Ba.公大 |
Vo.昴 |
Dr.智也 |
Gt.杙凪 |
──ニュー・シングル「ANTHEM」が出来た背景には、ライヴで培った経験が大きいですか?
昴:やっぱり、これだけツアーを廻っていると、曲に対する付加価値や、ツアーを廻ったからこそ見えることはありますよね。あと、ざっくりと、ライヴでこういうバラード曲が欲しいっていうのはメンバーでも話すんですけど、ライヴに足りない曲とは何かというのをコンポーザーが気付いて持ってきてくれるので、自然とライヴでの経験が生きているところはあると思います。
──その点でも、本作は全曲のバランスが良いですよね?
昴:選曲会のときから、聴き応えはすごく重視していたんですよね。前作「RAVEN」はコンセプトがあったので、ハードに、全体的にダウンチューニングで攻めてという感じだったんですけど、今回は、バンドとしてどうあるべきかというのをメンバー全員が理解した上で作ったので、ブレることなく出来たなぁと。そもそも、「ANTHEM」の原曲を持ってきたのは杙凪なんですけど、今回のコンセプトは“Royzなりのパンクとは何ぞや”っていうことだったんです。こういうコンセプトで作ろうと思ったいきさつとしては、この間の47都道府県ツアー「RAVEN」が始まる前だったんです。2017年に入ってからというもの、解散が頭をよぎったり、色々な葛藤の中でそれぞれがバンドやメンバーと向き合ってきたんですけど、この辺りからようやく一寸の光が見えた気がして。それを広げていこうという想いが「ANTHEM」を作ろうと思ったきっかけだったんですね。ただ、ツアーが始まってからも、僕が喉の不調でライヴを休むなど、順調ではなかったと言えるので、僕自身はそういった気持ちをこの曲の歌詞に投影したところはあります。
──なるほど、そうでしたか。では、杙凪さんは、そのコンセプトを大事にして曲を作っていったわけですね?
杙凪:Royzなりのパンクとは何ぞやっていうのを具現化しました。でも、パンクって、捉え方やイメージは人それぞれ違うと思うんです。そこを自分なりに考えつつも、曲を作る前からコンセプトなり、着地点は決まっていたので、その段階で、自分がどういう曲にしたいかっていうのが今回は完全に見えていたので、それを踏まえつつ、Royzらしさ、Royzとして大事な部分、というのを押さえていきました。あと、変に変わりすぎてもあれなんで(笑)、Royzとしてパンク感をどう出すかっていうのも考えながら作りましたね。
──楽曲のみならず、衣装に関しても、Royzがパンクをやるっていうのが、まず驚きでした。
昴:やっぱり、ドキドキっていうのは常に与えていきたいなと思うんですよね。それに、今回、衣装さんとメイクさんは今まで一緒にやっていなかった人だったんですよ。Royzも活動8年目なので、そういうところでもちょっとずつ変えていかないと自分たちの新しい可能性に気付かないまま終わるというか。自分たちでは良いものっていうのはわかっているんですよ、ただ、それをやっているだけでは前には進めないので、新しいことに挑戦したおかげで、自分たちとしても新しいことを知るきっかけになったかなって。
──レコーディングでも、新しい発見があったのではないですか?
公大:僕はベーシストとして、新しい挑戦というよりかは、曲に合うことをするのが1番だと思っているから、レコーディング自体はいつもどおりという感じでした。前作よりも良いものを作ろうというぐらいですね。
智也:プレイに関しては、ドシッといこうという感じでやってましたね。縦ラインよりも前にいっちゃうと軽々しくなっちゃうので、軽々しくならないようにもたらせたり、そういうところを意識してやっていきました。
──Royzが楽曲を通して提示する反抗心が、「ANTHEM」にはよく表われているなと思いました。
昴:今まで閉じていたところも、より生々しく書きたいと思ったので、さらけ出すという意味でのパンクだと思ったので、その分、歌詞を書くのも前より時間はかかっているんですけど、かなり素直にはなっているなって。想ったことしか書きたくないし、ツアーで経験したことがあればすぐに歌詞を書き直すし。1文字も無駄な言葉を置きたくないので、余すことなく入れたいという気持ちはありますね。それもあって、自信を持って、らしさを出せるようになったと思います。
──カップリングの「Satisfy?」は公大さんの作曲だそうですが、制作の際にイメージに置いたことは何でしたか?
公大:自然とライヴのことは意識しますよね。やっぱり、ノレない曲、もしくは世界観がない曲は自然と外れていっちゃうから、今後も定着すれば良いなと思いながら作りました。
──ちなみに、公大さんの中でライヴに対する概念というのは、以前と比べて変化はあるのでしょうか?
公大:今は、わかりやすいものが必要な時期だなと思っていて。曲調に関してもそうだし、お客さんの耳に入ってきやすく、かつノリやすいものを今は提示するべきなのかなって。それと、最近は映像作りにも関わらせてもらっているから、メンバーのライヴの動きっていうのは特に感じますね。やっぱり、昴のことは常に見えているし、杙凪は器用だから何でも出来るだろうって思うし、もちろん僕自身もわかるし、智也はまぁ好きにやって下さいっていう(笑)。でも、これは昴も良い歌詞を書いてくれたからライヴでも絶対にかっこよくなると思います。
──「PHANTASIA-パンタシア-」も、ライヴをイメージして作っていったのですか?
杙凪:そんなこともなかったですけどね。個人的には、可能性を広げたいと思って作っているので、今までにないものや違うテイストを入れたいという気持ちはありますね。そうしないと、作っている自分が飽きてきちゃうんですよね。なので、リフレッシュしたいなという気持ちはありました。
──聴いてみると、「Satisfy?」と「PHANTASIA-パンタシア-」は、お互いに良い関係性を築いていますよね?
公大:多分これは、歩んできたものの違いが出たんですよ。色んなものを吸収して取り入れてきた杙凪と、ずっとヴィジュアル系を聴いて育ってきた僕との違いが良い意味で出たなって(笑)。
杙凪:カップリングっぽい曲を作ろうぜっていうのは話していたけど、結果、どっちもライヴで盛り上がる曲になったので、お互いの色が綺麗に出たなと思います。
──「ユメクイ」は、歌声が引き立つバラードに仕上がりましたね?
公大:僕は、ヴィジュアル系が好きだから激しい楽曲も好きなんですけど、バラードを聴いたときの安心感や、せつない感じってすごく共感できるし、自分が共感出来るものを世に出したいなって。
──録る前には、楽器陣でしっかりと話し合いを重ねていったのですか?
杙凪:最終のデモの段階で形になっていたので、そこまでっていう。
公大:ただ、ギター・ソロはしょうもなかった。デモは僕がギターを弾いているんですけど、選曲会のときも僕が弾いたソロのところで杙凪がニヤッと嬉しそうにしてました(笑)。
──ライヴで演奏する際は、ニュアンスの細かいところまで神経を使いそうですね?
智也:そうですね。この曲、レコーディングでけっこう変わったんですよ。でも、バラードなんでヴォーカルをしっかり目立たせたいと思ったので、ドラムがドコドコやるのは違うかなと思い、けっこう減らしていきました。
昴:僕の声である必要性を考えてくれながら、最初から各々のやるべきことをしっかりとっていう着地点が見えているので、そこはお互いに信頼出来ている証かなって。あと、出来上がった曲って自分たちが最初に聴くわけじゃないですか。それだけに、歌詞を書いているときも、まずは自分が1番に感動したい。自分がグッとこない歌詞にはGOサインを出せないので、まずは自分を越えるっていうのが大変なんですけど、これも時間をかけた分、良い曲になったなって。だから、早くライヴでやりたいですね。
──どれも、Royzらしさが強く出ていますからね。
智也:しかも今回は、メンバーみんなが全曲に対して声を入れてるんですよ。僕は、「ユメクイ」でサビのコーラスを入れました。
昴:杙凪は?
杙凪:「ANTHEM」のラップの部分。
智也:こーでぃーは、「Satisfy?」の“FUCK”の部分?
公大:そう。そこ言っただけ(笑)。
昴:前回の「RAVEN」ツアーで僕が喉を壊してしまって、そのときにメンバー3人が僕の代わりに歌ってくれたんですよね。それを音源に投影したいと思っって、今回、各々が歌で参加するシーンを作ったんです。
──ということは、この記事が出る頃には始まっている「AILE OF ANTHEM」ツアーでも、それぞれの美声が聴けるかもしれないですか?
公大:そうです!って言わなあかん雰囲気ですね、これ(笑)。
昴:でも、そうやって経験が活かせたので、今回のツアーでも気付くことは多いんじゃないかなと思います。
──ツアー・ファイナルは、来年1月6日にTOKYO DOME CITY HALLで行われますね?
昴:積み重ねてきたことが自信に変わっている今、すごく楽しみだなぁって。なので、楽しみにしていて下さい。
(Interview:ERI MIZUTANI)