Gt.Z

Gt.楓

Vo.マモ

Dr.宏崇

Ba.七星

──ついに、88ツアーも終盤戦へと突入しました。これまでのライヴを振り返ってみて、いかがですか?
楓:色々ありましたけど、もう終わりかと思うと寂しいですね。ちょうど東京に帰ってきたところなんですけど(取材は7月上旬でした)、それが逆に嫌だなって。そのままの勢いで行きたいですね。
──とはいえ、東京に戻ってきてもお休みは全く無いように見えますけど?
楓:そうですね。でも、名残惜しいなぁって。100本は行けるなって思いましたね。
──100本!? じゃあ、88箇所を廻り切れたら、すぐに100箇所ツアーに繰り出しますか?
楓:さすがに、すぐには無理です(笑)。
──ですよね(笑)。それでも、今回のツアーは通常のツアーと比べたらかなり長いじゃないですか。肉体的にも精神的にも疲れが来る頃かなと?
楓:そうですよね。1年分ぐらいのライヴをしているので。けど、すげぇ良いツアーだなって思うんですよ。だから、ファイナルの幕張まで大丈夫だと思います。
──順調に廻れているという事ですね?
Z:でも、箇所箇所で山場があり、今はまた1つの山を迎えていますね。まぁ、気持ちの問題なんですけど。
──乗り越えられそうですか?
Z:そうですね、まだ1ツアー分は残っているで。でも、何回、山があるんだろうとは思いますね。
──でも、だからこそ、今回のツアーを修行と例えて良かったのでは無いですか?
Z:いやぁ、修行なんて言葉で終わらせてはいけないぞと、正直思ってますけどね。でも、ファイナルまでに良い調子で持っていけたらなと思います。
──それにしても、ファイナルまであっという間な感じもしません?
宏崇:西日本でのライヴがもう無いっていうのは、何か悲しいですね。
──終了記念として、メンバーでお祝いはしなかったんですか?
宏崇:関西ラストの時、大阪のイベンターさんが、でっけぇケーキを持ってきてくれたんですよ。それは嬉しかったですね。
Z:これです(と言って、ケーキの写メを見せてくれる)。
──想像以上に大きいケーキですね!
宏崇:でしょ。バンドがもう解散するんじゃないかっていうぐらい、立派なケーキですよね(笑)。
Z:終了、ってメッセージも書いてあるしね(一同/笑)。
宏崇:でも、同時に、これで終わりかっていう感覚もあって。
──通常のツアーであれば、そこまでの感覚は味わえないですよね?
宏崇:そうですね。だから、パッと振り返ると、このツアーは短かった気がします。まだ終わってはいないけど。
──それこそ、ツアー最初の頃なんて記憶が薄れてきているのではないですか?
宏崇:3月から始めましたからね。でも、フライヤーにも書いてあるように、ドラマがあるっていうのは本当だったなと。でも、まだ多分あるでしょうけど色々と(笑)。
──だからこそ、気は抜けないですよね?
宏崇:俺、幕張が終わった翌日に高熱を出す自信があります。
──そんな自信を持たないで下さい(苦笑)。
宏崇:高熱は出なくても、変な風邪は引きそう(笑)。でも、今は、気が張っているから今は大丈夫です。
──宏崇さんとしても、気持ち新たに幕張メッセに向かっていけそうですか?
宏崇:そうですね。メンタル面は強くなったと思うので。
──七星さんは、ツアーが終盤に入った今、何を思いますか?
七星:色々と、普段じゃ悩まない事を悩んで。正直、そんなに神経質にならんでもいいんじゃないっていうところまで神経質になったんです。でも、結局、答えはまだ見つからず。幕張メッセまでに色々と完成させたいなって思っていたけど、最近は、そうじゃねぇなって思ってきて。完成したら完成したで燃え尽きちゃうんだろうし。でも、まだまだ未熟なので、更に先を目指して行こうっていう気持ちですかね、今は。
──完成させたいと思うのは、ステージにおいての個人的な見せ方ですか? それとも、バンドとしての見せ方ですか?
七星:その辺はフワッとしているんですけど、昔、俺らがキッズの頃に憧れていた人達に辿り着きたいというか。難しいところですけどね。
──それって、長いツアーだからこそ気付けた事でもあるのでは?
七星:かもしれないですよね。
──先が見られるというのは良い事だと思います。
七星:俺、時代のせいにしたくないなって思うんです。結局、色んな事の諦めって、そういう事って考えちゃう感じがするんですよね。こんな時代だからしょうがないかって。そう思わないといけないところもあるんだろうけど、思いたくないというか。
──そこは、引き続きの課題ですよね。また、そう思う事によって、これからのツアーに対しての取り組み方も変わってきそうですし。
七星:ツアーが長い分、色々な思いをすぐに明日試す事が出来ますからね。そういうところが、休みが無いツアーの良いところなのかなって。
──何だか、このツアー、七星さんの中で喜怒哀楽が激しかった感じがしますが?
七星:激しいっすね。
──喜怒哀楽でいうと、今はどの感情が多めですか?
七星:うーん、哀かな。でも、単純に、もうすぐ終わってしまうから哀しいなぁって思っているだけなんですけど(笑)。
──では、残りも良い調子で廻れそうですね。マモさんは、このツアーいかがですか?
マモ:始めた当初から考えたら、早かったなぁって思いますね。
──最初は、こんなにもたくさんの本数を廻り切れるかなという不安もありましたか?
マモ:何か、暇な時間に今日は何本目だろうって数えてたんですけど、先が長すぎてどうなる事やらって思っていたんです。けど、実際に廻ってみたら、割と出来るものだなって。ただ、このツアー中に自分の体調が100%で良かった事が1度も無いんですよ。風邪を引いているか、二日酔いのどちらか。
──後者は、本人の心掛け次第でどうにでもなりそうですけど(笑)。
マモ:まぁ、それも、1つの修行かなと。
──確かに。けど、風邪はさすがに辛いですよね。
マモ:体調が万全では無いからと言って、手を抜くわけでは無いんです。1本1本、最善を尽くしてはいるので。でも、それも、これだけの本数をやらなかったら気付けなかった事かなとは思いますね。
──体調が万全では無い時でも、セットリストを大人しくしようとは思わなかったんですよね?
マモ:その日の気分では変えますけど、曲を減らそうとかは考えなかったですね。
──それは、自分のプライドにかけて?
マモ:そうですね。例えば、その日に声がちゃんと出なくても最後までやり通そうって。そういう面では、メンタル的にすごく強くなったと思うんですよ。
──それだけに、すごく良いタイミングで新作が出るなぁと思いました。しかも、今回は、かなり雰囲気重視の曲になっていますよね?
マモ:「forest」を出すって発表した時、多くが、R指定の事だから裏切ってくれるだろう、っていう意見だったんです。でも、今回は、すごくストレートな楽曲で。曲先行というのもあり、タイトルは後乗せだったんですよ。なので、割とそのままの雰囲気を活かしたというか、綺麗な感じで仕上げたいと思ったんですよね。だから、今回は曲に対してサプライズとかはいらないかなって。
──これまでは、敢えてサプライズを用意してリスナーを驚かせていましたが、そうやってストレートでも勝負出来るようになったんですね?
マモ:そうっすね。
──ちなみにこの曲、幕張メッセでのライヴに向けて作ったところもありますか?
マモ:ですね。ツアーの締め括りとして、この曲を出してもいいかなって。
──そうだったんですね。これは、スルメ曲と呼ばれる1曲になりそうじゃないですか?
Z:大抵、バラード曲って、後から入ってくるじゃないですか。歌詞もそうだけど。なので、それで良いと思います。
──しかも今作は、88ツアーに出る前にレコーディングを済ませたそうですね?
Z:そうです。ただ、どういうツアーを廻って、この作品が出るっていうのは、その時は考えてはいなかったですね。それよりも、このツアーのメイン曲である「八十八箇所巡礼」に力を入れていたので。
七星:けど、デモを聴いた時点で、これしかないなっていうのが出てきていたので、アレンジ自体はすんなりでしたね。それでいて、仕上がりはR指定史上、1番大人っぽい。
Z:でも、この曲はまだライヴでやっていないので、俺のイメージはCDが出来た時のままなんです。実際に演奏した時にテンポ感とかも変わってくると思うので、体感してみない事には分からないですね。
──作曲者のZさんから見て、この曲の良いところを挙げるとしたら、どこでしょう?
Z:サラッと聴けるところですね。だからと言って、気になるところが無いわけでは無い。でも、サラッと聴けるから、もう1度聴きたくなる。そうすると、歌詞もだんだん入ってくるという感じですね。
──マモさんは、この曲を聴いた時から、深い森をイメージされたんでしょうか?
マモ:それが第1印象でしたね。でも、自分の中では、森を題材とした曲だとインパクトが薄いかなと思っていたんです。だけど、そこをうまく印象付ける歌詞にしていきたいと思って書いていったんですよね。結果として、めっちゃ良く出来たなって自分では思っています。
──今までの歌詞とは違って、少し濁した表現を使っていますよね?
マモ:比喩的な感じになっていますよね。そう考えると、少し新しいのかなって。でも、俺達を支持してくれるファン層って若いじゃないですか。だから、その子達がこの曲に共感してくれるのか、ちょっと心配。まぁ、好きなように取ってもらって良いんですけどね。でも、なるべくなら、自分が書いたのと近い方が良いじゃないですか、受け取り方って。
──せっかくですから、歌詞の解説をしてみますか?
マモ:うーん、それはいいかな。でも、あまりにも分かってくれなかったら、自分で言っちゃうかも(一同/笑)。
七星:きっと、マモファンなら歌詞の内容を理解してくれると思うんですよ。それで、お兄ちゃんにはまっちゃった、って思ってもらえればいいんじゃないかな(笑)。
──七星ファンは、この曲をどのように聴けば、より楽しめますか?
七星:俺ファンには、俺が弾いている姿を想像して濡れてほしいです。
──なるほど。ステージングも素敵になりそうですね。って、自分で言っておいて笑わないで下さいよ。
七星:すいませんでした(笑)。
──宏崇さんは、この曲に関していかがですか?
宏崇:うちのバラード曲の中で1番手が込んでいると思うんですよ。基本、バラードは歌が前に出れば良いと思っているので、ドラムはそこまでしゃしゃる事はしないんですけど、今回は詰まってますね。
──そこも聴きどころですね。あと、歌詞で〈依存の森〉という一文が出てきますよね。ここで、禁断の恋から抜け出せなくなってしまったところを感じました。
マモ:そうですね。あとは、〈樹海のように〉というところで、もう戻れないよっていう。でも、戻れないと分かっているのに進んでしまうんですよね。大人の恋愛を書いたので、そう受け取ってもらえたら。
──深いです。これは是非、ファンの方に読み解いてもらいたいですね。
マモ:自分の中では、一級品の歌詞になったという自信がありますから。
──それだけに、早くライヴで観てみたいです。
楓:この曲は、幕張メッセで初披露になると思うんですけど、大きな会場で映えると思います。また、この曲と「八十八箇所巡礼」を聴いて、88ツアーを思い出してくれたら良いなと思いますね。
宏崇:その為にも、「forest」はファイナルを迎える前に猛練習しないと。俺は、やっとフルセットで演奏出来るので、そこが今1番の楽しみですね。
──カップリングの「正義のヒーロー」は、「forest」とは真逆な曲ですね?
マモ:敢えて、逆で行こうと思いました。同じような曲を持ってきても仕方無いし。
──こちらは今までどおりの激しさがあるだけに、ライヴでやったとしたら、すぐに乗れそうですよね?
マモ:そうっすね。ただ音源で聴いて良い曲だ、で終わる曲だとは俺は思っていないので、ライヴでやってみてどう変わるかっていうのは、楽しみなところではありますね。
──まずは、今作の発売を震えて待てと。そして、その後に続く幕張メッセが楽しみです。
マモ:来てくれって感じですね。
──当日来たら、どんな良い事がありますか?
マモ:別に無いっす。
──えっ!? いや、何かあるでしょう?
マモ:(笑)。でも、バンドとしては、これまでで1番デカイ事なので、R指定のライヴに最近来ていないという人達にも、この瞬間は観てほしいなとは思いますね。
Interview:ERI MIZUTANI