Ba.公大

Vo.昴

Dr.知也

Gt.杙凪

──4月6日に発売されたフル・アルバム『S.I.V.A』は、オリコン週間チャート10位を獲得。本当におめでとうございます。
昴:ありがとうございます。ちょうどその時、僕らはライヴで沖縄にいたんです。そうしたら、その日の夜に『カウントダウンTV』でアルバムランキングが流れていて。思わず、自分たちの映像を写メりましたね(笑)。あと、アルバムランキングでトップ10に入るのはこの作品が初めてだったので、すごく嬉しかったです。
──発売されてからしばらく経ちますが、昴さんにとって、このアルバムはどういう作品になったと言えますか?
昴:リリースするまでは、ちょっとマニアックなものを作りすぎたかなと思ってたんですけど、いざライヴでやってみると、この感じは今までに無くは無かったなと思って。どちらかと言うと、昔からポップな曲が多かったんですけど、ハードな一面や世界観があるような曲が無かったわけでは無い。ただ、そこを表現するだけのスキルが足りていなかったというか。でも、今はこうして表現出来るスキルがちゃんと備わってきたからこそ、自分達のやりたい事にちゃんと繋がっているのかなと思うんです。だから、リリースしてから思う事は、純粋に良い作品が出来たなと。でも、そう思えたのは、ライヴで披露した時にお客さんの反応がむちゃくちゃ良かったから。そこが、今の自分の気持ちに繋がっているんだと思います。
──もしも、この作品を前に出していたら、そこまでの気持ちにはなれなかったですか?
昴:うん、そうですね。多分、ライヴでも、そこまで曲を活かしきれなかったんじゃないかなと。だから、来るべき時に出せたかなと思います。確かに、これまで、表現するような感じというか、世界観がどうのこうのと言ってきたバンドでは無かったので、前の47都道府県ツアーの時も「情熱で!情熱で!」と言って押し通してきたツアーではあったんですけど、今回のツアーでは、情熱だけじゃなくて魅せるところも大事にしたいなと思っているので、それを表現するのにピッタリなアルバムかなと思ってます。
──ちなみに、作品を作る前には、何か目標などは立てていましたか?
昴:僕個人で言うと、ライヴでやらない曲は作らないという事でした。というのも、楽曲が増えてきた事で、セットリストの都合上、ライヴでどうしても出来ない曲というのも少なからずあるんですね。でも、そうなるのってお客さん側からしたら悲しい事じゃないですか。きっと、思い出のある楽曲はいつまでも演奏してほしいって思うはずなんです。だからこそ、今だけを見るのでは無く、今後もセットリストに入ってくる曲にしたいという考えの下でアルバムを作っていったので、ここに収録されている曲は、これからもずっと残っていくんだろうなって思います。
──考えが潔くなりましたね。では、公大さんにとって『S.I.V.A』はどのような作品になったと言えましょう?
公大:個人的には、前のアルバムを出した時に、聴いて悔しい思いをしたんです。後から思うと、あまり統一性が無かったかなって。1曲1曲は良かったんですけど、並べて聴いた時のバランスに満足がいかなくて。だから、今回のアルバムではバランスをすごく考えましたね。もちろん、マニアックなものを作ろうというビジョンもハッキリとありましたけど。
──そう思えたのは、ライヴを重ねてきたからですか?
公大:そうですね。僕は元々ヴィジュアル系が大好きなので、自分がお客さんとして聴いた時に、頭から最後まで聴ける作品を作ろうというのが目標だったので、昔からこういうアルバムを作りたいというものに、今回ようやく辿り着けたなと思います。
──では、自分がRoyzファンだとしたら、この作品にどのような評価を付けますか?
公大:これは良いっすよ。僕自身が聴いてきたヴィジュアル系の流れもあるし、当時、ヴィジュアル系に夢中になった事を思い出しながら作ったので、100点満点を上げたいなと思います。
──ところで、本作に統一性を持たせたいというのは、作る前にメンバーみんなに話したのですか?
公大:はい。ちゃんとプレゼンしました。
智也:メンバーの中で公大が1番、ヴィジュアル系色が強いので、発想をいっぱい持ってるんですよ。だから、プレゼンをされた時に、公大のやりたい世界観が伝わりましたね。
──そういった面でも、意志の疎通は昔よりもスムーズになりましたか?
智也:めっちゃ、なったよね?
公大:うん、なったな。
智也:各々にやりたい事はしっかりとあるんですけど、その中で、お互いの言葉をしっかりと吸収して自分の中で消化出来るになったというのは、すごい成長だと思います。
──良い事ですね。智也さんから観て、このアルバムはどういった作品になったと思いますか?
智也:狂ったほどに激しい作品になったなと思いますね(笑)。
──的確なキャッチコピーです(笑)。作る前は、まさかここまで激しい作品になるとは想像もしていませんでしたか?
智也:今回、初めて曲順を先に決めたんですよ。このままの流れでライヴをやってもいけるくらいの内容にしようって。それで、まず、どういう曲が必要かっていうところから作品作りが始まったので、激しい作品になる事は最初から想像出来ていましたね。
──では、最初からこの曲はライヴで大変になってくるだろうな、という事も分かっていたわけですね?
智也:そうですね。デモの段階から「智也ピンチ!」っていう曲があったので、それは今、実際にライヴで演奏していて大変な感じです(笑)。この曲は杙凪が持ってきたんですけど、初めてブラスト(ビート)が入ってきたんですよ。デモを聴いた瞬間、まさかRoyzでブラストが来るなんてって思いましたね。レコーディングでも必死だったし、今、ライヴで僕の顔を観た人は、その必死さに気付くと思います(笑)。ちなみに、その曲のタイトルは「Left Behind」になりました。
──けど、本当にアルバムらしい作品となりましたね?
智也:先に曲順を決めていたし、世界観もしっかりと考えて作っただけに、流れ的に綺麗に繋がったなと思います。
──杙凪さんからしても、このアルバムは新しい事に挑戦できた1枚となったのではないですか?
杙凪:そうですね。Royzは主に公大と自分で曲を作ってきたんですけど、自分はコンポーザーとしてどんどんとワガママになってきているなぁって。でも、それは意見を押し付けているのではなくて、自分自身が作りたいと思った曲じゃないと作れないというか。だから、今回も、自分が好きになれない曲は出したくないなっていうのがすごくあったので、最初にメンバーと話していて出来上がっていたアルバムのビジョンは残しながらも、その中で自分がこんな事をやりたいっていうのを上手く絡めていったなって思いますね。
──レコーディングを通して、デモの段階から随分と印象が変わったなと思う曲はありましたか?
杙凪:自分の曲じゃないんですけど、「鬼ト邪吼」や「THE LAST」は、すごく変わったなと思いました。この2曲は公大が作ってきたんですけど、曲でこういう事がやりたいんだろうなっていうのも最初から伝わってきたし、それを自分なりに綺麗に清書して、全員がレコーディングして、曲としてガチッと固まった時に、すげぇかっこいいなと思いましたね。
公大:でも、杙凪は大変だっただろうなって。僕、ギターがほとんど弾けないんですよ。だから、雰囲気でしか伝える事が出来なくて。ほんと、下手したらギター・ソロなのにチューニングすら合って無い時があるんです。でも、それを杙凪はちゃんと分かって弾いてくれるんですよね。
杙凪:何も言わなくても、大体は分かります。
──お互いに、良い関係性を築けていますね。それにしても、アルバムを作ると本当にバンドの成長って分かりますね。
公大:そうなんですよ。うちはよく、キラキラ系のバンドって言われる事が多いんですけど、そもそも、そこを目指して集まったわけではなくて。僕達がやりたい事は、歌って、ちゃんと演奏して、届けられる音楽をやりたいという意志の下に集まったんです。その結果として、曲がキャッチーなものが多くなっただけで。だから、『S.I.V.A』を出せた事で、これが、僕達が目指していた形だとハッキリと言えますね。
──また、この作品を引っ提げて、Royzは現在ワンマン・ツアーの最中ですが、47都道府県を廻るのは、これが2回目ですよね?
昴:はい。今回で2回目となる47都道府県ツアーなんですけど、1回目の時もあまり大変だったという感覚は無くて。確かに期間的には長かったんですけど、それよりも楽しいなと思う事の方が多かったんです。だから、1回目を廻っている途中に、次もやりたいと決めたんですよ。
公大:楽しかったという事もあり、1回目の47都道府県ツアーは終盤になるにつれ、これで終わってしまうのかって思うと寂しかったですね。
昴:でも、そのままの気持ちで2巡目を廻れているのは良かったなと思います。今回はアルバムを引っ提げてのツアーとなるので、さっきも言ったように、魅せるという事に重点を置きながら、演出面でも色々な事にチャレンジしていけたらなと思ってやっていますね。
──ツアー・ファイナルは、8月20日のZepp DiverCityとなります。ここでは見せ方も変わってきそうですか?
昴:そうですね。照明なり、演出なり、自分達が表現したい全ての事を形に出来るのがツアー・ファイナルだと思っているので、ここで観る人の度肝を抜くようなライヴが出来たらなと思います。
──そして、9月28日には、なんばHatchにて7周年記念のワンマン・ライヴが開催されます。気付けば、Royzも結成7周年なんですね。
昴:ありがたい事に。このライヴに関しては、まだ何をやるか決めてはいないんですけど、ツアー・ファイナルとは別物のライヴにしたいなという気はあります。しかし、もう7年かぁ。
公大:東京に上京したのが5年前だからね。それにしても、よく、今の事務所の社長が僕達を拾ってくれたなぁと思いますよ(笑)。それこそ、僕がバンドに入った時なんて、智也以外は違うメンバーだったし、地下活動中という事もあり、事務所に所属するか、しないかなんて考えてもいなかったですから。でも、東京に出てきたのは本当に大きかったですね。絶対に騙されないぞ!って緊張しながら上京したのをすごく覚えています。
──今思えば、B.P.RECORDSに所属して良かったですね。
公大:けど、社長に最初に会った時は信用してなくて(笑)。
智也:というのも、ほぼ初対面っていうぐらいの時に、事務所への所属を勧められたんですよ。だから、この人は絶対に何か企んでいるって。それで、この話はとりあえず1回持って帰ろうって(笑)。
公大:ちょうどその時に、己龍の参輝さんと九条さんも来ていて。2人からも入った方が良いよって言われていたのに、いやぁ…って断って(笑)。でも、その後にちゃんと話し合って東京に出てきたんですけど、当時はほんと右も左も分からない状態でしたね。だけど、結果的に、この事務所で良かったなと思ってますし、ここからも頑張りたいなと思いますね。
──そういった昔の話は、今でもメンバー同士でよくしますか?
公大:メンバーみんなでしますね。関西人の性格上、当時苦労と思っていた事でも、今となっては笑い話として盛り上がってます。それにしても、若かったよね。
智也:ほんと、世間知らずで(苦笑)。今はメンバー全員が大人になったなぁって。でも、この7年はめちゃくちゃ早かったなって思いますよ。昔に比べて、ライヴもすごく楽しめるようになったし。
昴:昔はライヴも人が入らない事もあったもんな。
公大:動員が2人っていう時もありましたからね。でも、杙凪が入ってから10人になって。マジ、あれは救世主だったわ。
杙凪:あはは(笑)。Royzだけなんですよ、自分から入りたいって言ったバンドは。何かこのバンド良いなぁって直感で思ったんですよね。でも、それは間違って無かったなって思います。自分の選択は正しかったですね。
昴:振り返ると、7年の間に色々な事があったなと思います。でも、様々な事を経験したからこそ、メンバー全員が精神的に大人になれたんだろうし、1つ1つの事を無駄にしない為にも、今までの経験を糧に、これからも良い音楽を届けていければなと思いますね。
Interview:ERI MIZUTANI