Dr.たつき

Vo.春

Gt.さゅら

Ba.LAYHA

──少し前の話になりますが、2月に「黒盤」、3月に「赤盤」と題した会場限定シングルが発売となりましたね?
春:「ライヴに足を運んでほしい」という思いから、会場限定盤を作る事になったんですけど、ただ単に作品を作るだけでは面白くないので、「黒盤」と「赤盤」に分けて2ヶ月連続でリリースしました。でも、出してみたら、会場盤にしておくのは惜しかったなぁと。
たつき:ほんと、もったいないよね。だからと言って、手を抜いて作ったわけではないですよ。そこは、いつもと変わらずに作品作りに挑みました。
──あと、どちらも衣装が異なっていただけに、視覚的にも新鮮でしたよ。
LAYHA:これまで着てきた衣装はカッチリとしていたものが多かったので、「赤盤」で着た赤いレインコートは、良い意味で、見る人に驚いてもらえたと思うんですよ。でも、あの衣装ってむちゃくちゃ熱いんで、ずっと着ていると結構つらいんです(笑)。
──しかし、いくら限定盤とはいえ、333枚でのリリースは少なくないですか?
たつき:どうしてもライヴに来られない人っているじゃないですか。その人たちの手元に届かないのはもったいないなと思って。
──どうしましょう?
たつき:こればかりは、ちょっと。
LAYHA:何が、ちょっとなんだよ(笑)。
たつき:まぁ、限定枚数が終了したら、その時は前向きに検討したいなと。
さゅら:検討してるの?
たつき:いや、今は検討してないです。
さゅら:何なんだよ(笑)。
LAYHA:ただ、会場に来られない人は、友達に頼んで買ってもらうっていう手もありますよね。
たつき:そうそう。ほしいって思う人の手元にちゃんと届いているといいなって。
──そう思うと、全国流通盤でのリリースだと簡単に手に取る事が出来ますよね?
春:そうですね。それこそ、会場限定なんて結成して最初の頃はありましたけど、最近ではやっていなかったので、今回、枚数限定でリリースする事によって、バンドの原点を感じられたところはありますね。
LAYHA:また、最近のライヴでは必ず「黒盤」か「赤盤」の曲をセットリストに入れるようにしていて。だから、物販で会場限定盤が売れていたのを見ると、演奏した曲を良いなと思ってどちらかの作品を買ってもらえたという事なので、そこは嬉しかったし、モチベーションにも繋がりますね。
さゅら:連続リリースという事で、曲には悩みましたけどね。形とかテーマから考える事が多いので、どうしようかなという迷いがあったんですけど、結果的に「黒盤」の曲が思った以上に歌モノになったなと。「赤盤」は自分たちらしさが出たので、両方揃って良い感じだなと思いますね。
春:いつか、二面性をテーマにして2作品を作っても面白いかもしれないですね。
──そして、全国流通盤としては8ヶ月ぶりとなる新作「被害者の会」が、5月25日にリリースされます。
春:8ヶ月というと期間が空いているように感じられるんですけど、今言ったように会場限定盤を出していたので、正直、そこまでの期間が空いていたようには思っていなくて。でも、前回出来なかった歌い回しがこの期間で出来るようになったので、成長はしていると思いますね。だからこそ、1日1日を大事にしたいし、そういった思いでライヴはやっています。
たつき:毎日が特別公演だからね。
さゅら:かっこいいな(笑)。
──さゅらさんは、8ヶ月間で自分が成長した部分はどこだと思いますか?
さゅら:曲を作る上で、バンドを客観的に見たいなという気があって。そういう意味では、8ヶ月前にメンバーみんなで「こうしていきたい」っていう構想はうっすらとあったんです。ただ、それは想像であって。でも、実際にライヴを重ねる事で、MCしかり、曲構成しかり、色々と変化してきたんです。そういったところでも、メンバーみんなで同じ方向を見ている感じが8ヶ月前よりも強くなっているなと思います。あと、個人的には演奏しながらステージを広く使いたいという気持ちがあるので、動いていてもぶれずに弾くとか、観てくれている人と目を合わせて演奏するとか。昔からそうなんですけど、ここにきて更にその思いは強くなりましたね。
──LAYHAさんは、8ヶ月間で変化した点はありますか?
LAYHA:ライヴの本数が多かったので、そうなると頻繁に演奏する曲って出てくるじゃないですか。だけど、同じ曲をやったとしても、同じようには見せないというか。それは俺だけじゃなく、メンバーみんながそうなんですよね。だからこそ、「今日のライヴに来て良かった」って思ってもらえるようなライヴにしようっていう気持ちは、前よりも強いと思います。
──たつきさんは、8ヶ月間でどのように変わっていきましたか?
たつき:今回の作品に入っている「ドラマティックエフェクト」を演奏しながら思ったんですけど、この曲を最初に聴いた時、これはちょっと速すぎて叩けるかなって不安に感じたところもあって。でも、実際にやってみるとすんなりと出来たんです。これが8ヶ月前だったらもっと苦戦していたと思うんですよ。けど、個人的に積み重ねてきたものが、この曲で出来た事によって良かったなって。同じように、この8ヶ月でメンバーも成長していると思うんです。ただ、毎日一緒にいる分、前からそうだったのかなと感じさせるぐらい自然に変化していっているんですよね。だから、頼もしいなと思いますよ。
──常に前進しているという事ですね。それだけに、自信を持って新作を出せるのではないですか?
春:そうですね。今回はアンサーソングがたくさん入っていて、コンセプチュアルな作品になっているんですけど、さゅらが曲を書く際に、「元の曲に縛られすぎず、自由に作ってみて」と言ったんですね。おかげで、俺らの良いところと新しいところ、その両方が出ていると思います。
さゅら:今回はスケジュールが詰まっていた事もあり、ツアー中に制作していたんです。それで、ライヴが終わってホテルに帰ってから作業して。そこで色々と春に確認しながら仕上げていった感じなので、表題曲に関してはいつもよりも話し合いは多かったですね。
──よく、ライヴ終わって疲れている中で新曲を制作出来ましたね?
たつき:ほんとですよね。ライヴの時はライヴの事しか考えたくないですよ。
さゅら:確かに、終わってからは新曲を作りたくないテンションですよね(笑)。それに、自分が作っているだけあって、曲が似てくるという恐れもある。そこがバンドのカラーでもあるのかもしれないけど、同じだと面白くないなと思ってしまうんですよ。今回も、具体的なテーマを春が投げてくれたので、作曲する僕としては、その言葉を追求していくだけで良いというか。なので、夢中で作っていきました。
春:良い意味で、「攻めている」と捉えられる作品になったと思います。
──また、今作はSEが2曲も入っているので、通して聴いてみるとライヴっぽさを感じられますね?
さゅら:この曲順どおりにライヴをやってみても良いですよね。
LAYHA:あぁ、やっても面白いかも。
春:SEの「手紙」をライヴでやった時、どういった反応が返ってくるか楽しみなところはありますよ。
──語りから始まるSEが作品の最初を飾る事は、今までに無かったのではないですか?
春:そうですね、曲の繋ぎとしてはありましたけど。だから、良い意味での裏切りになると思うんですよ。SEというよりは、本の目次といった感じで聴いてもらいたいですね。
──そこからどんどんと、良い意味での裏切りが続いていきます。
春:「手紙」が終わって、すぐにバンッと始まる曲がほしかったんですよね。そういう部分ではパンチ力のある「メイド in スパイダー」が2曲目にきて良かったと思います。
──この曲は、ライヴでの見せ方が気になりますよ。
春:アイドルの世界観を描いている曲でもあるので、単純にお客さんにはオタクっぽいノリを見せてもらいたいんですよね。
──ペンライトを振るとか?
春:あぁ、それも面白いかもしれませんね。ここでは、「楽しんでます!」っていうところを情熱的に出してほしいので。
たつき:掛け声とかもあり?
春:そうだね。ジャンプもしたら楽しめるんじゃないかな。
──新しいノリが見られそうですね?
さゅら:もしかしたら、そうですね。
春:そこは、ファンのみんなに汲み取ってほしいです。次の「ドラマティックエフェクト」は、ライヴでのテッパン曲になりそうな感じはありますね。
さゅら:SCAPEGOATの曲をあまり知らない人でも、すぐに覚えられるような曲調ですね。
たつき:この曲は、ガンガンに声を出して叫び散らかしたいです。
LAYHA:抑えるところは抑えてほしけど。
たつき:じゃあ、サビでは抑え気味に(笑)。
春:そうやって、色々なノリ方が出来る曲だと思います。
さゅら:きっと、演奏していくうちにヒートアップしてしまうと思うので、体力勝負な1曲ですね。
──音源では、ここでまたSEが挟まれますが、ライヴでも聴ける機会は出てきそうですか?
春:そうですね。様々な用途で使えるSEになっていると思うので、この曲を入れる事で良い演出が出来たらなと。
──続いての「したたかに闇夜」では、ムーディーな雰囲気が広がります。
春:“したたか”には、“強い”とか“計算高い”という意味があるんですけど、曲の持つ感じに合っているなと思いましたね。
──ちなみに、メンバーの中でしたたかなのは?
春:さゅらかLAYHAのどっちか。
さゅら:計算高い!?
LAYHA:まぁ、悪い事じゃないよね(笑)。
春:ここでは、外面はしたたかなんだけど実際は弱いっていう意味で使っているので、悪い事では無いですね。主人公は、先輩気質というか、しっかりしているお姉さんなんです。だけど、内面はすごく乙女で。だから、したたかというのは、すごく良い意味です。
さゅら:ライヴは照明を落とし気味な中で演奏したいですね。全体で絵になるところを作っていきたいです。
──最後の「告白_時々、雨」も、ライヴで映えそうな楽曲ですね?
たつき:これはライヴでやるのが楽しみですね。バラードなんですけど、これまでのバラードの中でも1番切なくて力強い感じがあるので、ステージでもそうした雰囲気が作り上げる事が出来たらいいなと思います。そうやって、ライヴでどう見せるか具体的にイメージしていただけに、MVも苦労せずに撮る事が出来ました。
春:演出を入れても映える曲だと思うんですけど、何もしなくても映えるんじゃないかな。それこそ、1つライトが当っていれば良い。曲に力があるので、それぐらいで良いと思います。
──演奏面と歌唱面に自信が出てきたからこそ、そうやって最小限の演出でも見せられるのかもしれませんね?
春:それもありますね。大丈夫だと自信を持って曲を届けられるので、ライヴによって違うように見えるかもしれないですね。
さゅら:照明などの演出もそうですけど、曲でも余分なものはいらないというか。いつもだったら足していくという作業を敢えて抜いていったんです。叩いて、弾いて、歌って、という3つの事をシンプルにやっていった感じですね。その分、言葉がすっと入ってくると思います。
LAYHA:バラードだからと言って大人しく弾くつもりは無いので、その上で良いものを届けられたらなと思います。
──本当に良い作品になったのではないでしょうか。リリースの後には、全国ツアー「死体は語る」が始まります。初日は、5月28日の高田馬場AREAとなっていますね。そしてファイナルは、7月17日のTSUTAYA O-WESTです。「被害者総会」というタイトルが付いたワンマンライヴとなっていますが、どちらも良い光景が見られそうではないですか?
春:まず、イベントライヴとワンマンライヴの違いを挙げるとすると、短距離走か長距離走かっていう感じなんですよね。それぞれに異なるものだけど、楽しみ方は一緒なんです。だけど、ワンマンライヴは単純に曲数が多くなるので、聴きたかった曲が聴けるかなというのはありますね。逆に、イベントライヴでは、この曲が聴けたら嬉しいなと思っていた曲が実際に演奏された時の喜びというのはあるんじゃないかなと。なので、どっちも来てほしいなと純粋に思いますね。でも、その前に、5月25日にリリースされる新作「被害者の会」を聴いてもらいたいですね。この作品を聴いたら、きっとライヴに来たくなると思うので。
Interview:ERI MIZUTANI