Ba.LAYHA

Vo.春

Gt.さゅら

Dr.たつき

──ワンマン・ツアー「道徳謳う末期症状」が始まり、ちょうど折り返し地点ですが(取材は10月上旬でした)、これまでを振り返ってみていかがですか?
春:あっという間に、名古屋まで終わってしまったなという感じが強いですね。
たつき:週末中心でやっているのに、連日やっている感覚です。
──ツアーの合間に最新作「道徳アレルギー」のインストア・イベントも挟んでいるから、なおさらですよね。しかも、初日はたつきさんの地元の沖縄だけあって、開放的な気持ちでライヴを行うことができたのではないですか?
たつき:そうですね。ただ、沖縄からスタートするっていうのは、本当にたまたまだったんですよ。南から上がっていこうと狙ったわけではなく、スケジュール的にタイミングが合ったのでこうなりました。
──沖縄、福岡、札幌に関しては2days公演というのも面白いですね?
春:遠いところは2daysでやりたいなと思っていたので、東京から離れている箇所だけそうしました。
たつき:両日本気ではあるんですけど、2本ある分、セットリストや演出面で普段できない挑戦ができると感じたので、2日連続でライヴができるというのはその点でも楽しみがありますね。
さゅら:それに、ライヴが2日あると、今日やったことを明日すぐに活かせるっていう利点があるんですよ。今日はこのセットリストじゃないなって思って急遽変更することもあったので、単純により良いものを来てくれる人に届けたいなっていう気持ちが強くなりましたね。
LAYHA:やっぱり、やり甲斐はありますよね。そもそも、8年活動している割には、ワンマン・ツアーでここまで細かく廻るのは初めてだったので、そういう意味では経験値は少ないんですけど、自分的にも良い経験ができているツアーだなと思います。
──ちなみに、今ツアーでは新曲も披露されているんですか?
さゅら:やっています。
──ミニ・アルバム「道徳アレルギー」のリリース日が10月25日ですから、ライヴに足を運んだファンの方は逸早く聴けたということになりますね。
たつき:レコーディング直後にツアーに出たということもあって、そのままの熱を持っていけたような感じはします。
さゅら:まだ作品が出ていない段階なので、ちゃんとした曲名では言っていないんですけど、新曲で演奏しているのは、「劇薬トランス」「症状1」「症状4」ですね。「劇薬トランス」はSEなので、そこからつながった流れとなっている「バックドロップ」(症状1)を僕らとしては1曲として扱っていて、あとは、MVにもなっている「狂想ネクロマンシー」(症状4)を、名古屋公演までに演奏しました。
──ファンの方からも反響は大きかったのではないですか?
たつき:好評です。
さゅら:レコーディング終わって、すぐにライヴで新曲を演奏できるっていうのは良いですね。
──では、ライヴで披露した感想含め、本作について解説していただきたいと思います。
春:そもそも、シングルにしようか、ミニ・アルバムにしようかという感じだったんですよね。何かしらワンマン・ツアーに向けて出したいという気持ちはあったんですけど、これだけツアーを廻るとなったら、シングルじゃ物足りないだろうなと単純に思って。それで、急遽変えてミニ・アルバムにしたという感じですね。また、今回は全曲、病気にちなんでというテーマが俺の中にはあったので、1個1個、歌詞は独立させて書いた感じはあります。
──なるほど。それにしても、セットリストに限らず、制作においても急遽変更という形を取れるのは、皆さんの頭が柔軟になってきている証拠なのかなとも思いますが?
さゅら:作曲に関しては、ミニ・アルバムぐらいの曲数は作りたいって僕が言ったんです。最初から曲に対するイメージはできていたので、割とすんなりでしたね。
──「劇薬トランス」から「バックドロップ」へ流れよくつなげるのも、最初に思い浮かべたことでしたか?
さゅら:そうですね。今までと違ったライヴの雰囲気を作りたいというのが前提にあり、聴いた人がライヴでどうなるんだろうと想像できるような仕上がりにはしたかったんですよね。
たつき:実際にライヴでやってみても、既にお客さんもノリを掴めているようなので、音源出してからどんどん変わっていくだろうなって。この曲は、イメージを聞かせてもらっていたので、レコーディングの段階からイメージしやすかったし、自分の役割がすぐに見えた曲だったなと思います。
LAYHA:SEからつながっていく曲というのも前からやりたかったので、「劇薬トランス」を演奏しているときから熱くなれるというのはありますね。なので、お客さんにも最初からガンガン声を出してもらって一瞬で空気を変えてもらいたいなと思います。まだライヴではやっていないんですけど、「サディステック/ラヴ」はお客さんが好きそうな感じはする1曲だなって。
──ここでは、ヴィジュアル系の王道ともいえるリズムパターンを出していますよね?
さゅら:独特ですよね。まぁ、これは聴けばわかるでしょうって(笑)。この曲だけ、去年出したシングル「ヘドロ」のときに制作していた曲で。温めていたといえばそうなんですけど、今回収録することになりました。
春:この曲ができたときに、歌詞はこういう雰囲気でいこうって決めていたんです。サディステックというワードから膨らませていったところはありますね。ライヴでも良い起爆剤となる曲だと思うので、スタンダードな曲調ではあるけれど、良い感じに変化球になりそうだなとは思っています。
──「模倣犯」もライヴで演奏したら空気感を変えてくれそうな1曲ではありますよね?
さゅら:ギターにしても、ベースにしても、ドラムにしても、1音1音出したときの存在感というのがあるし、その上で、ヴォーカルの歌に1番耳がいくという良い形になると思います。
LAYHA:この曲は時間かけましたね。余計なものを削ぎ落していくという感じでやっていったので、Aメロはシンプルなんですけど、進んでいくごとに全部パターンを変えて雰囲気も変えていくという挑戦をしました。
春:歌詞については、割と誰しもが考えているんじゃないかなっていうところに力を入れていきましたね。俺的には宇宙的なイメージなんですよ。たくさん星がある中で、それらは1つ1つが独立をしているんだけど、傍から見たら一緒というイメージがあったので、それを人に例えて書いていきました。こう思っていると提示している部分もありつつ、みんなもこう思っていませんかという問い掛けを入れていったんです。なので、聴いてみて、あぁわかるって思ってくれたら嬉しいなと。
──「狂想ネクロマンシー」はMVを先に観させていただきましたが、曲と合っていてかっこよかったです。
たつき:MV撮影は外ロケだったんですけど、けっこう頑張りましたね。映像を観たときに、苦労が報われたなぁって(笑)。
春:思ったより撮影時間は短かったんですよ、今回。
さゅら:撮影時間よりも移動時間の方が長く感じたかなぁ。今回は富士山の向こう側まで行ってきたんです。
春:それを考えると、撮影は早かった。良いテイクを必要最小限で撮るっていう。まぁ、外ロケだったので時間が押すと昼夜の設定が狂ってしまうからだめだったんですけど(笑)。
さゅら:敢えてこの曲の聴きどころをあげるなら、やっぱりサビの部分ですかね。激しいながらもサビ前からはひらけるので、そこが1番ですね。それこそ、ライヴでは特効を使っても良いのかなっていうぐらい。演奏する側と聴く側が自然と笑顔になれるような絵が浮かぶサビっていうのも、SCAPEGOATらしいなって。
──冒頭はSEから曲へとつながる流れでしたけど、「狂想ネクロマンシー」から「レクイエム」の流れというのも最初から考えて作ったのでしょうか?
春:というよりは、「レクイエム」は全部の曲に対してのエンドSEという感じですね。作品の締めが曲で終わるよりかは、「道徳アレルギー」というミニ・アルバムなので、ちゃんとした終わりを付けたかったんですよね。
──すべての曲をライヴでやったときどうなるのかというのも、気になります。残すは、11月6日のツアー・ファイナル、LIQUIDROOM ebisuですね。
さゅら:今は目の前の1本1本を大事にやっているんですけど、そろそろファイナルも考えないとなって。
春:もちろん、準備は万全にしますけど、この日にならないとどういう想いでいられるかっていうのはわからないんじゃないかなって。LIQUIDROOMは2回目なんですけど、1年に2回できるってそうそうないんじゃないかなって。なので、そういう部分では挑戦でもあるし、ツアーの流れを活かしつつも、その日感じられることを大事にしていきたいですね。
(Interview:ERI MIZUTANI)