Dr.正人

Ba.明弥

Vo.ハロ

Gt.夢人

──3ヶ月連続リリースは、ベルにとって初となるんですよね?
夢人:初めての3ヶ月連続です! 色々なバンドが連続リリースをやっていますけど、僕らは全く違うジャンルのCDを出そうよっていう話をしていて。
──それは斬新なアイデアですね。
夢人:早くみんなに聴いてもらいたいです。でも、この案はかなり前からメンバーで話し合っていたことではあるんですよ。ベルは活動を開始してから3年が経つんですけど、どうすればお客さんに楽しんでもらえるか、飽きてもらわないかっていうのを考えると、次々に面白いことが浮かんできて。
正人:リーダー発信だったんですよ、3ヶ月連続でCDを出そうっていうのは。
──明弥さんが発案者だったのですね。
明弥:いやいや、そんな。みんなで考えたことですよ。
──しかし、3ヶ月きっちりと違うものを出すというのはすごいと思います。“歌謡サスペンス”というバンドコンセプトがありながら、柔軟な発想ができるのがベルの面白さでもありますよね?
夢人:コンセプトが決まっているバンドなので、どうすれば飽きさせずに、かつ自分たちのモチベーションも上げていけるかというところで、バンドの色やジャンルを敢えて変えていくというのは良い手だなと思ったんですよね。
──第1弾作の「ジェラシー」は、具体的にはどういったイメージで組み立てていったのでしょう?
ハロ:あくまで3部作にこだわっているので、インパクトほしさで第1弾を作ろうという気持ちはなかったですね。それよりも、活動3年目にして積み上げてきたベルの音楽性の芯の部分をしっかりと打ち出していこうと思って、僕たちの根底にある“歌謡”というのをテーマに制作していきました。
──楽曲作りとともに、自分たちを見つめ直す良い機会にもなっていそうですね?
夢人:あぁ、それは本当にそんな感じだと思います。
ハロ:ただ、歌謡ってやるたびに大変になってくるんですよね。毎回、これで出し切ったんじゃないかっていうぐらいの想いで曲を作っているので。
──歌謡を歌っているとはいえ、あくまで皆さんはロックバンドですからね。そこを基本として考えると、とても難しいコンセプトに挑んでいると思います。
夢人:特に歌詞は、いつもよりも歌謡なコンセプトがあっただけに、ハロくんは日本語に徹底的にこだわったと思うんです。
──たしかに、それは歌詞を読んでいると感じます。でも、夢人さんも作曲にはかなりこだわりを持っているのではないですか。表題曲の「ジェラシー」は今までの流れをくみながらも、聴き手に新鮮な印象を与えてくるなと。
夢人:そうですね、この曲は色々とやってます。まず、この曲を作るにあたって、昭和歌謡とはどういう曲作りをしているんだろうっていうのは、改めて洗い直したところではありました。それで、今作りたい曲をひとまとめにして作っていったんです。でも、そこにベルらしさを加えるってなると、結構しぼられてくるんですよね。あと、僕の好みもあるので、とりあえず自分が聴いて良いなと思ったのを作りました。
──そういった経緯があったのですね。
正人:今回、「ジェラシー」と「真夜中のダンス」という2曲が収録されるんですけど、どちらも作曲者それぞれの色が出ているんですよね。「ジェラシー」は夢人節だし、「真夜中のダンス」は明弥節だなぁという風に、聴いてすぐに作曲者の個性がよく表われた2曲になっているなと思います。
ハロ:それ、すごく分かる。何か、空気感だよね。
正人:そうそう、空気感。
ハロ:それもあって、初期の僕らから見てくれているファンの子だったら、すごく分かりやすい曲になっているなと思ってくれるはずです。
──演奏する側としても、作曲者の個性が強く出ているものはやりやすくもありますか?
正人:昭和歌謡のドラムと現代のドラムで大きく違うのは、音色なんですよね。なので、流行りのフィルだけ入れないということに気をつければ、割と楽に昭和歌謡の色がドラムでは作れるんです。あと、目立ちすぎないっていうことは頭に置いてますね。
──歌を引き立たせる為に演奏に徹するというのは、楽器隊の以前からのこだわりでもありましたね?
明弥:自分的には、すごく良いベースが録れたなと思うんですよ。感覚と理論のバランスが上手く出ているかなと。この曲ではハネを意識して弾いていったんですけど、今までの4つ打ちリズムだったらそこまでスタッカートにこわだりはなかったんです。逆に、のっぺりさせて大人っぽい曲にしようとか考えたと思うんですけど、「ジェラシー」はスタッカートを重要視したので、このリズムがあってこその曲に仕上がったなと思います。
ハロ:あと、歌詞は、いつもと同様にストーリー仕立てにしていったというのはあります。僕、あんまり好きじゃないんですよ、インパクトだけを求めて言葉を曲に当てはめていくのって。だから、「ジェラシー」も、聴く人に響いてくれたら良いなという気持ちで書いていきましたね。
──この曲は冒頭から伝えたいことが書かれているので、とても分かりやすかったです。
ハロ:あぁ、そうですね。Aメロは毎回大事にしています。しょっぱなから意味の分からないことが書かれていたら、そのまま読み進めないじゃないですか。だから、最初の一節は大事だなって思います。
──「真夜中のダンス」は、明弥さんらしさが出ている1曲になりましたね?
夢人:ほんと、明弥の曲だなぁって思いますよね。あと、僕は最近、明弥が作ってきた曲に対して重みを感じるようになって。きっと、何曲かある中で、これだ!っていうものを送ってきてくれているんですよ。だから、前以上に慎重に聴くようにはなりましたね。ちゃんと座ってきかないとなぁって(笑)。
ハロ:その感覚すごく分かる。何か、背筋を伸ばして聴きたくなるような感じなんだよね。
明弥:あはは(笑)。今回、アッパーというのは目指したところではあるんですよ。僕らがこれまで出してきた歌謡曲でアッパーな曲というと、「厚化粧の女」なんですけど、そこに近付けたいなという想いで作ったのが「真夜中のダンス」なんですよね。あと、当時の歌謡曲って結構、曲の尺が短かったんですよ。なので、この曲も3分以内で終わるようにシンプルにしていきました。
──シンプルだけど中毒性がありますね。
明弥:うんうん、そうですね。サビのメロとかはライヴをイメージして作っただけに、そういうところも感じてほしいです。
──この曲の演奏で注目してほしいところはどこですか?
明弥:ベースはガンガン歪ませてドライブ感を意識したんです。なので、そこを聴いてもらえたら。
正人:僕は、明弥曲に導かれるままに叩いていきました(笑)。ライヴでは、Bメロでスネアに合わせて手拍子とかできたら良いなと思ってます。
──では、歌詞を書く際に考えたことは?
ハロ:歌謡というくくりの中で、方向性の違う歌詞を書こうというのは考えましたね。それで、言葉がかぶらないように「ジェラシー」と「真夜中のダンス」を同時進行で書き上げていったんです。
──それはすごいですね。
ハロ:なので、「ジェラシー」は強い嫉妬心を持った女の人の心模様を描きつつ、「真夜中のダンス」はセクシーな雰囲気のある曲なので歌詞もエロティックな感じにしていこうと思ったんですよね。
──抽象的な言い回しであるにせよ、情景がとてもよく見えます。
ハロ:ダイレクトには書きたくなかったんですよ。なので、読んで紐解いてもらえたらという感じです。
──良いスタートが切れましたね。歌謡というコンセプトの下、2曲でここまで違う世界観を描けたというのは3年間活動してきた賜物ではないですか?
夢人:そうですね。そして、これが3ヶ月続きます。
ハロ:“歌謡コンセプト”は大元としてあるけれど、新鮮さを提供していきたいので、次の作品は良い意味で裏切っていきますよ。
──残り2作も楽しみなところですが、5月には池袋EDGEにて2daysライヴを行うそうですね?
ハロ:はい。このライヴでこれからの予定が発表できると思うので、楽しみにしていてほしいです。
──今後の発表があるということは、まだまだベルはスピードを落とさずに走り続けていってくれるということですね?
ハロ:そうです。
夢人:うちは楽しくやってますね。
正人:たしかに、楽しくなかったら音に出そう。
明弥:そうだね。なので、止まることはないです。
(Interview:ERI MIZUTANI)