Dr.正人

Gt.夢人

Vo.ハロ

Ba.明弥

──結成2周年を迎えて、今それぞれに何を思いますか?
ハロ:2年間活動する中でたくさんCDをリリースしてきたんですけど、それを手に取ったファンの方から、僕らの楽曲を糧にしているっていう話を聞くと、やっぱり嬉しいですよね。だからこそ、単に浮かれただけの気持ちでバンドをやってはいけないなって。そういう意味でも、バンドが2周年を迎えて、より自覚が出てきたと思います。
正人:2年バンドをやるということの大変さと、2年やれたことへの自信と、応援してくれるお客さんへの感謝が強いですね。もちろん、メンバーへの感謝の気持ちもありますよ。敢えて口に出しては言わないですけど、目で訴えるようにはしています。きっと、伝わっていると思うんですけど(笑)。
明弥:伝わってます(笑)。でも、この2年すごく早かったなぁと思いますね。イメージどおりに来られた部分もあるし、そうでもない部分もあって。けど、結成当初に決めた“こういうバンドにしたい”っていうことに寄り添った活動が出来てきたので、そこが1番良かったかなと。あとは、音楽的にも2年で32曲ぐらい書きまして。今年に入って「真夏のバラッド」ぐらいかな、僕らが提示しているバンドコンセプト“歌謡サスペンス”からまた新しいところに挑戦出来たんですよね。ちょうど2年目にそこに来られて良かったなと思います。
夢人:バンドって、最初の方は勢いで行けるところもあるんですよね。でも、それを越えた時に、なあなあになることになくバンドを楽しくやっていけるかというのが大事になってくると思うんです。ベルの場合、初心を忘れることなく出来ているので毎日が楽しいですね。きっと、このメンバーならいつまでも楽しくやっていけるんだろうなというのが、活動2年目を迎えて確信へと変わりました。
──11月30日にはニュー・シングル「ルフラン」がリリースされますが、音を聴いて、本当にバンドが良い状態だということが分かります。
ハロ:今回、バランス的にもすごく良いんですよね。アルバムを出してからというもの、歌謡サスペンスという軸は変わらずに、やりたいことが広がったような気がするんです。だからこそ、色々なことにも挑戦しようと思えたし、その第一歩として「真夏のバラッド」が作れたんですよね。そして、挑戦を続けるため、「ルフラン」で1曲1曲に濃さを出せたんだと思います。
──それだけに、どれを表題曲にするか迷ったのではないですか?
ハロ:じゃんけんして決めちゃう?っていう意見が出てしまうほど、ほんと悩んだよね。結局、次のシングルはどの方向性でいくかという、先のことまで考えたうえで、今回の表題曲を選んでいきました。
──表題曲「ルフラン」は夢人さん作曲です。
夢人:歌が入ったらこの曲はすごく良くなりましたね。それまではヴィジュアル系らしい感じの曲だったんですけど、歌詞と歌が乗ったことでちゃんと歌謡っぽい雰囲気が出て。僕の中では、1番変化した曲ではありますね。
──レコーディングもスムーズに進みましたか?
正人:ドラム録りギリギリでこの曲は来たんですけど、曲自体が良いものだったので、ドラム作りもすんなりといきました。僕的には、イントロでのギターとの絡みだったり、サビに入る前のヴォーカルとの絡みだったり、そういうところでメロを重視して演奏していったので、ここは聴いても楽しいし、ライヴで観ても楽しめると思います。
明弥:僕はいつも、夢が作った曲は自由にやっていいよって言われているんです。この曲では、ヴィジュアル系っぽいベースラインを作ろうと思い、サビの動きとか、ルートから5度に行くところとか90年代のヴィジュアル系によく見られた手法を使ったりして組み立てていったんですけど、やっぱりルートだけだと面白くないなと思ったので、Bメロでハイポジションの方に動いたりしてメロに絡む感じで作っていきました。あと、最初に録ったジャズベースの音が後々聴いて物足りなくなってしまったので、フレーズは同じなんですけど作りが違うベースで録りましたね。大体、いつも録る時ってエフェクターをかけないでライン1本の音で録っていくんですけど、ベースの出音だけでかなり変わるので、リアンプで録りましたね。
夢人:僕は、実にシンプルです。ワンギターというのもあるんですけど、歌に耳を傾けてほしいってなると、伴奏といえるぐらいのギターに徹したくて。もちろん、細かい音も入っているんですけど、最低限にはしていますね。あと、ギターソロも、前半と後半で違うギターを使っているんですよ。後半でカッティングのソロが出てくるんですけど、音がより良いやつを途中で切り替えています。
──楽器陣の演奏のおかげで歌が引き立ちましたね。歌詞で重要視したことは何ですか?
ハロ:1人の女の人にスポットをあてて描いているんですけど、あんまり強すぎるワードを書かないっていうのは意識しました。あと今回、衣装の雰囲気に合わせた世界観で歌詞を書きたいなと思ったので、読む人がどう受け取るかは自由なんですけど、楽曲の雰囲気と歌詞と歌で時代背景がフワッと浮かんでくれたら良いなっていうところではありましたね。
──そこは、MVでも出ていますか?
ハロ:曲の世界観は映像でもかなり活きていると思います。今回、影絵を使っているので、陰影がハッキリしているんです。
明弥:影があることによって、メンバーの顔は正直あまり見られないんですけど、そういった雰囲気も味わってもらえたらなぁと。みんなかっこいいですよ。
──次の「雨に謳えば」も、MVを撮影されたそうですね?
ハロ:はい。「ルフラン」とは対照的な感じになっています。「雨に謳えば」のMVは、演奏シーンはもちろん、ストーリー仕立てになっているので楽しめると思いますね。
──元々、明弥さんはどういったイメージでこの曲を作ったのですか?
明弥:曲自体は歌謡サスペンス劇場というコンセプトがあったので、歌謡っぽさを入れつつ、スリリングな展開のある曲にしたいと思って作っていきました。だから、歌詞も怪しげというか。これから事件が起きそうな恐怖感のあるような内容が良いなって。
ハロ:サスペンス要素を歌詞に入れてほしいとのことだったので、そこを踏まえたうえで、僕としては歪んだ自己顕示欲や承認欲求を書こうと思ったんです。それらについて調べていくうちに、そういえばインターネットの情報って随分と溢れ返っているなと。それこそ、1つ1つの数なんて誰も把握出来ていないし、発信したところでその声は届きにくくもある。そんなところが雨粒にも似ていると思ったんです。雨粒も1つ1つなんて数えたことないし、自分の声が消されてしまうほど雨の音って大きいじゃないですか。そういったところで、雨を比喩として使っていったんです。
──ライヴでも映えそうですよね?
正人:ライヴ曲にしたいというのは、先にあっきーから聞いていたので、持ってきてもらったデモよりブレイクを多くしたり、今までのシャッフルよりも難しくしたりしました。
──「秋桜の咲く頃に」と「未来予報士」はどういった曲といえましょう?
夢人:自分的には作曲を楽しみたいという思いで、「秋桜の咲く頃に」を作っていったんです。途中でキーが変わったり、遊び心のある感じで作っていきました。
ハロ:ちなみに、この曲、“コスモス”ではなく、“あきざくら”と読みます。
夢人:今、してやったり!っていう顔したね(笑)。
ハロ:大事だからね、そこは(笑)。夢がこの曲を持ってきた時、秋特有の寂しさを感じたんですよね。あと、歌謡を連想させるワードも散りばめられているので、ぜひ歌詞を読んで色々と探してほしいですね。
明弥:「未来予報士」は僕が作ったんですけど、ポップですね。だからといって、よくあるような応援ソングというわけではなく、日常に寄り添うようなものになっていると思います。
夢人:定食で言うところの味噌汁的な。
正人:あー、分かる(笑)。
明弥:色々な曲の中に入ることによって、すごく合うものになったかなと。
ハロ:これこれ!っていうものになったよね。あとは、ライヴでこの曲がどう化けていくのかなって。
──冬の六大都市ワンマンツアーで聴けることを楽しみにしています。
夢人:福岡は正人くんの誕生日も兼ねているし、札幌は2日間あるので面白くなりそうです。
ハロ:その後、仙台を経て、ファイナルを来年1月8日に渋谷のWESTでやるんですけど、2年活動してきて地に足の付いたところをここではしっかりと見せていきたいですね。そのうえで、次のステップに行きたいと思います。
(Interview:ERI MIZUTANI)