Dr.宏崇

Gt.楓

Vo.マモ

Gt.Z

Ba.七星

──ニュー・シングル「-SHAMBARA-」は、どのようなテーマの下で制作されたのですか?
マモ:今までシングルで出した事のないようなテンポ感や洋楽などのテイストを混ぜつつ作っていったんですけど、まぁバンギャルは嫌いだろうなって(笑)。そういう事をわかっておきながらも実験でやってみました。
──それはすごい。ただ、これまでにも新たな試みは小出しにしていたと思うんです。
マモ:そうですね。でも、ここまでガッツリとやったのは初めてな感じもしますね。
──今おっしゃたように、こうした曲調に苦手意識を持つファンも少なからずはいるかもしれません。それでも敢えて提示しようと思ったのはなぜですか?
マモ:楽曲に関してはファンに合わせる必要はないかなって。それに、常に同じ事をやっていても面白くないと思うんですよね。
──なるほど。それにしても、大人っぽい楽曲に仕上がりましたね?
Z:あぁ、そうですね。
マモ:俺は元々こういうジャンルが好きで、バンドの出始めは割とこういう曲が多かったんですけど、そこから方向転換して、一周した今、また戻ってこられたかなっていうところはあります。
──そういった意味も込めて、理想郷を表した「-SHAMBARA-」というタイトルを付けたのですか?
マモ:特に意識はしてなかったけど、そうなのかもしれないです。ただ、日本八十八箇所巡礼が終わってから、自分たちの理想郷は今なのかなって。
──では、楽曲を作るにあたって、楽器陣はどのような準備を進めていったのでしょう?
Z:「-SHAMBARA-」に取り組むにあたり、まずは友達に7弦ギターを借りました。昔、1度だけ7弦は使った事があるんですよ。でも、6弦をずっと使っていた事もあって、その時は7弦を使う事の意味があまり理解できなくてすぐに売ってしまったんです。けど、今回は、ドロップAチューニングというだけあって、6弦じゃ無理だと思って7弦に挑戦したんですけど、やっと7弦を使う事の意味が分かりましたね。あの時は何でこのコードが理解できなかったのかなって思うほど、今回はスッと弾けました。やっぱり、経験ですかね(笑)。でも、7弦を使って曲作りをするのは面白いなと思いました。だから、もうちょっと勉強していこうかなと。
楓:あと、今回はバンドサウンドを押していこうと話していたので、いつもより楽器がめっちゃ出ていると思うんです。ギターの本数も多く入れているので、ライヴでどうしようかなって。
──レコーディングが終わったばかりにも関わらず、すでにそこまで考えているとは。でも、今までは歌を引き立たせる事を意識していただけに、そうやって楽器を立たせたというのは意外性もありますね?
楓:やっぱり、かっこいいなと思いますよ。同期とかがめっちゃ出ている曲よりも、こうしてバンドサウンドが出ている方が、弾き手としては気持ち良いなと思えるので。今までとは違う感じなので、それはそれで面白いなと。また新鮮な気持ちになれましたね。
──ライヴでの再現も楽しみなところではありますが。
楓:考えておきます(笑)。
──七星さんはこの曲に関していかがですか?
七星:やった事のない感じなので、単純に楽しかったです。でも、難しいですね。もちろん、引き出し上にはあったんですけど、だいぶ古いというか。高校生ぐらいの引き出しを引っ張り出してきたみたいな感覚だったので。あとは、バンドのアンサンブル的にも、このチューニングでいくんだったら、クオリティが上がっていく様を見られるだろうし楽しみだなぁって。何ていうか、バンドとして偉大な先輩たちが変化していったような、そういう時期にきたのかなって思います。だからこそ、チャレンジしていくのは面白いですね。
──それは良い事ですよね。自分で変わろうという意識を持たない限り、変化って訪れませんから。
マモ:そうなんですよ。
──それだけに、今のR指定を表すのにぴったりな楽曲だと思います。宏崇さんはこの楽曲に対してどう思っていますか?
宏崇:まず、王道なリズムパターンというのがリフにしかないので他がややこしいですよね。ちなみに、ドラム録りには5時間かかってますから。
──録りの際にはメンバーが立ち会いを?
宏崇:俺1人ですよ!
楓:誰もいなかったっていう(笑)。
宏崇:励ます人はエンジニアさんぐらい(笑)。でも、ほんと、手と足がここまで違う事をしているっていうのは初めてだったので、この曲はほとほと疲れましたね。で、結局5時間かかったっていう。けど、上が重いのに対してのアプローチっていうのは普通の曲とちょっと違うので、その辺はうまい事できたなと思います。
──時間をかけただけあって、結果がちゃんと出ていますよね。
宏崇:はい、出ていると思います。
楓:ちなみに、宏崇が悪戦苦闘している時に、マモは「えっ、もう録ってんの?」って言ってましたからね。
マモ:レコーディングが始まった事すら知らなかった。だって、デモを送った次の日ぐらいに録ってたから、早いなぁって。それで、気が付いたらドラム録りが終わってました(笑)。
楓:そのやり取り、めっちゃ面白かったですけどね(笑)。
──そうした裏話があったとは(笑)。楽器陣の変化にともない、マモさんもきっちりと進化していますね?
マモ:レコーディングを振り返ってみると、こういう曲調が好きという事もあって楽しくできましたね。歌もすんなりと歌えたし。
──歌詞は今までとは違うような感じがしました。ここには“病む”や“メンヘラ”といった言葉が出てきませんよね?
マモ:そういった要素はほぼほぼ消してしまって。なので、良い始まりを見せられたと思います。
──MVも先日撮影されたそうですが、どのような仕上がりに?
マモ:今回もめっちゃ良いと思います。今までは結構、ヴィジュアル系だから顔メインで撮影していこうって思ったんですけど、この曲は雰囲気で見せるというか。
──となると、恒例となっているメイキング映像も今回は真面目な感じですか?
楓:そこはふざけてます。だって、自分たちが楽しくなければ作る意味がないじゃないですか。
──何事に対しても全力でありたいと。
マモ:楓と宏崇は、本編よりもメイキングの方に時間をかけてますからね(笑)。
楓:撮影現場を撮っているだけだと面白くないなと思うし、見応えのあるものをファンに提示していきたいと思っているので、メイキングはこれからも大事にしていきますよ(笑)。
──見所たっぷりのMVは初回限定盤に収録されます。そして、初回限定盤と通常盤の両方に収録されるカップリング曲「インザコンクリート」についても、作詞・作曲を担当したマモさんから解説をお願いします。
マモ:いつもなら表題曲とは全く別物の曲を収録するんですけど、今回はアー写もダークだし、1つの作品として考えた時に後味の悪い感じにしたかったというか。
──この曲もファンに媚びていませんよね?
マモ:何か、やっと自分の好きな事をやっても良いところまできたのかなっていうのはありますね。もちろん、今までの曲も好きだけど、本来自分が好きだった音楽のジャンルを提示できているなって。でも、そう思えたのもやっぱり、自分たちにとって日本八十八箇所巡礼ツアーがデカかったところはあるので、それは良いきっかけになったと思います。
Z:振り返ってみるとあのツアーは体力的にきつかったですけど、よく乗り切ったなって。でも、九州から出てきたバンドだからこそ乗り切る事ができたというか。昔から一緒にやってきたメンバーだからやれたんだと思ってます。なので、これからもよろしくお願いします。
楓:あはは(笑)。
七星:でも、Zの言うとおりだと思いますよ。このメンバーだからやれたんだと思います。普通のバンドだったら、ツアー始まって2週間で解散決めてますよ(笑)。俺としては、あのツアーを経験した事で、何がきてももう怖くないなっていう感じはありますね。
楓:あとは、スタッフの力も大きいですね。新しくスタッフが入ったんですけど、それにより、ツアー中にメンバーで話し合う事も増えましたからね。だから、結果として良かったなって思います。
宏崇:俺は、ツアーに対しては、何としても休まないという気持ちが強かったですね。そう、何としても休まないという強い気持ち。
楓:何で今、同じ事を2回言った(笑)。
宏崇:でも、個人的にはツアーが終わってから成長を感じる事が多くて。だから、このツアーはやって良かったなと思います。
──それだけに、来年の展開も楽しみですよ。
マモ:ワンマン・ツアー【-SHAMBARA-】が12月20日から始まるんですけど、新作「-SHAMBARA-」を引っ提げてのライヴとなるので、ツアー自体が1つの作品になれば良いなと。今までのライヴとは違った攻め方をしていきたいですね。
Interview:ERI MIZUTANI