Dr.堕門 |
Gt.奈緒 |
Gt.來堵 |
Vo.暁 |
Ba.祥平 |
──新作「カルマ」を聴いてまず思ったのは、アルルカンは常に変化を恐れずに進んでいくバンドだなと。
暁:アルバム『Utopia』を出したのは大きかったかもしれないですね。各々が作品毎に何かしら挑戦しているので、僕らのこと詳しく知らない人たちからしても分かりやすい変わり方が出来ていれば面白いし、そこを自分たちとしても楽しんでいけるようになりたいなというのがあるのんですよね。だからこそ、「カルマ」は今のタイミングで出せるものを全て出した感じですね。
奈緒:変化を恐れないというか、今は絶対にブレない芯があるんですよね。芯があるからこそ、何をしてもアルルカンになる。なので、やれるところまでやってみようよというスタンスでやっています。だからこそ、シングルにしては珍しいことに挑戦しているというか。
──そもそも、何が理由となって皆さんをここまで突き動かしたのでしょう。自分たちの原動力は何なのか、そこがとても気になったのですが?
暁:僕たちはこれまでに、赤、緑、青と、衣装の色を変えてきたんですけど、これは光の三原色を表わしていたんです。それだけ展開があれば、全てが揃った時、バンドはすごく強い状態になっていて、光でいうところの綺麗な白さを見せているんじゃないかなって思ったんです。けど、実際には、自分が喉を壊してしまったりと思うようにいかないなと感じた時期もあって。何ていうか、自分が思い描いていた綺麗な白い光はいつの間にか灰色へと変化してしまった。だけど、そう感じながらも前へと進まなければならない。だからこそ、それまでの自分とはお別れして、次へ進もうと決意したんですよね。なかなか、口で説明するのは難しいんですけど、作品を作るにあたって感じたのはこういうことでした。
──なるほど、そうでしたか。だからこそ、一層の強さを本作で感じられたのですね。表題曲「カルマ」を作曲したのは奈緒さんですが、この曲は本当にイントロ部分から惹き付けられました。
奈緒:この曲、最初はもっとポップなイメージだったんです。ただ、それだと、いつもと代わり映えがしないというか。せっかく、アルルカンという軸があるのだから、もっと挑戦してみても面白いなと思って、イントロは今までにない感じにしてみました。サビにいくにつれドラマティックな展開を見せるんですけど、イントロのフレーズは中毒性があるんですよね。なので、1度聴いたら絶対に頭の中に残ると思います。
──挑戦の曲だけに、ドラムの音は堕門さんと奈緒さんでかなり細かく詰めていったのではないですか?
奈緒:そうですね。残りの2曲と雰囲気が全く違うので、「カルマ」ではスネアをカンカンいわせようとか、大ざっぱなイメージではあるんですけど、こういう曲には泥臭いドラムが合っていると思ったので、今のアルルカンの音を守りつつ、今言ったようなことを攻めてみようって。
堕門:そう。でも、そこで初めて意見のぶつかり合いがあったんですよ。奈緒が持ってきてくれた何パターンもの音に対して、俺はもうちょっとこうした方が良いっていう意見を言って。結局、お互いの間を取ったんですけど、そうやって言い合えることが出来たというのは嬉しくもありましたね。
奈緒:たもちゃんって、あまり自分の意見を大きく言わないタイプなんですよ。割と、こっちから提案したものに対して良いねって言ってくれるんですけど、そのままだといつか頭打ちしてしまうだろうと思っていた矢先、いくつかある中から自分で選択してくれたので、自我の解放をしてくれたなと。
堕門:この曲は聴いていて渋さを感じたので、そこを活かしたいと思い、大人の雰囲気が出たドラムを叩いていったんですよね。おかげで、良い音になりました。
奈緒:祥平に関しては、イントロのギターリフの後ろでチョッパーをかましているんですけど、サビは逆にあまり動かずロートーンな感じで、ルートで下を支えるようなフレーズが良いなって。
祥平:前だと、結構身構えてしまって色々と考えてしまったんですけど、今回は3曲共そういったことがなかったですね。でも、そのパートがかっこいいというよりかは、バンドサウンドがかっこいいと言われる方を選んだという感じなので、今回もかっこいいのが出来たと思います。
來堵:「カルマ」は、三原色の集大成というが変化を持って提示出来たのが本当に良かったなって。べたに集大成っていうと、各色の寄せ集めみたいになりそうだけど、それが変化を持って違う形としてアルルカンで届けることが出来て良かったなと思います。
暁:今回の作品でそこまでの意味合いを持っているのは「カルマ」だけなので、本当にこの曲が表題曲となって良かったですね。
──大事な1曲となりましたね。また、カップリングの2曲も「カルマ」に負けないぐらいのインパクトを残しています。
奈緒:「ワガママ?」は、たもちゃんが持ってきました。
堕門:特にテーマは立てずに、こういう曲をやりたいなぁというところから始まったんですよ。そもそも、僕が最初に曲を作ったのは、アルバム『Utopia』に入っている「in the dark」という曲だったんですけど、あれを作った時も、こういう曲をやってみたら面白いんじゃないかっていう発想からだったんです。だから、今回はそれを上回るようなもの、自分が違った目線を持って曲を作った時にどこまでいけるんだろうと思って、曲作りをしてみたんです。そうしたら、みんなから、たもちゃんらしいと言ってもらえて。自分でも良い曲になったと思うし、逆に、まだまだだなと感じる部分もあるので、もっと色々と追求して良い曲が作っていけたらと思います。
奈緒:もう1つの「AN REC ODD」は來堵が作りました。
來堵:7枚目のシングル「PARANOIA」から作曲を始めて、作品を上げる度に作曲者なりに思ってきたことがあって色々と勉強してきたんですけど、そろそろ、俺がやりたい世界だけじゃなく、アルルカンっぽいものを目指して1曲書いてみようかなと思い、この曲を作りました。結果として、曲展開とかは、あぁこれがアルルカンだなという感じにはなったかなと。アルルカン流、キモカッコいいロックチューンが生まれたと思ってます。
暁:「AN REC ODD」は、浮遊感じゃないですけど聴いていて楽しみだなぁというのはデモの時からありましたね、歌詞も付けやすかったですし。反対に、「ワガママ?」は歌詞を乗せるのが結構大変な曲ではあったんですけど(笑)。でも、曲によって使いたい言葉も変わってくるので、その辺は色々な曲があった方が面白いですね。
祥平:どちらの曲も、(堕門と來堵)2人にしか出せない雰囲気が出ているなと。これは意図して出せるものではないので、曲に対して悩むことは一切なかったですね。俺からしたら、初めから答えが出ているというか。だから、それに合わせて答え合わせをしていくイメージなんですよね。
──この記事が掲載される頃には、既に作品は発売されていますから、リスナーの反応が楽しみですよね?
奈緒:この作品は個人的にとても満足しているので、後は聴く人がどう思ってくれるか。あと、先の話になりますけど、次回作「真っ赤な嘘」と「影法師」に対しても僕はすごく自信を持っているので、そこも楽しみにしてもらいたいんですよね。簡単に言うと、アー写から受けるイメージそのままの曲を出そうとは考えてはいません。赤と黒、2枚をひっくるめた上でのアルルカンを出したいので、良い意味で裏切りを見せられると思います。
──その前には、ワンマン・ツアー「残響」がありますね。“リベンジ”というサブタイトルが付いているのも気になったのですが、これはどういったことを示しているのでしょう?
暁:僕が喉を壊して休んでいた7月に、楽器隊4人だけでツアーを回っていた場所にもう1度行きます。だからといって、ただ単に行けなかった場所に行くというだけでなく、力強くなったところを見せに行くので、まさにリベンジですね。
奈緒:「残響」ツアーが終わった後、来年3月からは、新作を引っ提げてワンマン・ツアー「嘘と影-自分を保つ為の2つの顔-」を行います。イメージとしては、別のバンドがライヴをやるかのような感じを出したかったので、スケジュールも敢えて、作品テーマである赤と黒できっちり分けているんですよね。
暁:いっぺんにやると大変だと思うんですけど、しっかりと2つに分けることで、違うものが見せられると思うし、僕は楽しみながらヴィジュアル系をしっかりとやろうかなと思っています。
(Interview:ERI MIZUTANI)