Ba.玲夏 |
Dr.直人 |
Vo.幸樹 |
Gt.威吹 |
Gt.ひヵる |
──4月26日にニューシングル「バクチ/魁swallowtail」が出ます。まず、今回、4タイプというリリース形態の中、“全身全霊テープ盤”がリスナーの話題となりました。
幸樹:今となってはそうですね。これ、本当にカセットテープで出すんですよ。
──ダウトにとって、画期的な試みではないですか?
幸樹:ヴィジュアル系ではそうだと思うんですけど、他のジャンルでもテープが今ブームになっていて。なので、電化製品のコーナーでもラジカセって意外に大きく展開されているんですよね。それに、テープの音色って斬新に聴こえるんです。そこが魅力でもあるので、自分たちの音をテープで聴くのは楽しみでもありますね。
──いつもながらに、一筋縄ではいかないぞというところを提示していると思ったのですが、表題曲「バクチ」を作曲された玲夏さんはどういったイメージの下、この曲を作っていったのでしょう?
玲夏:ライヴを前提としたようなイメージはありましたね。何か、最初のデモの段階から、サビを自分で作っていて弱いなと思いつつ、みんなの前に出したんですよ。そう思っていたら幸樹が別のサビ案を出してきて。それで、結果的に、幸樹が持ってきたメロディを足していって。
──サビを自分で作っていて弱いなと思った、とおっしゃいましたが、玲夏さんが最初に持ってきたサビというのは、どことなく物足りなさがあったと?
玲夏:うん、そうですね。イントロとかの感じが自分の中ですごく良かったんですよ。そこに似合うサビを幸樹がポンッて出してきてくれたということは、自分と同じことを思っていたんだろうなぁって。
幸樹:もちろん作曲者のイメージってちゃんとあるわけだから、そこは大事にしつつも、他で何個か作っていったんですよね。結局、サビはお互いに考えたのがくっついた感じなんですけど、そうすることで曲としてより広がったなぁと思います。
──華やかでありながら、とても聴きやすくて。
玲夏:逆に、派手さはなくそうと努力したんですよ。変にシーケンスとかに頼ることなく、基本はバンドサウンドでいこうというのは心がけましたね。
──今年でダウトは10周年を迎えられますが、楽曲に対する意識は前と変わっていないのが面白いところですよね。ギラツキがなくなっていないといいますか、良い意味で、落ち着こうとはしていないですよね?
幸樹:あぁ、それは嬉しいですね。音楽をやる上で正解ってないと思うんですよ。だからこそ、これでいいやって思って楽曲は作っていないし、妥協して歌詞も書きたくない。とはいえ、自己満足にはなりたくないから、リスナーに対してどうアプローチをかけるかっていうのは、今後も引き続きの課題だと思っています。
──「バクチ」の歌詞を書く上で、こだわったことは?
幸樹:まず、タイトルから始まったんですよね。バクチって賭け事じゃないですか。あくまでこれは僕のイメージなんですけど、極道感があるという感じだったので、それに英語の歌詞を乗せるのはちょっと違うかなって。
──なるほど。では、楽器陣はこの曲に対してどう思っていますか?
ひヵる:久しぶりに、楽曲タイトルとアー写とMVの雰囲気が合致したと思うんですよ。割と最初からアートワーク含めた雰囲気ができあがっていた曲だったので、個人的にはこの曲好きですね。それこそ、今、幸樹が言っていたような極道感というのが日本的な意味合いも持っていると思うので、そこが楽曲や見た目に表われた感じがしますね。
──日本的な要素があるのに、和のサウンドに振り切らなかったのは、何か意図がありますか?
ひヵる:そうですね、音は和にはしていないんですよね。むしろ、そうしなかったことでアグレッシブにできるんじゃないかなって。だからこそ、ライヴで演奏するのが楽しみですね。
──すでにライヴのことも考えていると。
威吹:「バクチ」もそうですけど、「魁swallowtail」もライヴで映える曲だと思うので、ライヴ感というか勢いは大事にしてレコーディングにも臨みました。もちろん、最初にライヴを意識して作っていない曲もあるんですけど、結果的にライヴ曲になるものもあって。そこは面白いですよね。
──「バクチ」は、ライヴでどういったところに注目しておけばいいでしょう?
威吹:自分の見せ所ですか。そうですね、イントロのリフはかっこいいと思うので、そこを聴きながら暴れてほしいですね。あとは、玲夏の案なんですけど、サビで自由に動いてしまうというのも新しいと思うので、これら全部は聴きどころかなと。
──相変わらず自由度が高いですね。
玲夏:俺が割かしフレーズを動かす人なので勘違いされやすいんですけど、ギターは自由にやってもらいたくて。その上でのオーダーだったので、今回はレコーディングに入る前にディスカッションも細かく重ねていったんですよね。だからすごく楽しかったです。
──作曲者であるにもかかわらず、自分が目立とうとしないのが面白いと思います。
玲夏:そこが勘違いされやすい点でもあって。他の人の曲だったら自分の中でベースの優先順位は高いんですけど、俺の曲に関しては、ベースの音は二の次でいいんですよ(笑)。
──となると、リズム隊同士、ディスカッションは何度も繰り返されたのですか?
直人:でもまぁ、そこはいつもどおりという感じでしたね。ディスカッションをしたというよりは、ここをこうしてほしいと玲夏から言われたんですけど、ドラマー視点から見てそれは面白くないなと感じたので変えてみたり。
玲夏:こういう風に言ってくるんで、もういいやって。
直人:すねた(笑)。でも、俺としてはライヴを意識すればするほど譲れない点も出てくるので、そこは敢えて意見を曲げずにいこうと。この曲でいうと、イントロやアウトロがそうでしたね。
玲夏:やっぱり、それぞれのプレイヤーマインドがあるわけだから、直人がドラマーとして俺が先に提示したものを気持ち良くないって思ったのも正解だと思うんですよね。だから、今回は良い感じにプリプロの段階からディスカッションしていましたね。
幸樹:ちなみに、今回は久しぶりに岡野(ハジメ)さんに協力してもらったんですよ。前とは違った感じの付き合い方をしているなというのは、音が上がったのを聴いた時点で思いましたけどね。
──良い傾向ですね。もう1曲の「「魁swallowtail」はカップリングというよりも両A面という扱いでいいのでしょうか?
幸樹:見方としては、そうですね。全てそうなんですがどちらも推し曲って事で。
──こちらの曲は、威吹さんが作曲されていますね?
威吹:僕はキャッチーなメロディというのがすごく好きで。なので、この曲もメロディを意識して作りましたね。
──クールなたたずまいから静かな曲を持ってくるかと思いきや、これはかなり熱い曲に仕上がっているので、そのギャップも良かったです。
威吹:ほんとですか。でも、こういう歌える曲っていうのが好きなんだなって改めて感じましたね。曲中でクラップも入っているんですけど、ライヴではお客さんも僕たちと一緒になって手を叩いてくれたら嬉しいです。
幸樹:掛け合いが楽しそうな曲になりましたよね。
──確かに、ライヴで映えそうです。
ひヵる:何となく、アンコールでやったら映えるんじゃないかなと。あくまで俺のイメージなんですけど(笑)、こういった曲ってダウトにありそうでなかったので、バランスの良い曲になったなと思います。
直人:ドラムはピアニッシモを効かせていきたいと思ったので、めっちゃ力を抜いて録っていったんですよね。そこは新たな試みでもあったので、「バクチ」との音の対比を感じてもらえたらなと思いますね。
幸樹:あと、この曲はダウトの世界観っていうのもきっちりと入っていると思うんですよ。Swallowtail、訳すとあげは蝶なんですけど、蝶の生態をフィーチャーしつつ、人生観を歌えればいいなというのはありました。シングルって曲数が少ない分、バリエーションを出すのが難しいんだけど、もっと視野を広げて歌詞を書いていきたいっていうのは、本作を作って強く思いましたね。
──作品発売後にはツアーがありますね。千秋楽となるZepp DiverCityTOKYO公演では、ダウトにとって初の全曲ライヴを行うとのことですが?
幸樹:本当に全曲披露します。長時間のライヴになると思うんですけど、ただ単に、音源の再現ライヴにはしたくはないので、アレンジしかり色々と変えていこうかなと。みんなに来て良かったと思ってもらえるライヴを目指して今は準備をしています。
(Interview:ERI MIZUTANI)