、すぐにギターソロ考えなきゃって、Zと2人で慌てました。
──遅ければ苦情が上がり、早くても苦情が上がり。マモさんも大変じゃないですか(笑)。
マモ:ねぇ、そうなんですよ。
楓:いや、早くに上がるのは良い事なんですけどね(笑)。
──しかし、今回は何でそんなに早く曲を書く事が出来たんですか?
マモ:多分、その前にアルバムを作っていたからだと思うんですよ。短期間で一気に新曲を10曲ほど書き上げたから、自分の中で新曲を作るサイクルが早くなったんだと思います。
──では、今後も早く仕上げられるという事ですか?
マモ:いや、それはどうですかね。
楓:そればっかりは、出てこないと分からないですよね。
マモ:正解の無いものですからね。
──なるほど。でも、今回に限っては早くに書き上がって良かったです。
楓:ちゃんと、これだというビジョンがあったからこそ早くに上がったと思うので、今回は間違い無いと思います。
──楓さんから太鼓判いただきました。しかし、この曲はリズムが難しそうではないですか?
宏崇:レコーディングは焦る事は無かったですね。俺、準備は早くにしていたので。
──宏崇さんから見て、この曲のこだわりの部分とは?
宏崇:サビのリフで感じられるお祭りっぽさですかね。聴いている分には単純なんですけど、今回も挑戦しました。でも、スキルアップという事で良いんじゃないでしょうかね。
──ライヴでも楽しくなりそうなところではありますよね?
宏崇:きっと、叩いている姿を観たらびっくりすると思いますよ。
──七星さんは、この曲のレコーディングを振り返ってみていかがですか?
七星:綺麗な日割りで出来ました。東京でちゃんと準備して、地元に帰って録って、また東京に戻ってくるっていう。
──それって、珍しいぐらいに順調ですよね?
七星:日程が完全に限られていたんですよ。ライヴの兼ね合いもあったので。だから、そこにちゃんとはまって良かったですね。あと、アレンジでもそんなに悩む事も無く。ルートを外すかどうかぐらいですね、悩んだのは。
──そこは、ライヴでの再現のしやすさを考えての事ですか?
七星:最近あんまりわざと外すっていう事をしていなかったので、久々にしてみようかなと思って色々と考えていたんですけど、マモが、ベースがルートを取らないのを嫌うんですよ。
──じゃあ、そこは2人で話し合いを重ねたんですね?
マモ:俺は助言する程度ですけどね。
──無言の圧力をかけたと。
マモ:いや、無言じゃないですけど(笑)。
七星:無言だと伝わらない(笑)。
──確かに(笑)。では、七星さんのこだわりはそこですね?
七星:そうですね。1ヶ所2ヶ所だけルートを外している部分があるので、そこを聴いて、あぁやりよったなって思ってほしいですね。
──では、マモさんが歌の面でこだわったところというと?
マモ:こういう風に歌おうっていうのは無かったんですよね。それこそ、今の自分のスタイルをレコーディングでそのまま出していった感じです。
──アルバムの時とは、また違う歌い方になっているような感じがしたのですが?
マモ:そうですね。アルバムは負のオーラが強かったので、そういった歌い方をしていたんですけど、今回はキャッチーですごく聴きやすい曲なので、サビはサビらしくパーンと抜けるような歌い方をしています。だから、シングルだなっていう感じはしますね。
──また、こちらはPV撮影を先日行ったとの事で。いつも、本編と同じぐらいメイキングにも力を入れられていますが、今回も?
楓:今回は、撮影場所がお寺という事もあり、若干抑え気味ではあります(笑)。
──ちなみに、本編はどのような内容になっているんです?
マモ:ガッツリとカッコつけるというよりかは、コミカル要素も含みつつ。
──コミカル要素ですか?
マモ:はい。今までにそういうのって無かったじゃないですか。今回はちょっと入れてみたんですよ。例えば、玉ねぎを切っているとか。
──玉ねぎですか……。それはコミカルというか、辛辣な表現じゃないですか(苦笑)。
マモ:あはは(笑)。他にも、宏崇が全身を金色に塗っているんですよ。
宏崇:金の塗料がすごく臭かったんです。次の日も頭痛に悩まされました。
──それは大変な思いを。
宏崇:頭が痛かったからメイキングどころじゃなくて。
楓:それが俺の中では心残りです。
──でも、その代わりにメンバー全員がメイキングに出たのだから、良しとしましょうよ。
楓:いつも宏崇と俺が出ていると、ファンから「またお前らか!」って言われますから(笑)。
七星:俺は、内出血になったぐらいですかね。
──メイキングで、一体何が!?
七星:なぜ内出血したのかは、作品を観てもらえれば分かります(笑)。
マモ:みんな、けっこう体張りましたね。
──お疲れ様でした(笑)。また、カップリングとなる「メジャーデビューなんてクソ食らえ!!」は、どのような曲と言えましょう?
マモ:今、自分たちが立たされている事を素直に書きました。武道館でワンマンが出来なかった事も含め、より自分たちの方向性が明確になったからこそ、言っておこうって。
──それだけ聞くと恨み節になってしまいそうですが、実際の曲調は、青春パンクとも取れる爽やかな感じで。これは意外でしたよ。
マモ:メイン曲が華やかなんで、こっちはすっきりさせようと思って、同期も入れずにバンドの生演奏だけで仕上げてみました。
──マモさんは、こういった曲調は得意でもあるんですか?
マモ:元々、ストレートな曲が好きなので作りやすいですね。
──楓さんも得意ですか、このようなテイストの曲は?
楓:得意というか、不安になります。
──それは、具体的にどういった面で?
楓:こういった曲って、シンプルな方がカッコいいじゃないですか。でも、シンプルで良いのかなって。
──そう思うのは、今までに一癖ある曲が多かったからですか?
楓:そうですね。特に、俺は細かいフレーズが多かっただけに、シンプルだとやってなさすぎなんじゃないかっていう不安にかられるんですよね。しかも、この曲はギター3本だから余計にそう思ってしまって。
──ギターが3本も入るとなれば、これはまた難しいですよ。でも、その分ライヴでは面白くなりそうですね?
マモ:そうですね、ライヴの事を考えながら作ってはいたので。ガンガンやっていきたいなとは思います。
──宏崇さんとしては、この曲はライヴで表現しやすそうだなと思いますか?
宏崇:まだやっていないんで分からないんですけど、シンプルな分、魅せる方向で持っていきますよ。
──楽しみにしています。七星さんは、この曲をレコーディングする際、ライヴでどうするか具体的なイメージは出来ていましたか?
七星:はい。むしろ、そっち優先みたいな感じでしたね。
──どういった動きで見せていきましょう?
七星:うーん、縦ノリじゃないですか。
──拳をあげて盛り上がろうと。
七星:疾走感を出したいですね。
楓:あとは、宏崇のテンション次第(笑)。
──そして、3月12日からは『日本八十八箇所巡礼』と題した、88箇所ワンマンツアーが始まります。タイトルを見ても分かるように、お遍路が元になっているんですよね。お遍路って、四国を巡る巡礼だと認識していたのですが?
マモ:そうですよね。でも、実は、福岡の篠栗町にもあって。それで、この間、写真の撮影をしてきたんです。
──なるほど、勉強になります。そういった事をきっかけに、色々と調べてみるのも面白いかもしれませんね。初日は高田馬場AREAですから、皆さんにとっては慣れた場所でのライヴとなります。他にも、今までに結構行っているライヴハウスはありますか?
七星:やっていないところの方が多いと思います。
──確かに、これだけの数を廻るとなれば、そうなりますよね。その上で、全箇所を成功させる秘訣っていうと何でしょう?
マモ:アスリートになった気持ちでやらないとダメかなとは思いますね。自分との戦いもあるし。フルマラソンを走るのと同じで、持久力が大事になってくると思います。何せ、この間のツアーの4倍ですからね。体力面もそうだけど、メンタル面のケアもメンバー同士でしていかないといけないなって思います。
──お互いに声を掛け合わないといけませんね?
マモ:でも、機材車の中では喋らないですからね、俺ら。
──せっかくですから、今回のツアーから積極的に喋りましょうよ。
楓:それこそ、喧嘩になりますよ。「うるさいなぁ!」って(笑)。それぐらい静かなんですよ、機材車の中って。宏崇がいても静かですからね。
──これは困りました。
マモ:でも、自分だけの時間が作れるのって機材車の中なんですよ。だから、難しいところではありますね。
──伝言ゲームとかやったら楽しそうじゃないですか?
マモ:それ、絶対に誰かハブられますよ。
楓:「俺、回ってきてねぇ……」ってなったらどうするんですか(笑)。何も、機材車の中でメンバー同士の絆を深めなくても良いと思います。
──結論が出ました(笑)。
楓:きっと、このツアーが終わったらメンバーみんな体調崩すと思うんですよ。
──終わってからなら構いません。
楓:まぁ、そうですけど(苦笑)。
宏崇:今のところ、体調を崩す予定は無いです。
――うまく廻れそうですね。
楓:ライヴ後に、みんなで飲みに行けば円滑にツアーを廻れるんじゃないですか。
マモ:そうそう、お互いに変なプライドを捨てて話し合うっていう。
──マモさんのプライドって何ですか?
マモ:弱音を吐かない。
──いっその事、最初から弱音を吐いてみるとかどうでしょう?
マモ:最初から!? 「辛い……辛い……」って?
楓:嫌だ、それ(笑)。
──七星さんとしては、このロングツアー、どうしたら成功すると思います?
七星:意外と、時間に余裕が無いと思うんですよね。毎回、セットリストもすごい事になるだろうし。だからと言ってスタジオ練習が出来るわけでは無いし、それをリハまでには覚え直しておかないといけないから、練習するという1日で終わると思うんです。
──気付けば中盤に差し掛かっていそうじゃないですか?
七星:そこまで行けば楽になると思うんですけどね。1日がすごく短いと思います(笑)。でも、それで骨の髄までミュージシャンになりたいですね。
──己を鍛え直すという意味でも、このツアーは重要となってきそうですね?
マモ:自分たちの為のツアーですからね。
──ファイナルの幕張メッセも期待していますよ。
マモ:はい。挑戦していこうと思います。
Interview:ERI MIZUTANI