Gt.楓

Ba.七星

Vo.マモ

Gt.Z

Dr.宏崇

──今までR指定が提示してきたものを陰とするならば、「魅惑のサマーキラーズ」は、陽だと思うのですが、マモさんとしてはどのような意図を持って作曲にあたったのでしょう?
マモ:夏なんで、夏の曲を出したいっていう単純な考えからできあがりました。今まで、夏のシングルって「ギラつく太陽」の1回しか出したことなくて。それで、今回、リリースのタイミングも夏だし思い切ってみようかなと。
──前と敢えて変えたことってあります?
マモ:敢えて変えたことは、より踊れるような感じにしたいなって。クラブで踊っているようなイメージの曲にしたかったので、以前と比べても、よりノレるような気がします。
──ちなみに、クラブ通いの経験は?
マモ:ないです(笑)。俺はどちらかというとアンチ・パリピなんで、クラブはあくまでイメージの1つという感じですね。
楓:MV(ミュージックビデオ)を撮影するにあたり、初めてクラブに行ったんです。多分、この後、一生行くことないだろうなって。俺、絶対に無理ですね。だから、踊っている人たちを見て、楽しそうやなぁって思うぐらい(笑)。
──それゆえ、楓さんとしては、まず、夏のイメージを大事にして制作に臨んでいったと。
楓:はい。
──七星さんはいかがでしょう。このように、夏のシングルを出すと聞いて自分の中で意識したことというのは?
七星:まぁ、でも、ギターロックなんだろうなっていう。ちょっと乾いた感じのギターの音を全面に出していくべきなんだろうなって。それに、ダウンチューニングが混ざっているテイストが初めてでもあるなと思いましたね。
──それだけに、今のタイミングで出てきて良かった曲ではないですか?
七星:そうっすね。できれば、タイアップ取りたかったですね。
──可能性はまだあるかもしれないですよ。タイアップを狙うとしたら、どんな感じが良かったのです?
七星:不倫のやつで(笑)。それこそ、『昼顔』じゃないですか。
──あぁ、なるほど(笑)。では、宏崇さんはどのようなイメージで制作に臨みましたか?
宏崇:俺、最初はもうちょっと暗い感じになると思ったので、完成してから夏っぽさが強くなったかなと思うんですよ。だから、初めにそこまで夏感は意識してなかったですね。「ギラつく太陽」と比べると、圧倒的に手数の違いはありますけど。
──成長の証が出ているんじゃないですか?
宏崇:おそらく! 一生懸命やりましたけど、手数が多いし、足が忙しい分、ライヴではめんどくさいですよね。何でこれやっちゃうんだろう、っていうのが何個かあるので(笑)。でも、タタンッってとこはかっこいいですね、サビのとこ。今まで裏に裏にと思って叩いていた部分を、今回は解放しました。そこが、タタンッ。
──今のことを念頭に置いて、もう1度聴いてみたいと思います。
宏崇:タタンッです。あ、パパッの方が良いかな。うん、パパッで(笑)。
──Zさんはどうですか、この曲に対して思うことは?
Z:最初にデモを聴いた感じだと、タイトルが行方不明だったんで夏の感じはしなかったんですけど、歌詞を見て、タイトルが「魅惑のサマーキラーズ」になったときに、夏だなってなりましたね。やっぱり、タイトルがないと受ける印象って違うんですよ。でも、夏の曲って言ってるし、どんよりとした感じの音は適していないよなぁ、とか、爽やかな感じはあるんだけどタイトルないからどうしようかなって迷いましたけど、作業が進んでいくうちに、どんどん夏っぽさを自分の中で持っていった感じですね。
──音的に、夏っぽさを出す為にこだわったところというと?
Z:「八十八箇所巡礼」のときもそうだったんですけど、お祭り感が出るフレーズを入れていきましたね。ただ、こんなにも忙しい夏を作ってしまったかと(笑)。フレーズがとにかく忙しくて、抜くところが1ヶ所もないんですよ。ドラムとベースと歌だけになる部分と、間奏の一瞬だけかな、抜く場所は。だから、ライヴではバッキングを弾かずにウワモノだけ弾こうかなと考えています。マジで忙しいんで、早く曲に体を慣れさせないといけないなって思いましたね。
──にぎやかというよりも、騒がしいという感じの曲だと思うので、ライヴでもそこが活かせたらとても面白くなりそうですよね?
Z:そうですね。こっちのアタフタ感が出ないようにやらないとなって思います。
──やはり、タイトルって大事ですね。
マモ:毎回、曲のタイトルを付けるときって、そこまで深い意味はないんですよ。一通り候補を書いた上でしっくりくるものを選んでいるだけなんですけど、今回は、単純に、サマーキラーズっていう言葉が好きで使いたかったんですよね。直訳すると、真夏の殺し屋なんですけど。
──とはいえ、歌詞はいつもとは雰囲気が違います。
マモ:そうなんですよね。でも、うちらはあくまでロックバンドなので、流行り系のパリピな雰囲気は出したくなかったんです。なので、うちらの持っているネガティブなイメージを出しつつ、夏の曲に仕上げていったという感じですかね。一応、MVの撮影ではエキストラさんにサビだけ振り付けはしてもらったので、ライヴでもやれたらいいなって。
──新たな光景が生まれそうですね?
マモ:今までやっていなかったノリにはなると思いますよ。
──今夏の必須曲となりそうですね。また、本作には「哀々傘」と「学級崩壊」が再録バージョンとして収録されています。
マモ:単純に、今までの既存曲を今の俺らのスキルで表現したら、もっと面白くなるんじゃないかなって思って選曲していきました。特に、「哀々傘」なんて、難しいコード進行やアレンジをやっていたので、今ようやくスキルが伴った感じです。
Z:完全に俺の趣味で出した曲ではあるんですけど、当時は全くスキルが追い付いてなかったですね(笑)。でも、ライヴでやることによって、いつか録り直したいと思っていたので、やっと実現しました。
楓:ぶっちゃけると、当時、俺は、この曲をレコーディングしていなくて。というのも、デモにZがしっかりと音を入れてきたので、それでいいやって。今回、改めて弾いてみて、自分のこだわりも出しつついけたかなと思います。
七星:俺は、コード進行が判明したのが1番の収穫ですね。前のときはルートがどこかもわからずに、この辺だろうなって感じでやっていたので。だから、前のと聴き比べるのが楽しい聴き方じゃないですかね。
宏崇:多分、この手の曲って、やろうと思えばどんなアレンジでもできると思うんです。テクニカルな部分で。でも、元々の曲のイメージがあると思うので、それを崩さず、差し引きを考えながらやっていきましたね。俺、この曲に関しては、ドラムよりも歌の綺麗さに耳がいくので、前のと聴き比べると、本当はこんな曲だったんだって思いましたね(笑)。
楓:今考えれば、コードが不安定なんだから、そりゃメロも不安定になるわって話だよな。
七星:そりゃそうだ(笑)。
マモ:再録っていっても変えればいいってもんじゃないんですよね。だから、ニュアンスとして、大事なところは残しつつ、ここは気持ち良くいきたいっていうところはバックの音に合わせて歌っていきましたね。それと、「学級崩壊」は、最近ライヴでよくやっているんですけど、中には音源を持っていない子もいると思ったので、今回録ろうかなって。でも、単純に自分が好きな曲だから再録したかったというのはあります。
──過去曲をきちんと清書したことによって、新曲が引き立ったようにも思います。
マモ:だからこそ、シングルを出すたびに、過去のもったいないなと思った曲を再録していってもいいのかなって。やりたい曲はたくさんあるんで。
──楽しみにしています。そして、中野サンプラザでのワンマンライヴも近付いてまいりましたが、今のお気持ちとしては?
マモ:その前に、大阪でフリーライヴをやるんですけど、俺らのファンはもちろん、ライヴをお金払ってまで観に行く必要がないと思っている子が1度でも観られる環境を作ってもいいかなって。アンチだって集まればファンじゃないですか。だから、面白くなると思うんですよね。きっと、実際に観ればR指定に対するイメージも変わると思うんで。
楓:中野サンプラザの方は、ツアーファイナルと言えど、ツアーを廻っていたときから結構な日が経っているので、同じものですけど違う内容になるかもしれません。とりあえず、夏の締め括りになればいいかなって。上半期の集大成が見せられたらなと思いますね。
(Interview:ERI MIZUTANI)