Dr.堕門 |
Gt.來緒 |
Vo.暁 |
Ba.祥平 |
Gt.奈緒 |
──前回のインタビューで、次回作では良い意味で裏切りを見せられると奈緒さんがおっしゃっていましたが、3月1日にリリースされるニューシングル「真っ赤な嘘」と「影法師」は、まさにそのとおりの作品になりましたね。
奈緒:「真っ赤な嘘」を「赤」。「影法師」を「黒」と位置付けているんですけど、どちらも良い意味で裏切ることが出来て良かったなと思います。
──ところで、今回、両A面にするのではなく、敢えて2作品として分けた理由は何だったのでしょうか?
奈緒:両A面でも良かったんですけど、それだと少しパンチが足りないなと感じて。それで、2つに分けてちゃんとコンセプチュアルにした方が、より違いがハッキリと出るんじゃないかなと思い、2タイプにしたいと言ったんです。結果的に、そうしてすごく良かったなぁと。ただ、分けたことにより制作は大変でしたけどね。ミニアルバムを作るのと変わりなかったですから(笑)。
暁:でもちゃんと違いは出ましたね。だからこそ、「真っ赤な嘘」のMVスポット映像を流した時、ファンからの反響も大きかったんだと思います。何ていうか、自分たちが意識してこれが得意だと思っているわけではないんですけど、みんなが見つけてくれた僕らの良さというのが出ていると思うんですよね、この曲は。ただ、個人的には「影法師」の方が好きなところはあるんです。それは見た目だけじゃなくて、やっていることや歌詞を含め、何だか落ち着くんですよね。でも、ファンのみんなが見つけてくれた良さっていうのもこれから大事にしたいと思ってます。
奈緒:ちゃんと成長しているなとは思いますね。
──成長といえば、「真っ赤な嘘」ではアルルカン名義で作詞に挑戦されていますよね?
暁:そこは、僕の意向です。というのも、今回は作品をパッと見てもらった時に何かを残したいと思ったんですよ。今までのように自分の気持ちを全面に出すんじゃなくて、自分の気持ちは背景にありつつも、作品や映像を通して何か残ってほしかったので、そうすると、言葉選びを僕だけでするとどうしても限界が出てきてしまうんです。なので、今回は僕から出した言葉を元に、みんなで考えていくという感じでしたね。そういうやり取りを事務所の会議室でやったんですけど、どれぐらいの時間やったかなぁ。
堕門:7時間か8時間。
暁:8時間!? それぐらいやったか。
祥平:でも、これまで歌詞に意見することってなかったんですよ。だから、出来上がったものを見て終わりだったんですけど、こうして意見出来るようになるっていうのは新しかったですね。
暁:僕も作詞でみんなに頼れるようになってきたんですよね。ライブの起伏を生むのが今までは僕の言葉だけでしたが、それがバンド全体でも出来る様になったのと同じで。そこが自分としても嬉しくて。これを伝える為にはどうしていこうってみんなで話し合って詩を作れたのが僕の中では大きかったです。
──それにしても、そこまでの長い時間、集中して話せるってすごいですね。
暁:みんなには休憩挟みながら付き合ってもらったんですけど、でも流石にピザ頼むとかそんなんはなかったよな。笑
來堵:それはなかった(笑)。でも、視点が違うからこそ出てくる意見もあったし面白かったですよ。
堕門:あっという間に感じられたよね。
來堵:ただ、きっかけ作りには時間がかかったんですよ。やっぱり、何か1つでも決まると早いんですけど、それまでが大変で。この曲は頭から作っていったので、Aメロがまとまるまでがすごく長かったなって思うんですけど、決まってからは早かったですね。僕自身、言葉の言い換えとか好きなので、作業は楽しかったです。
暁:だから、映像面も楽しみではあったんですよね。でもこの歌詞でどうやってつじつまを合わせた映像を作ろうか。監督さんとやりとりをしながら進めていったんですけど、出来上がった映像を観ると、やっぱりプロってすごいなって思いました。
堕門:それに、キャストさんを使ってドラマ仕立てにしたっていうのは初めての試みだったからね。
暁:それだけに、作品をパッと見ると男女間のことを歌っているように感じられると思うんですけど、よく聴くような恋愛ものにはしたくはなかったし、結果としてこのバランスになったのはアルルカンらしいなとは思いますね。
──これはもう、代表曲の1つになりそうですね。
堕門:この間のライヴで衣装をお披露目したんですけど、幕が開いた瞬間にお客さんから沢山の歓声をいただいて。MVスポットを流した後も「良かったです!」という声をたくさん聴けたので、はやく沢山の人に聞いて欲しいですね。
祥平:自分の録りは特に変わったこともないんですけど、いつも曲に合うようなフレーズを意識しているんで、問題はなかったです。ただ、今回は歌詞もそうですけど、曲が出来上がるまでの向き合い方や録り組み方というのがいつもとは少し違ったので、俺個人としては強みになったなぁって思いますね。
來堵:最近のアルルカンってダークな要素が強かったじゃないですか。その中で、暁の綺麗な声が映える曲って久々だったので、聴いていて単純に良いなって思いました。作った側ではあるけれど、リスナーとして良いなと。だからこそ、大満足です。
──もう一方の「影法師」は、“アルルカンが進んでいった先の最新を表わしている”とのことでしたが、まさにその言葉どおりの1曲になりましたね?
奈緒:この曲は言いたいことをバーンと言っただけですね。でも、言葉がうまくはまっていて。棘があるんですけど、その棘がアタック感と一緒に出てるのでリンクしているなぁって。
──この曲を聴いた人たちは、早くライヴで観たいと思うはずです。
奈緒:正直、この曲を作っている時はライヴのことは意識していなかったんです。むしろ、シングルとして良い曲を作りたいと思っていたので、ライヴで演奏しても棒立ちで聴いてくれても構わないという感じだったんですね。それだけ、この曲に浸ってもらいたくて。でも、早くライヴで観たいって思ってもらえるのならば、それは嬉しいです。だからこそ、アルルカンがこの曲を演奏するから良いんだよって思ってもらえるようにしていきたいですね。
暁:僕、悩んでいるから歌詞にするんですよ。綺麗なモノを作ろうとかはあんまりなくて。その結論というか今の思考、感覚、決断を言葉にしたい。だからよく起承転結の結がないって言われるんですよね。僕としてはあんま分かっていないんですけど、迷っているからこそ、考えて向き合い続けるからこそ僕であり、僕の歌詞なんですよ。けど、具体的に言葉にしていくということも意識出来ているので、より今までやってきたこと、選んできた言葉をもっと評価されるものに出来れば良いなって思いますね。
──また、それぞれの個性が、この曲の演奏面で浮き上がっているように感じられたのですが。
奈緒:そうですね。確かに、こっちは硬派にということを意識したんですよ。歌詞ではマイナスの感情が描かれていますけど、展開が進むにつれて、少しの希望を見い出していると思うんです。じゃあ、楽器陣はそこを引き立たせる為にどうしたかと言うと、なるべく生楽器以外の音を使わないでおこうと。
──そうだったんですね。そうなると、ライヴでのパフォーマンスに期待が高まりますよ。何だか、良い動きが出来そうではないですか?
來堵:良い動きかぁ。でも、大変なんですよ、このロン毛。顔にまとわりついてきて。だから、まずは僕がそこにどう向き合っていくかが課題ですね(笑)。現状、まだライヴではやっていないんですけど、このツアーからやると思うので、ライヴ空間がどう変わっていくか単純に楽しみですね。
堕門:そうとう激しくなるんじゃないですかね、この曲は。MVを撮った時、僕自身とことん暴れてやろうと思って臨んだので、演奏していてすごく気持ち良かったし、ライヴでやったらもっと振り切れると思うので、ツアーでどういった景色が観られるんだろうという楽しみはあります。
祥平:ほぼ生楽器で見せる曲なので、演奏面での進化は問われるのかなって。これがカッチリと披露出来るようになったらお客さんのテンションにもつながると思うので、このツアーはしっかりと準備して挑みたいなと思います。
──何せ、今回のツアーは、作品同様コンセプチュアルなライヴとなっていますからね?
奈緒:そうですね、ドレスコードも付けたので。作品からライヴまで、すべてにおいてコンセプチュアルにしようと思ったので、それがどうなるのか今から楽しみです。
(Interview:ERI MIZUTANI)