Dr.律

Gt.皐

Vo.朔

Ba.零

Gt.茜

──いつものツアーでしたら既に終わっていますけど、今回は108本というロングツアーというだけあって、まだまだ前半というところですが、ここまで振り返ってみていかがです?
朔:気付いたら47都道府県が終わっていたという感じなんですけど、ここまで大きな問題もなく廻ることができているので、そういった意味では順調だと思います。
──朔さんは、喉の調子も大丈夫そうですね?
朔:そうですね。どの会場も自分たちが想像するよりも多くのお客さんが観に来てくれたので、そういった点でも力をもらえたなと。おかげで、乗り越えることができているんですよ。
──楽器隊は、機材トラブルにも見舞われず?
茜:全然ないですね。
皐:弦が切れたとかはあるんですけど、それも1回だけで。ツアーを廻る前は、長いツアーともなるとアンプが壊れることもあるよって聞いていたんですけど、そういうトラブルもないですね。
零:でも、まだ1周目なので気は抜けないです。
──常に気を引き締めていくと。そうしてツアーを廻っているうちに新年を迎えたわけですが、気持ち新たにというところはありますか?
朔:これだけの日程があるので、そこを考えると108本をしっかりと終えることに集中したいなと思っています。一筋縄ではいかないのはわかっているので、今のところは1本1本をやり切りながら、最後の108本になるまで、いかにして自分たちのライヴが作り出せるかというのが最大の目標ですね。
──また、ツアー中にフル・アルバムを2枚出したことも大きいと思います。最新作『吐愚弄-トグロ-』に収録されている曲も、既に披露されているとか?
朔:そうです、1月の頭にやりました。1枚目のフル・アルバム『漆黒ノ闇』では、闇に向って突き進んでいった先の希望を描いていたんですけど、『吐愚弄-トグロ-』に関しては、それよりも風通しが悪いというか、もっと陰湿なところを出しているんですよね。作品タイトルからもわかるとおり、かなり毒々しい中身になっているんじゃないかなと思います。
──こちらの作品は、だいぶライヴ向けな気がしました。
茜:それはありますね。バンドとしての幅がもっと広がるし、これまで広げてきた幅の厚みも増してきたというのはあります。
皐:『漆黒ノ闇』がキメキメだった分、『吐愚弄-トグロ-』はポップというイメージがあるんですよね。それだけに、それぞれの作品の違いをお客さんはライヴでも楽しめるのかなと思います。
──だからこそ、2枚に分けてフル・アルバムを出した意味があったのですね。ただ、ここまで対極的な作品になるとは最初から予想していましたか?
零:曲を振り分けたときに、うまく分かれたなって思いましたね。ただ、楽曲の引き出しが多いのが元々な気がしているので、そこに対しては驚くことはなかったです。どちらもライヴでやりやすい曲にはなってますからね。
律:『漆黒ノ闇』と『吐愚弄-トグロ-』を録っていたときって、割と近いスケジュールではあったんですよ。デモが作曲者から送られてきたらすぐに覚えてレコーディングに臨む、という感じだったんですけど、今となっては、ツアーの前半で披露してしてきた『漆黒ノ闇』がちゃんとした意味で自分の中に入ってきたというか。レコーディングの段階よりももっと深い視点で闇を捉えることができてきたんですよね。なので、『吐愚弄-トグロ-』もライヴでこれからたくさん演奏していくと思うんですけど、中二病な感じがおもいっきり出せたら良いなと思っていて。それほど、この作品にはより人間らしさを感じるんですよね。だから、それぞれに違う闇の深さを出していきたいとは思います。
朔:中二病全開でノリのいい楽曲が揃ってるから、待ってました!これだよこれ!って思ってくれたらある意味狙い通りなんじゃないかなと。振り切って対極を攻めれるのがゴシップの強みです。
──ちなみに、『吐愚弄-トグロ-』収録曲で、これからライヴで面白く変わっていきそうだなと思う曲はありますか?
朔:曲の持っている力が強いので、どれもライヴ映えすると思うんですけど、先々で進化していきそうだなと期待しているのは、「くだらない世界が僕たちを殺していく」ですね。ライヴの絵が見える曲なので、それを自分たちがどうやって現実にしていくかというのも大事になってくるかなと。
──これまでにない世界観を見せられそうですね?
朔:そうですね。根底にあるもの、テンション感などはいつもと一緒だと思うんですけど、そこを壊さずに新しい局面を出して楽しめれば良いかなとは思います。音源はあくまで音源なので、ライヴでは曲が生きているところを見せられたらなと。生きているからこそ崩れていく様というのを見せたいんですよね。俺の中では、進化していく、イコール、崩れていくだと思っているので。崩れるのを許さなければ進化もないと思っているんです。ここまでライヴをやってきて思うのは、怖がることなく崩していった方が曲が映えるんですよ。だから、音源とライヴは別物だと俺は考えています。
──零さんはいかがですか?
零:良い景色が観られそうだなと思うのは、『雨女』ですかね。どうなるのかなっていうのは、演奏するこっちとしても楽しみなんですよ。めっちゃライヴ映えしそうなので、どこまでふざけられるか限界を超えていきたいです(笑)。
──どこまでふざけられるか、というのは面白いテーマですね?
零:そうですね。この曲だけでなく、「リストカットして」や「クビチョンパ」、そして「咲けバンギャル!!」も、どこまで真面目にふざけられるかっていうのが大事になってくるんですよ。そうすることで『吐愚弄-トグロ-』という作品が表現できると思っているので。
──なるほど。では、茜さんはどの曲を挙げますか?
茜:さっき零さんも言ってましたけど、「雨女」は楽しみです。自分の中でライヴの映像が浮かんでいないので楽しみというのもありますし、逆に、自分の中でこんな感じになるかなって想像できているのが「咲けバンギャル!!」なんですね。フレーズも王道というか、振りの文化が生まれた頃のオーソドックスな感じを敢えて持ってきたんですけど、それをいかにしてお客さんが裏切ってくれるかっていうのを期待しています。そもそも、思っていた動きをヴォーカルがしてくれないっていうのが、セオリーどおりじゃなくて面白くなりそうではあるんですけど(笑)。
朔:俺はこの曲、まだライヴの映像が見えていない(ニヤリ)。
零:こういうときが1番怖いんですよ(笑)。
──怖くもあり、面白くもあり(笑)。
茜:なので、僕らがそこにどれだけ付いていけるかってとこですね。でも、朔の無茶ぶりに対しての適応能力っは全員あるので大丈夫です。ねっ、りっちゃん!
律:何が起きても頑張って付いていきます(笑)。僕は、「脳内抹殺」がライヴで変化していきそうだなと思うんですよ。リズムに合わせて面白い動きが出来そうだし、暴れポイントも多いので。伸びしろがあるだけに楽しみですね。
──皐さんはやはり、ご自身で作った曲に期待を込めますか?
皐:「リストカットして」は自分で作った曲なんですけど、誰もが分かりやすくライヴで楽しくなればいいなという要素を込めて作っていったので、それに見合うライヴができたら良いなと思います。あとは、「MISERY」がどうなるか楽しみです。「ヰト犯シ」や「爪痕」も。いかにもロックバンドっていう曲たちだけあって、演奏する際には勢いが大事になってくると思うので、曲の精度をどんどん上げていきたいですね。
──こうして曲を並べてみると、本当に自由な作品になりましたね。
朔:あとはこれを、世間がどう評価してくれるか。
──ゴシップって、世間の評価を気にするバンドでしたっけ?
朔:いえ、評価なんてものは一切気にしてないです。
──そう言い切るところもゴシップらしい。しかし、評価は確実に上がってきています。ツアー・ファイナルはゴシップ史上、最も大きな会場となりますね?
朔:そうなんですよ。いよいよ俺たちが赤坂BLITZに立っていいものかと(笑)。でも、立つからには、ひっちゃかめっちゃかにしてやろうと思います。
茜:きっと、みんながこれまで観てきたBLITZライヴの中でも、最もエグイものになる可能性が(笑)。
──エグイというのは、ゴシップにとって最高の褒め言葉ではないですか。
朔:そうですね。最高。常にライブは我武者羅ですから。それがゴシップであり、悪童会なんで。
茜:そう、僕らにとってはそれが普通です。なので、お客さんも僕らと一緒になって、舞い上がって楽しんでくれたらいいんじゃないかなって。身構えるよりもワキャワキャと盛り上がりたいですね。
(Interview:ERI MIZUTANI)