Ba.禅-zen-

Gt.楓-kaede-

Vo.業-karma-

聖子-seiko-

Dr.秒-byou-

──解散を発表してから、だいぶ経ちましたが。
業:発表したのは、3月です。ワンマン・ツアーの初日だったんですけど、ファンの人からは驚かれました。
楓:確かに、衝撃的ですよね。でも、何か、解散するという実感が無いんですよ。ラスト・ライヴまで日にちがあるというのもあるんですけど、きっと、最後のダイアモンドホールを迎えるまで実感は無いと思います。
──今の気持ちとしては、いつもと変わらずといった感じでしょうか?
楓:気持ち的にはそうですね。解散に向かってというよりかは、先に向かって進んでいるので、そこまで解散という感じがしないんです。
禅:ただ、解散の発表をしてからもライヴはしているんですね。そういった中で、今日この会場でライヴをやるのは最後になるんだなって思うと、今までの思い出がよみがえってくるというか。昔を思い出すじゃないですけど、ここでこんな事をやったなぁって思いながら、1日が進んでいっている感じがしますね。
──その上で、ご自身の成長も確実に感じられているのでは?
禅:あぁ、そうですね。良い事も悪い事も思い出すんですけど、ここまでやってきたんだなぁっていうのはあります。
──秒さんにとっては、1年あまりの活動となりました。
秒:そうですね、とても濃かったと思います。でもやっぱり、今も前と変わらずという感じですね。解散を発表したとは言え、ガラッと環境が変わったわけでも無いですし。逆に、今やる事を一生懸命やるだけですね。
──業さんにとってはAvelCainが初めてのバンドでもあります。今の心境はいかがですか?
業:ラスト・ライヴの会場というのは、自分達でもギリギリまで聞かされていなくて。それこそ、解散発表した時も知らなかったんです。で、その後に知る事になるんですけど、名古屋バンドとして活動してきたからこそ、最後は名古屋で終わるというのは、本当に自分にとっても意味があるなと思っていて。だから、今はもう、名古屋ダイアモンドホールという大きな会場でかっこよく終わりたいという気持ちが大きいですね。
──てっきり、赤坂BLITZで行われる「はじまり」のツアー・ファイナルがラスト・ライヴだと思っていたので、名古屋ダイアモンドホールが最後にあるというのは嬉しくもありますよ。
業:ただ、東京で活動する事が多かったので、名古屋のライヴを観に行けないというファンもいて。だから、僕達を観るのは赤坂BLITZが最後という人もいると思うんです。それだけに、6月23日の赤坂BLITZのライヴもしっかりと見せたいなという気持ちはありますね。
──そこから1ヶ月の期間をおいて最後のライヴとなりますが、ここではAvelCainの集大成とも言えるライヴを見せてくれるのでしょうか?
業:そうですね。
楓:でも、全曲披露となると、4時間ぐらいかかってしまいますよ(笑)。
業:5月25日に全曲音限集「六道輪廻 親愛なる従者たちへ・・・」を出したんですけど、確かにこの曲たちを披露すると、それぐらいの時間はかかりそうですね。
禅:更に、6月23日には会場限定音源として「輪廻転生」を出すので、全部合わせると52曲になります。
業:うちはワンマン・ライヴも比較的短いんです。だから、これだけの曲をどうしようかと、赤坂BLITZのセットリストも結構迷いましたね。
──そういった時は、業さんが主導権を握って決めていくんですか?
業:セットリストは大体、僕が考えてます。どの曲も、思い入れがいっぱいありますからね。レコーディングも今までに3ヶ所ぐらいのスタジオでやった事があるんですけど、名古屋で録る事が1番多くて。そこは、最初のレコーディングでも使ったし、この間は最後のレコーディングもやってきたんで、すごく昔の事を思い出しましたね。最初に出したミニ・アルバム「自責」は、1日に4曲ぐらい一気に録ったんですよ。しかも、ツアー最中に名古屋に戻って録るっていう。それだけ、最初の頃は過酷なスケジュールでしたね(笑)。
──レコーディングに慣れていない時期だっただけに、不安もかなりあったのでは?
業:そうです。なので、レコーディング毎に発見がありました。ライヴもそうですけど、レコーディングの方がより、今の自分を知れるというか。だから、常に、次の課題を見つける事の出来たレコーディングでしたね。
──今となっては、これだけ多くの曲を作り出す事が出来ました。
業:確かに、最初の頃はこれだけ多くの曲が出せるとは予想もしてなかったです。でも、これだけの曲を出せた事が成長に繋がったのかなと思います。しかも、全曲音源集は全部の曲を録り直していないんですよ。だから、聴いていくうちに成長を感じる事が出来ると思うんですよね。
──当時の良さが出ていますよね。禅さんは、全曲音源集で思い入れのある曲はありますか?
禅:「蛇と姑獲鳥」ですかね。事務所に入るってなった時に出した曲なんですけど、実はこの曲とは違う曲がシングルとして入る予定だったんです。で、レコーディングも近付いたある日、いきなりこの曲をシングルでいこうって決まって。さすがに、この曲でくるとは思ってなかったので、僕は驚きましたね。まさか、これを音源化するとはって。でも、結果的に、シングルとして出して、こうして4年経った今でもこうして活きているというのは嬉しいですね。ライヴの始まりの曲としてもよく使っているので、すごい曲だなと思います。
──「蛇と姑獲鳥」を、これなら大丈夫だ!と自信を持って言えるようになったのは、やはりシングルとして出した後ですか?
禅:そうですね、完全に。この曲に関しては同期を使っていないんですよ。だから、演奏していると、バンドっていう感じがしますね。それと、僕達の今のビジョンが見えていたか分からないけど、この曲を事務所の社長がとても推していて。今思うと、それもすごいなぁって思います。
──本当ですね。じゃあ、この曲はラスト・ライヴでも演奏してくれますか?
禅:どうでしょう(笑)。
──楽しみにしてます(笑)。では、楓さんは全曲音原集で思い入れのある曲を挙げるとするならば、どれでしょう?
楓:印象に残っている曲は、「懺悔、寡黙ナル君ニ・・・」ですね。これは、シングル「蛇と姑獲鳥」を出す時に、曲が足りないから曲でも作るかと思って作り始めたら、30分で出来たっていう曲なんですよ。僕、曲がりくねった曲が嫌いなので、直感的に思った曲をやろうって作ったら、この曲になったんですよね。
──しかし、30分で出来たというのはすごいですね。よほどの勘が働いたという事になりますか?
楓:その時は、曲が無いっていう事に追われていたんだと思います。でも、僕は結構、そういう状況の方が閃きやすいんですよね。逆に、時間がある方が色々と詰め込みすぎてまって、結果、壮大な曲になる恐れがあるという(笑)。
──ライヴでガラッと変えた曲というのもありますか?
楓:当時と比べて変わったのは「蛇と姑獲鳥」ですね。当時は自分の立ち位置が下手側という事もあったので、今とはだいぶ変わりました。ライヴでは、1曲を通して緊張する曲でもありますからね。常に気を張るというか。演奏中はずっと緊張しています。その分、重要な曲だなと思います。
──こうして振り返ると、思い出ってどんどんと出てくるものですね。
禅:それこそ、全部に対して思い出ありますからね。1曲ずつ振り返ったら大変ですよ(笑)。
──AvelCainに途中加入した秒さんは、これだけある曲を覚えていくのは苦労したところもあるのではないですか?
秒:覚えるのは大変でしたね。でも、入る前に自分なりに準備はしていこうとは思っていたので、今ある曲を全部ちょうだいって言ったんです。それで、ライヴでやる曲を中心にして覚えていきましたね。
──その中でも、好きな曲を挙げるとするなら、どれになりますか?
秒:好きな曲はいっぱいあるので、思い入れのある曲を挙げるとするならば、「PSYCHO-サイコ-」という曲ですね。これは、AvelCainに関わって、初めてのライヴ、しかも1曲目に演奏した曲なんです。すごく緊張したなという記憶がありますね。
──秒さんは堂々としているのであまり緊張するタイプに見えませんけど、さすがにその時は緊張したんですね?
秒:いやぁ、緊張しました。
楓:緊張を内に秘めたる人なんですよ。だから、あまり表には出さないんですよね。
秒:人がたくさんいる前で演奏をした事が無かったので、それもあって絶対に間違えられないと緊張したんだと思います。今では、最初の頃と比べてだいぶ緊張する事も減りましたけど、全く緊張しない事は無いですね。
──ツアー・ファイナルとラスト・ライヴは会場も大きくなりますけど?
秒:だいぶ、心の準備が必要です。
──準備万端にして挑むという事ですね。でも、これだけ多くの曲があると全部聴きたくなってしまいますよ。
業:7月22日から、名古屋ミュージックファームで3日連続ワンマンをやるんですけど、それは3日間ともタイトルが違うので、出来る限り曲をやろうかなと考えてはいます。これまで、ワンマンを3日間連続でやる事も無かったので、どうなるか楽しみです。
──解散するとは言え、ラスト・ライヴ前に3日間もワンマンをやってくれるのは、ファンにとっても嬉しい事だと思いますよ。
業:そうですね。未だにやりたい事が思い付いたりするので、観に来てくれる人達には、気楽に楽しんでもらえたらという気持ちはありますね。
──ちなみに、6月23日から発売される会場限定音源「輪廻転生」は、会場以外で手に入れる方法は無いのでしょうか?
業:はい、会場だけです。
──となると、これは何が何でも会場へ行かないといけないわけですね?
楓:要するに、そういう事です(笑)。僕としては、これがAvelCainの最後の音源になるという感じがしなくて。ほんと、解散の実感が沸かないですね。
──ツアー・タイトルが「はじまり」でしたから、今まさにこれからという感じでAvelCainの活動を楽しみにしていただけに、今はただ、終わるのがもったいないです。
業:意地悪なバンドですよね。
──本当ですよ(笑)。それにしても、「輪廻転生」とは良いタイトルを付けましたね?
業:ありがとうございます。これまでにも、昔の教えを曲のタイトルで使ってはきたんですけど、今回、「輪廻転生」を最後に持ってきた事で、各々のこれから先が始まるというか。今までにも、終わりを意識して書いた歌詞はいくつかあるんですけど、今のAvelCainはこれが最後なんだよっていうところを出したかったんです。魂はあるけど、これで終わりだというところを。
──ライヴでも演奏してくれますよね?
業:はい。
──この曲に限らず、良い曲を出してきたなと思います。
業:曲毎に色々な事をやってきましたからね。そのおかげで知れた事も多いし。
──それと、業さんはLycaonを憧れとして今日までバンドをやってきました。ラスト・ライヴで彼らを越えられるという自信はありますか?
業:ずっと、その気持ちで向かってきましたからね。ただ、近付いていくほどにLycaonの悠希さんと僕は別物だって感じるんです。だから、越えるというよりかは、今はもう、自分というものを出していくだけだなって。でも、越えたいという気持ちでここまで来られたのは良かったと思います。
──きっと、ラスト・ライヴでは多くの人の共感を得ると思いますよ。
業:でも、僕達のライヴを観て、社長が褒めてくれる事ってあんまり無いんですよ。
禅:100本に1回ぐらいかな。
楓:そうだね。実は、社長がラスト・ライヴをやった場所も名古屋ダイアモンドホールだったんですよ。その時に社長がやっていたバンドが好きで、僕と禅はバンドを始めたぐらいなので、今となっては社長がライバルです。あと、社長のバンドが解散してから10年が経ちますからね。
──最後は、社長も泣かせるぐらいに素敵なライヴをやらないといけませんね(笑)。でも、これまで名古屋バンドと呼ばれてきたAvelCainの後を、誰が引き継ぐのかも気になります。
楓:そうですね。是非、名古屋バンドがまたどんどんと出てきてくれれば良いなと思います。
──その為にも、当日は良いライヴを見せて下さいね。
秒:きっと、込み上げてくるものがあると思います。
業:僕自身、解散する事が初めてなので、今はまだどうなるか分からないですけど、伝えたい事はその時にちゃんと伝えたいと思います。
Interview:ERI MIZUTANI