Dr.正人

Vo.ハロ

Ba.明弥

Gt.夢人

──3ヶ月連続リリースはすべて違う作品にしたい、と前回のインタビューでおっしゃっていましたね。そのとおり、前作「ジェラシー」とは打って変わって、第2弾の「哀愁エレジー」では、今までのベルにはなかった要素を提示してきましたね?
ハロ:今回はまず、アー写が衝撃的ですよね(笑)。宣言どおり、かなり振り切ったものを出しました。
──タイトルを先に見ていたので、てっきり今作でも歌謡の良さを残してくるかと思いきや。
ハロ:予想外ですよね(笑)。もしかしたら、この作品こそがヴィジュアルシーンの中では直球かもしれないんです。でも、僕たちからしたらかなりの変化球というか。
正人:「ジェラシー」がど真ん中直球だとしたら、「哀愁エレジー」は手を伸ばしてギリギリ取れるかどうかっていうところですよね(笑)。
ハロ:そもそも、「ジェラシー」では僕たちの主軸としてきたものを突き詰めた作品だったので、聴いてくれる人に対して裏切りというのはなかったと思うんです。
──確かに、そうですね。いうならば、正統派のベルを見せてくれたという感じがします。
ハロ:そうなんです。でも、3タイトルでコンセプトシングルを作るならば、1作は正統派でくるだろうと予測できる範囲でもあったと思うんですよ。その上で、第2弾は良い意味で裏切りを見せたかった。そこが制作におけるテーマではありましたね。
──そういったコンセプトが今作には隠されていたのですね。
ハロ:キャッチコピーを付けるなら、裏切りのヴィジュアル系って感じです(笑)。
明弥:元々、歌謡サスペンスというバンドコンセプトがあって、どういう展開でいくかわからないところをお客さんにも楽しんでほしいっていうことだったので、そういう意味では元々のコンセプトからずれていないというか。やっていることはベルとして新しいかもしれないけれど、サスペンスという意味ではバンドを始めた当初のスタンスと変わっていないんですよね。
ハロ:ベルは今年の10月で結成3年を迎えるんです。バンドとして軸が固まってきたからこそ、出せた作品だなと思います。
──表題曲の「哀愁エレジー」は夢人さん作曲ですが、ご自身が得意とするところを詰め込んできましたね?
夢人:何年ぶりですかねっていうぐらい、こういった曲調は久しぶりですね。色々と音楽のことを覚えてきたので出せたというか。
──かっこいいです。
夢人:顔がですか?
ハロ:曲でしょ(笑)。
夢人:あぁ、そこは存じ上げております(笑)。でも、演奏や歌など、聴いてくれる人からすると、どうしても前のバンドと比べてしまうところもあると思うんですけど、ベルもちゃんと演奏力と歌唱力を持っているバンドなので、僕としても思うがままに表現できるんですよね。
──ベルで提示することによって、ヴィジュアル系音楽の良さを再確認することはありますか?
夢人:そうですね、何でもできるんだなって。ただ、ここまでできるんだっていうのは予想してなかったですよ。メンバーみんな、ノリノリでやってくれたので作って良かったなぁって思いました。
──この曲はとにかく、ドラムの音数に驚かれました。
正人:今回、かなり多いですからね。元々、ラウド系のバンドをやっていたので、こういった曲調は得意でもあるんです。なので、この曲では思い切り叩いていいんだっていう感じで、パワー100%でレコーディングしていきました。
夢人:いつも正人に対しては自由にって言っているんですけど、この曲でも自由に思い切ってって言ったら、チャイナが相当うるさかったです(笑)。
正人:だからといって、この曲を演奏するにあたってアイテムを新調したというわけではないんですよ。ただ、自分が使っていたチャイナが思い切り叩いたせいでわれないかなぁっていうのは心配してましたね(笑)。
──明弥さんは「哀愁エレジー」に関してはいかがです?
明弥:聴いたときからかっこいい曲だなと思ったので、フレーズ自体もギターのリフにしっかりと合わせていったんです。その為、グルーヴ力が問われるというか。単純なようでいて意外と難しいのでレコーディングは結構苦労しましたね。その上で僕が1番こだわった部分は、1サビが終わった後にベースのスライドで演奏するところがあるんです。それはデモ段階から入っていたんですけど、そこに命をかけて弾いていきました。なので、ぜひ聴いてもらいたいです。
──ハロさんは歌詞でこだわりをおいたところはありますか?
ハロ:ヴィジュアル系の王道がここにあるというのが聴いてわかる曲だったので、夢から送られてきた段階ですぐに好きになったんですよね。同時に歌詞を書いていったんですけど、この曲にはどんなアプローチが似合うだろうかというのはいつも以上に考えていきました。ヴィジュアル系らしい曲だからこそ、ヴィジュアル特有のワードを使うべきかどうなのかと。
──たとえば、血を連想させるような言葉とか?
ハロ:そうですね。あとは、死や殺など。激しい曲調には合っているかもしれないけれど、ベルが出すヴィジュアル系の曲として考えたときに、それらの言葉は安易に並べるものではないと思ったんです。それで、振り切りながらもベルの要素を残していきました。具体的にどういったことを書いたかというと、ライヴで僕たちを観てくれる子たちの様子を描いていったんです。歌詞の中に《今宵あの手この手で あの人を 振り向かせましょう》と入っているのは、そういったことからなんですよ。
──ヴィジュアルシーンに対する皮肉も込められているように見えましたが?
ハロ:毒にも薬にもならないバンドは淘汰されていく時代と言われているじゃないですか。このシーンに爪痕も残せないということに対して、《滑稽な形相の 鳥は跡を濁さずに》と書いてみました。その上で、ベルのことを表わしたくて、《哀愁の花 咲き誇るように》と入れたんですよね。自分たちはこのシーンでいつまでも輝いていたいという願いを込めて書き上げていったので、これはベルにとっての意思表示であり、覚悟を表わしています。
──現実を描いているゆえに、素敵な歌詞になったと思います。もう一方の「アンサー」は、明弥さんが作曲されているんですよね?
明弥:暴れられるけど、サビはポップでキャッチーな感じになっています。この曲の背景として、ライヴ曲を作ろうというのはもちろんあったんですけど、去年、夢がサポートギタリストとしてRaphaelのライヴに参加する機会があったんですよね。僕も観させてもらってすごく刺激を受けて。それがきっかけで作った曲ではありますね。
夢人:そうだったんだ。
──バンドに還元できるって良いことですね。
明弥:僕にとっても青春だったので、良いひらめきになりました。
夢人:あっきーが言うヴィジュアル系っていうのはこういう曲なんだなって。やっぱり自分の作る曲とはタイプが違うので、2曲並べると面白いですよね。
ハロ:ちなみに、今作は2曲とも恋愛の歌詞にはなっていないんです。僕の中で第2弾は新しい挑戦をしたかったというのもあるので、この曲でも甘ったるい恋愛模様は描くことはしませんでした。おかげで、勢いを重視して歌うことができましたね。
正人:ドラム的には、こっちの曲の方がヴィジュアル系っぽいのかな。「哀愁エレジー」と同じように手数が多いんですよ。ギターソロ前のドラムのタム回しぐらいでヒーヒー言ってたぐらいでした。なので、ライヴでどうしようって今思ってます(笑)。
明弥:でも、そうやって新しいことができるのも、3ヶ月連続リリースすることの意味だと思っているので、ベルの音楽性の幅を広げる為にも、今回のような挑戦は必要だったなと思います。
──残すは、第3弾作品のみ。そして、先日発表されましたが、7月17日には3ヶ月連続リリース達成記念として、ファン感謝祭42曲全曲ワンマン「全曲全力」を池袋EDGEで行うことが決定しました。そこも楽しみなところではありますが、まずは、5月6日と7日に同会場で行われる2daysワンマンに期待がかかります。
ハロ:2017年の発表事はここでドカンとやろうと思っているんです。バンドの動きという部分ではかなり見えてくるんじゃないかなと。あと、ライヴタイトルからもわかるように、初日と2日目で両極端な日になったら良いなと考えているので、2日目は全員を地獄に叩き落とすぐらいの気持ちでやろうかなと。それに、できることなら「哀愁エレジー」の曲もやろうかなと。まぁ、そこは当日のお楽しみということで。ゴールデンウィーク期間ということもあるので、ぜひ遊びに来ていただけたらなと思います。
(Interview:ERI MIZUTANI)