Ba.LAYHA

Vo.春

Gt.さゅら

Dr.たつき

──来年1月18日にリリースされるニューシングル「ぼくときみ、のしたい」は、当初「ぼくときみ、のしあわせ」となっていました。これまで、SCAPEGOATがフェイクのタイトルを仕掛けてきた事ってなかったですよね?
春:こういうのは初ですね。
──まったくと言っていほど、幸せ感のないタイトルになりました。
春:結果的にそうなりましたね(笑)。
たつき:でも、アー写の時点で幸せじゃない感じはバレバレだし、嘘付いてそうだよね。
さゅら:確かに(笑)。
──作品タイトルを始め、表題曲も「君を殺して僕も死ぬ」から「君を殺して僕も死ぬ(嘘)」に変更されています。このように変えた意図というのは?
春:そもそも、リキッドワンマンに「君を殺して僕も死ぬ」というタイトルを付けていたんですよね。それもあって、ニューシングルはリキッドワンマンにちなんだ作品に出来たら良いなって。ただ、「君を殺して僕も死ぬ」とは付けたんですけど、自分も死ぬわけにはいかないだろうという事で、タイトルに(嘘)を付けたんです。
──なるほど。この曲を作曲したさゅらさんは、まずどういった事を考えながらデモを作っていったのですか?
さゅら:これはけっこう前からあって。それこそ、WESTワンマンが終わった直後に3枚シングルを出そうって話があり、その時に春と話している中で、ラストを飾る作品はこうしたコンセプトでいこうって決めていたんです。面白おかしくじゃないけど、良い意味でふざけている要素を入れようって言っていたので、パズルを当てはめるように、ここはこうしようっていう感じで作っていきましたね。それもあって、出来上がって聴いてみると、すごい曲になったなって思います。曲中でかなり落差があるんですけど、聴いていて違和感がないというか。そこはうちの楽曲だからかなと思います。
──確かにこの曲は、1曲の中で落差がありますよね。それだけに、作曲している時のさゅらさんは幾つも人格を持っているのかなと思ってしまいました。
さゅら:このバンドを続けているうちに、いつのまにか(笑)。でも、作っている時は割と冷静だったんですよね。最初は、幸せだったり順風満帆だったりするところを語っていて、そこからスピード感のあるようにしたかったので転調していって思い切り差を付けていこうと。そうやって多重人格的な部分というのは作っている時は違和感にもなっていたんですけど、この曲に関しては違和感があった方が良いなと思って進めていきました。
──演奏は難解になっていますよね?
さゅら:途中でシャッフルも入ってきますからね。
たつき:僕は今回、特別に展開が多いなとは感じなかったんですよ。でも、よくよく考えてみると展開は多いのかもしれないですね。ただ、うちにはそういう曲は他にもあるので、慣れっこです(笑)。
LAYHA:録っている時は、Aメロ部分、サビ部分、という風に分けて録っていったのでそこまでの違和感はなかったんですけど、通して聴いてみるとすごい曲になったなと思います。あと、サビでいえば、今までの曲と比べてもベースはずっと動いているので、どこでルートを外すかっていう感じでやってました。その分、いろいろな事が出来た1曲かなと思いますね。
──歌詞は幸せさを出しながらも恐怖を取り入れているという、SCAPEGOATならではの展開となっています。
春:この曲は“嘘”がテーマなんですよ「。まぁ、正確にいうと嘘ではないんですけど、SCAPEGOATならではのサイコパス感が出れば良いなと思って書いていきました。
──サイコパス感はMVにも出ていますか?
春:実は明日撮影するんですけど(笑)、映像的にも両極端にしようと話をしていて。現実なのか、夢なのか、そういった世界観をエキストラの子を入れて表現しようと思っています。何回か観て、こういう事だったのかというのがわかるような映像にはしたいなと。もちろん、演奏シーンもあるので、そこでライヴを感じてもらいたいですね。
──やはり、この曲の初披露はリキッドという事になりそうですか?
春:おそらくはそうなるかなと。「ヘドロ」と「ラストシーン」を経ての「ぼくときみ、のしたい」となるので、この曲を聴いてリキッドまでお客さんも気分を高めていってくれたら嬉しいですね。
──カッップリングの「朱殷ノ契リ」は、すごく雰囲気のある1曲になりましたね?
さゅら:雰囲気重視ですね、これは。
たつき:SCAPEGOATのディープゾーンとも呼べる曲だけに、ライヴでやったら世界観へと引き込まれていくと思うんですよ。ドラムに関しては、ローテンポな感じが僕的には気持ちが良くて。だから、全体を通して心地の良いリズムを感じてほしいです。
さゅら:この曲、自分の中でのテーマは“内に秘めた狂気”だったんです。だから、リズム隊には大地をはいつくばるような感じで力強くやってもらって、ギターはその世界を広げていったという感じなんです。ヴォーカルレスな部分も多いので、各自にスポットがあたっていると思うし、楽器陣それぞれの立ち振舞いを演奏から想像してもらいたいですね。
LAYHA:最初に録った時はリズムにビタッとはめるというか、隙間多めでやっていったんですけど、もうちょい下にいてほしいっていうので、フロウな感じで弾いていったんです。ギターの音数もこの曲は少ないので、みんなが良いバランスを保っていると思います。
──主張しすぎなかったというのが、この曲の良い点ですよね?
さゅら:不思議なもので、活動が長くなるにつれ、相手のしたい事が勝手にわかってくるんですよ。
たつき:ここであいつが出てこないって事は、自分だなっていうのがわかるよね。
さゅら:そうそう(笑)。そういうのが簡単に出来るので良いですね。あとは、録りながらみんながライヴを想像したと思うので、そこもこれまでの経験が重ねられてきた曲だなとも思います。
──この曲では、歌詞はどのような事を意識して書いていったのですか?
春:ここでは、“共犯”がテーマになっています。あとは、SCAPEGOATを象徴するものにもしたかったので、俺らとお客さんで一緒の罪を犯すにあたっての血の契約みたいなイメージで書きましたね。それもあって、サラッとは聴けないと思うし、自分が思い描いていたとおりの内容になりました。
──歌録りも相当なまでに力が入ったのでは?
春:Aメロでは雰囲気を考えながら、力強いところも表現できるよう、サビは意識しながら歌っていきました。この曲もおそらくはリキッドでやると思います。
──この2曲を聴くと、今だからこそリキッドに立てるのかなと思いますよ?
LAYHA:前にやっていたとしたら、ただ騒いで終わりというライヴになっていたかもしれないです。
春:今年の7月にWESTワンマンをやってから、音源のリリースを重ねる毎に意識がまるで違ってきているんですよ。だからこそ、このタイミングでリキッドでワンマンが出来るというのは大きいと思います。
──楽しみです。でも、その前には目黒鹿鳴館で無料ワンマンを行うんですよね?
春:12月30日にやります。
LAYHA:あえて年末の忙しい時期にやるっていう。しかも、いきなり告知したし(笑)。
たつき:そういうのも僕ららしいよ(笑)。
春:やっぱり、ワンマンライヴでしか観られない俺らもあると思うんです。もちろん、イベントライヴにかける想いもワンマンと同じなんですけど、初めて観る人からすると、ワンマンってハードルが高いのかなって思ったんですよ。
たつき:何されるかわからないしね(笑)。でも、無料だったら何されても良いじゃないですか。
春:1度は俺らのワンマンを観てもらいたいなという考えからこうした企画を思い付いたんですけど、俺らを知ってくださいというライヴが出来たら良いなと。
──ちなみに、どうすればこの無料ワンマンに参加できるのですか?
春:一応、応募制にしているんですけど、このインタビュー記事が出る頃には受付を締め切っているので、当日そのままライヴ会場に来て、無理やり入って下さい(笑)。
──リキッドワンマンとは全く違う内容になりそうですね?
春:そうですね。ただ、無料とはいえども無料感は無いと思いますよ。5、6曲で終わらせる予定もないし。
たつき:あれだけやったのに無料なんだ!って思えるライヴにしてやろうかなって。だから、財布を置いて来て下さい。
LAYHA:ドリンク代はかかるので、そこは忘れずに持ってきて下さい(笑)。
さゅら:あと、交通費も(笑)。
春:とにかく、楽しみにしておいてもらえたらなと思います。
Interview:ERI MIZUTANI