Ba.TANO |
Vo.郁磨 |
Gt.龍史 |
──本日はTANOさんが体調不良により欠席との事ですので、郁磨さんと龍史さんにお話を聞いていきたいと思います。5月11日にリリースされるニューシングル「AKANE」ですが、表題曲の「AKANE」はMV(ミュージックビデオ)も付いているんですよね?
郁磨:そうなんです。もう、オフィシャルHPにもアップされているんですよ。
──早速、観させていただきましたが、曲の持つ勢いにピッタリの映像となってますね。この曲を作曲したのは龍史さんですが、どんな事にこだわって作っていきましたか?
龍史:こだわったのは、サビですね。前に出した「魔性覚醒鬼」という曲が、少し和の要素を取り入れていたんですけど、そこで鬼くんというキャラクターを作っていて。で、鬼くんの次回作というか、進化しましたっていうところを見せたくて、この曲を書いたんですよね。だから、最初の仮タイトルは「鬼瓦平八郎」だったんです。
──それだとゴツイ感じがします(笑)。でも、そういったきっかけで曲を書き始めたんですね。
龍史:そうなんです。
郁磨:そこまで大々的にマスコットキャラを打ち出しているわけではないんですけど、この曲を作る際のインスピレーションがそうしたキャラであったなら、曲でどこまでキャラクター性が出せるかっていうのは重要にはなってきますよね。だからと言って、キャラに固執しすぎると自己満足になりかねないじゃないですか。REIGNが好きっていう人にしか理解してもらえない曲になってしまうのは避けたかったので、キャラありきで曲が出来たにせよ、あくまで、単体として聴けるものにしたかったんです。
──歌詞を見る限り、キャラが主張しているという感じはありません。むしろ、どこか物悲しくて。
郁磨:それは、打ち出しているキャラが自殺者という背景があるからなんです。今回は、鬼くんがまだ人間だった時、幼き頃の思い出を描いていて。だけど、鬼くんの存在というのは、楽曲にもPVにもハッキリとは出していないんです。唯一出ているのは、Aタイプのジャケット写真だけ。1人で空を見上げポツンとたたずんでいます。
──なるほど。だから、物悲しかったのですね。
郁磨:好きな子を亡くした鬼くんの心情が出ていると思います。それだけに、タイトルそのままの色が見えてくれたら良いなと。あと、曲のタイトルを作品タイトルに持ってくるのは、過去の作品で言うと「CLUB BUNNY」しか無くて。あの曲もそうでしたけど、今回もすごく表題曲っぽいものになったんじゃないかなと。
──それだけ自信があるという事ですね?
郁磨:はい。表題曲には他にも候補の曲がいくつかあったんですけど、並べて聴いてみた時、1番最初にこの曲が耳に入ってきて。思わず、龍史に「この曲キテるね!」って言いました。
龍史:なのに、俺が反対するっていう。
──それはどうしてですか?
龍史:その時は、「404」の方が表題曲に良いんじゃないかと思っていて。むしろ、この曲を表題曲にしたいから書いていたところはあったんです。最近、わりかしポップな方向に走ってきていた部分があったので、そこに攻撃的なこの曲を持ってきたら面白いんじゃないかなって。
──結果、「404」はカップリング曲になりました。でも、今回は「AKANE」を表題曲にして正解だと思います。
郁磨:「AKANE」が広げてくれた分、カップリングも活きていると思いますね。
──ところで、「AKANE」を英語表記にしたのは何故なのでしょうか。和の要素を絡めた楽曲なだけに、そこは日本語表記でも良かったのではと思ってしまったのですが?
郁磨:和洋折衷なところを曲で表現しているので、英語表記のタイトルにしたんです。例えば、“侍”を“SAMURAI”って書くと何かかっこいいみたいな。それって、海外の人たちから見た日本のかっこよさですよね。でも、それを逆に日本人が見ると、面白いとか、キャッチーだなって感じるじゃないですか。それと同じですね。「茜」とせずに「AKANE」にした方が広がりが出ると思ったんです。
──そういった意図があったんですね。これで、海外進出も狙えそうではないですか?
龍史:マジすか!?
──曲のコンセプトしかり、曲調しかり、海外でウケそうだなと。
郁磨:じゃあ、全世界でバカ売れって事で(笑)。ただ、今回、MVを発売前にフル尺でHPに載せようと思ったのは、短いスポット尺で曲を収める事をしたくなくて。どうせなら、REIGNを全部観てもらって、買う買わないを判断してもらいたいなって。きっと、何かしらきっかけがあった方が好きになってもらえると思うんですよ。実験ではあるんですけど、世界に向けてのプロモーションではありますね。
──MVはライヴ感も溢れていますからね。これは気にいる人も多いはずです。
郁磨:今回、めちゃめちゃ緻密に計算して撮っていったんですよ。たくさん撮ったものの中から良いところを拾うというのではなく、1つのコマに対して何をするかって決めてから撮っていったので、精度が高いんですよね。
龍史:曲の中で構成が全部分かれていて、誰が何をするというのも決まっていたので、今までに無いぐらいの資料のやり取りをしてました。
郁磨:REIGNは、エンジニアを始め、PVの撮影監督、カメラマン、メイク、ずっと同じ人にお願いしていて。だから、メンバーだけでなく、1つのチームとして動いているところはあるんですよね。なので、以前を踏まえて次のアイデアを出す事が出来るんだと思います。
──ヴィジュアル系のMVにしては、今回使っている色合いが少ないのも特徴の1つではないですか?
郁磨:うん、そうですね。メンバーが和柄の衣装という事もあり、あまり派手な背景にしてしまうと和を前に押し出している感じにとられがちなので、そこで敢えて色を少なくする事により、洋の部分を取り込む事が出来たかなと思います。
──おかげで、曲が引き立つ映像になったと思いますよ。
郁磨:確かに、今回はカメラ目線が1つも無いですからね。
龍史:もうちょっと顔を映してくれても良かったんですけど。
──せっかくの美形がもったいない。
郁磨:いやいや(笑)。でも、ライヴを観ているような感覚になれると思いますよ。
──この曲の初披露は、リリース後になりますか?
郁磨:多分、リリース前になると思います。もしかしたら、この記事が出るよりも先にやってるかもしれないし。でも、新曲を初披露するっていうのは緊張するものですよ。
龍史:そうそう。緊張のあまり、みんなに余裕が無いのが感じられる(笑)。
郁磨:お客さんもそうだと思うんですけど、お互いに探り合っている感っていうのはあって。だから、お客さんのノリを見て作っていくという形を毎回取っています。それだけに、「ライヴはお客さんと一緒に作っていく」っていうのはREIGNでは当たり前の事で。それこそ、新曲なんて、最初はみんなノリ方もバラバラじゃないですか。だけど、それを見て、俺らはこのノリ方は良いから採用だっていう感じなんですよ。なので、新曲が出来たからと言って、本当の意味での完成はまだまだ先なのかなと思いますね。
──良い反応が返ってくると良いですね?
龍史:そうですね。
──今作は「AKANE」を始め、「404」も「溟海」も、ライヴ感がすごく出ていますよね?
郁磨:思ったのは、今までよりもキャパシティの大きなところを想像出来る曲になったなと。それがよく表われているのが、「溟海」ですね。この曲はTANOが作曲したんですけど、イメージどおりの曲になりました。途中で何かを付け足す事もなく、最初のイメージのままで出来上がった曲ではありますね。また、曲の持つ空気感を大事にしたかったので、歌詞では“海”や“夜空”を表現していきました。「AKANE」でも空を描いているんですけど、それとはまた違った情景を出す事が出来んじゃないかなと。
──こういったミディアムな曲もREIGNにはよく似合いますね。
郁磨:単純に、世界観を出している曲が好きなんですよね。
龍史:俺も好きですね。
郁磨:そうやってメンバーの方向性が同じだからこそ、こういう曲になったんだと思います。
──キャパシティの大きなところを想像して出来た曲というだけに、客席があるホールでの演奏もハマるのではないかなと思ったのですが?
龍史:そうですね。エモーショナルな曲なので、世界観に浸りながら聴いてもらうっていうのが1番なんじゃないかなと思います。
──ぜひ、イベントライヴでも積極的に演奏してもらいたいです。
郁磨:そう考えると、立ち位置が非常に難しい曲ではありますね。極論、この曲をやるんだったら、REIGNはその日は1曲だけしかやらないっていう感じでも良いと思うんですよ。
龍史:それ、パンチ力あるね。
郁磨:でしょ。もちろん、1曲だけの演奏なんて、今までにやった事が無いんですけど、この曲は下手な事をしたら前後の曲に掻き消されてしまうんじゃないかなと思って。本領を発揮させてあげる為には、そういった大胆な試みも必要かなと思います。
龍史:REIGNっていったらハロウィンっていうイメージを持っている子も多いと思うんです。そう言ってもらえるほど、ライヴではパーティー感というか、わちゃわちゃした雰囲気を出しているんですけど、この曲がセットリストに入る事で、良い波が作れると思うんですよ。
郁磨:演出面でも凝れる曲だと思うので、色々と考えて見せていきたいですね。
──わちゃわちゃとした雰囲気が出ているのは、「404」ですよね。これはライヴで盛り上がりそうです。
龍史:3曲を通して聴いた時に、どれか1曲はREIGNらしいって言われるものが無いといけないなって、俺は思っていて。この曲は、デジタル要素の中に、攻撃的なところとハロウィン的なところを入れてみて。そこで、だいぶREIGNらしさが出せたと思ってます。
郁磨:歌い方に関しても、今までの荒々しい部分は残しながらも大人っぽさっていうのを出しているので、ある意味、てんこ盛りミクスチャーになっていると思いますね。
龍史:ミクスチャーというだけあって、全部日本語の歌詞だったら良さが出にくいかなと思ったので、そこはサビぐらいはせめて英詞にしてよって頼みました。
郁磨:日本人が英詞を使うとチープになりがちなんで嫌なんですけど、この曲では入れて良かったと思いますね。あと、俺としては、この曲はすごくヴィジュアル系っぽくなったなって。だから、早くライヴでやりたいですね。
──どれも、REIGNの勢いが感じられました。
龍史:そうですね、バンドとしては常に上を向いているので。
郁磨:今、活動3年目なんですけど、芯を捉えてきたなという自信はあって。色々な音楽性をやってきたんですけど、そう思えるようになってきたのは1番の収穫ですね。
──この作品から、REIGNはSPEED DISKに所属となります。一気にレーベルメイトが増えましたね?
郁磨:俺らから見たら、全員が先輩になるわけで。だからと言って、遠慮してもダメだとは思うので、みんなを食い殺してやりたいという気持ちでぶつかっていきたいですね。ただ、同じ仲間でもあるわけだから、レーベル一丸となって、ヴィジュアルシーンを盛り上げていけたらいいなと思います。
──今後、レーベルメイトとのライヴも多々あるでしょうから。
郁磨:主なところで言うと、森羅万象ツアーですよね。だから、毎回そこに出られるように頑張っていかないといけないですね。
──9月3日には、高田馬場AREAにてワンマンライヴ「HOUSE OF THE DEVIL」が行われます。それまでにも、かなりの数のライヴを入れているそうではないですか?
龍史:ライヴをやるのは俺らにとって当たり前の事なので、そこまで忙しいなとは感じないんですよね。
郁磨:出来る事なら、毎日ライヴやっていたいぐらいですから。
──じゃあ、先輩のように88箇所目指して頑張りましょうか(笑)。
郁磨:あぁ、ねぇ。出来るかな(笑)。
龍史:それだと毎日ライヴやれるね。けど、1週間もライヴをやらないと体力って低下していくんですよ。もはや、アスリートと一緒というか。それに、他のバンドマンに同じ事をやれって言っても出来ないぐらい、REIGNのライヴは激しいですからね。
郁磨:観に来る人は大変ですよ。休んでいたら俺がイラッとしているし。
──では、ライヴ中は一瞬たりとも気が抜けないという事ですね?
郁磨:ですね。俺が言った事はちゃんとやれって思いますから(笑)。なので、9月のワンマンまでは忙しくライヴをやっていきたいと思います。
Interview:ERI MIZUTANI