Ba.龍史

Vo.郁磨

Gt.TANO

Dr.和春

──2017年は、ミニ・アルバム『GRAY』と、シングル「COBALT」「CRIMSON」をリリースするなど、充実した年だったのではないですか?
郁磨:作品に関しての流れはそこまで斬新な事をしたわけではないかもしれないけど、3部作だったということもあって、そこから次の展開を考えた時、最新作はシングルでも良かったんですけど、11月のWESTで発表した、春に行われる初の東名阪ワンマン・ツアーっていうのもあって、よりライヴを踏まえて考えるようになったというか。まぁ、変わったというほどのものではないけど、心機一転感っていうのは出したかったんすよね。それで、フル・アルバムかなって。
──新年1発目のリリースにフル・アルバムを持ってきたというのは、かなりの挑戦だと思いますが?
郁磨:確かにボリュームはあるけれど、それはあくまで方向性というだけで、他はけっこう自由にやれるのかなと。
──現在制作中ですが(取材は年末でした)、聴かせてもらった限りでは、これまでのREIGNのイメージを良い具合に裏切っている曲もありますね?
郁磨:そうっすね。今まで、ポップな曲というのは表題に持ってきてたし、ライヴでも見所としていたんだけど、別にそういった部分をなくすわけではなくて、同じコンセプトの中でもポップな方向とは逆なもの、3部作で出した「VENOM」のシリアスな感じとか、そういったものも出せていけたら面白いのかなって。でも、まぁ、新しいところに挑戦というよりかは、土台にあるキャパを広げたという感じなんすよ。
──同じように、歌詞も幅を広げたいという気持ちで書いていったのですか?
郁磨:うん、それはすごくある。物語性のある歌詞も書いていて好きだし、良いんだけれど、それよりも、3部作の流れでライヴをやってWESTでワンマンをした時に、なぜそこに向かっていったのか、そこから先どこに向かうのかっていうのを考えたんですよね。リリースやライヴを通して、我々だけでなく、応援してくれるファンを含めての4年間の歩みだと思ったので、それがキッカケで歌詞の幅も広がってきたのかなって。とはいえ、言いたい事や思っている事、変わらない事やその時に思った事で変わっている事もあるし。けど、今こういう事を思っているっていうのを言いたいなって。だからなんか、歌詞に関しては、先の事を見据えるっていうよりも、今どうしたいって事を出していったんですよね。まぁ、ライヴと同じかな、ナマモノっていう感覚で扱っていったから。
──おかげで、1曲ごとによりバンドっぽさが出てきたような気がします。TANOさんとしては、作曲の段階で心がけた事はありますか?
TANO:曲を作る時点では、2017年の活動を踏まえたっていうのはなかったですね。どちらかというと、今回、僕が作った曲に関しては、リリース時期だけを意識して作っていったんです。なので、もうちょっとリリース日が遅かったら、違う曲を作っていただろうし。
──それにより、今までとはまた違った世界観の曲を出してきましたね?
TANO:作る側としては、そこまで意識はしていなかったんですけどね。僕と龍史の役割分担があるんで。なので、そこは、各々やりましたよっていう感じではありますね。
──いつもの事ながら、お互いに出してくる曲は違いますものね。作曲者という観点から見ると、やはり、お2人はライバルなのでしょうか?
龍史:いや、友達っすよ(笑)。
TANO:選曲は4人でやっているので、曲を作って、みんなに良いねって言ってもらえると、お互いに嬉しいしね。
龍史:そうだね。TANOやんはギタリストで俺はベーシストだから、お互いにジャンルは違うんだけど、負けられないっていう部分は、なきにしもあらずなのかなって。
──その上で、龍史さんも今回のアルバムで挑戦しているところはかなりあるのではないですか?
龍史:そうですね。ギターフレーズって俺が考えるよりもTANOやんが考えた方が絶対に良いフレーズになるんですけど、TANOやんが考え付かない事も俺にあるだろうと思って、けっこうギター主軸に作った節が多いんですよね、今回は。そうでないと、今までの楽曲に寄ってきたりしまうので。俺としては、今までの楽曲にかぶるのが1番嫌なんですよね。こういう曲あったじゃんって言われるのも嫌だし。
──それだけに、アルバムのメイン曲となっている「Pupa」は意外性がありましたよ。
TANO:この曲をメインにしようっていうのは、満場一致だったんです。
郁磨:満場一致で決まったというのも、バンドにとって新しさがあったからだと思うんですよね。今まであったものの線上なんだけど、その先を行っていたっていう。
龍史:いかに、音をクリアにしながら世界観をちゃんと出すっていうのをあんまりやってこなかったのかなって。
──なるほど。では、和春さんは今回のアルバムを作るにあたり、何か自分の中でテーマに置いた事はありますか?
和春:ドラム録りは全部終わったんですけど、大変でしたね。あの時期はヤバかったです(笑)。結局、これまでやってきた僕のスタイルをどう消化しようかっていうところから始まったんですけど、全然まだ模索中ですね。なんていうか、音じゃなくてフレーズ面での悩みの方が大きいんですよ。REIGNの中でどういうドラムを叩くのかっていうのが、今回のアルバムを作ってまた自分の中で課題となったので、これから幅を広げる良い機会にもなったのかなって思います。
──課題が増えたというのは、各々そうですよね?
郁磨:まぁ、そうですね。その時々の自分のムーブメントというのもあるし、根本として変わり様のないものもあるし。今回、TANOが作詞を手掛けている曲もあるんですけど、自分だったらどういう風に表現するかってところでブレスの位置も考えていったし。それだけに、毎回毎回、課題っていうのは違うっすね。
龍史:「エミリアの土曜日」なんかは、けっこう2人で話し合ったんですよ。俺の描く世界観とは違うものを郁磨が持ってきたから、1日中電話相談だったよね。
郁磨:うん(笑)。以前、「CLUB BUNNY」って曲を出したんですけど、それは歌詞も含めてポップ路線だったんですよね。「エミリアの土曜日」も、それの第2弾と言える感じなんだけど。
龍史:最初に思い描いていた世界観とは違う歌詞だったけど、良い方向に転んでくれたらいいなって思います。
郁磨:作詞・作曲を1人が全部手掛けていないからこそ、生まれる面白さがあるのかなとは思いますね。
──その点でいうと、TANOさんが作詞された「桜流し」は、郁磨さんが使う言葉遣いとは異なりますよね?
TANO:REIGNにはあんまりない感じですよね。そもそも、僕、歌詞を書かないんで。でも、今回はアルバムだし、郁磨くんがたくさん歌詞書いているから、1曲ぐらいは書こうかなって(笑)。僕、季節感を感じられる曲が好きなので、卒業シーズンを意識した歌詞にしました。
郁磨:やっぱり、自分が使う言葉遣いとは違う感じにはなりましたね。
龍史:新鮮でもあるし、これだけ曲がある中で引き立ちますよね。
──個性の出たアルバムになっていると思います。また今回は、衣装も各々でかなり違いますが、それも作品を考えての事ですか?
郁磨:俺は「Pupa」をイメージした衣装ですね。ヴィジュアル的にはベタかもしれないけど、歌詞にも出てくる蛹感を拘束着で表わしたくて。まだまだバンドとしても蛹だと思っているし、これから羽ばたいていけるという可能性を具現化したというか。
TANO:僕は最初に着たいものを思い浮かべたら、軍服があったという感じなんです。郁磨くんとは180度違うんですけど、各々が180度違う分、良かったかなと。
龍史:俺は、今まで動きやすそうな衣装が多かったんですけど、今回は着ていないものを着ようと思って、こういう感じになりました。自分でも新鮮ですね。
和春:衣装は、自分の中でREINGNを外れないだろうなという範囲内で好きな事をやりました。なので、ほんと、好きなものを着ているだけなんですよね。
郁磨:ヴィジュアルをみんなで変えたりとか、同じものだとしても違うアプローチができるっていうのはこれまでもやってきた事ではあると思うので、まだ道の途中ではあると思うんですけど、REIGNの今が出せた作品にはなったと思います。
──新曲のお披露目は、3月から始まる東名阪ワンマン・ツアーになりそうですか?
郁磨:いや、その前になりそうかな。3月3日に東高円寺二万電圧でワンマン・ライヴやるんすよ。そこでアルバムの曲を逸早く演奏しようかなとは考えていて。それを踏まえた上で東名阪ワンマン・ツアーに入るので、個人的な演出の仕方ももちろん変わってくるだろうし、自分というものを見つめ直す事ができるツアーになりそうだなって。自分の思っている事をヴィジュアル含め、ちゃんと提示していきたいですね。
(Interview:ERI MIZUTANI)