Dr.きょうのすけ

Vo.来夢

Gt.reiki

Ba.ユエ

──まずは、1月にWESTで行われたワンマン・ライヴ「裏切り」、振り返ってみていかがですか?
来夢:LEDヴィジョンを入れるとか、明らかにWESTの規模以上の演出を入れ込んだので、観に来てくれた人には衝撃だったんじゃないかなと。あと、何がすごいかって、普段なら開放しない2階席まで観客をパンパンに入れたのに大赤字だったっていう(笑)。
reiki:個人的には、めっちゃライヴしたぁっていう感じがなくて。それは多分、演出とか入れたことでライヴをしたっていうよりかは、ショーをやった感覚だったんですよね。けど、前から自分が憧れていたヴィジュアル系バンドって、ホールとか大きな会場でそういった要素のライヴをしていたなぁっていうのを思い出して、そういった先輩たちもライヴが終わった後はこんな気分だったのかなぁって。なので、その点ではすごく良かったなって思いましたね。それと、ワンマンの次の日が僕の誕生日だったんですよ。そういったお祝いも打ち上げで出来たので良かったです。
──普通ならばワンマンの場でお祝いをしても良さそうなものを、敢えてそういった事柄を排除し、MC一切なしでライヴを進めていったのも面白かったです。
来夢:おめでとうって言われるようなバンドじゃねぇなって思うんですよ。まぁ、誕生日をライヴで祝うなんてことは、他がやっているからいいかなとも思うし、今は気分じゃない。それより、1本1本、違うライヴを残すべきだと思っていて。だって、バンドとして人にまだ何も与えられていないのに、誕生日だからといってファンから祝ってもらうとか、何か違うじゃないですか。
──もらうよりも与えたいという気持ちが強いんですね?
来夢:与えられない人間に、人なんて寄って来ないから。って、ワンマンってどれぐらいやってたんだっけ。1時間ちょっと?
reiki:だったかな。
来夢:あんまりダラダラやりたくなかったっていうのはあったんですよ。だから、MCもないし。何か、ずっと喋っていると言葉が嘘くさく聞こえてくると思ったから、最後に伝えたいことを一言残せばいいかなって。自然体っていうか、それが俺にとっては正直ではあるのかな。
ユエ:でも、やっぱり、演出が派手だったっていうのは印象に残ってますね。さっきreikiも言ってたけど、俺もライヴをしたというよりかは、ショーをやった感覚が強くて。演奏の際に映像が後ろに投影されるとか、自分自身そういった感覚に慣れていないっていうのもあったんですけど、最後に「おしまい」を演奏したとき、お客さんの熱が高まっているのが実感できたんですよね。色々なことがあった分、すごく勉強になったワンマンでした。
きょうのすけ:ぼくはショーみたいなライヴにすごくあこがれていたんです。だいすきなせんぱいがそういったライヴをしているのをみて、ちょーかっこいいとおもって。それで、いつかやりたいとおもっていたので、じつげんできたのでよかったです。みているひとからしたら、えいがをみているようなかんじになれたのかなっておもいます。
──当日は、新曲の「傷痕」も披露されましたね?
来夢:俺ら、バンドに対するコンセプトや名前の由来っていうのをインタビューとかで語ってこなかったんですけど、この曲でヒントを与えたっていう感じですね。なので、少しでも感じ取ってもらえればいいなと。それほど、俺らのコンセプトや芯みたいなものが突っ込んである曲なんで。
──だからと言って、歌詞に対しての解釈を求められるのはあまり好まないですよね?
来夢:まぁ、嫌いですね。それは、聴き手それぞれに受け取ってほしいっていうのが1番の答えだと思っているから。でも、知ってほしいという気持ちもありつつ、わかってほしくないっていう気持ちも入り交じっていて。わかってほしいけど、ちゃんとわかってほしくないというか。
──理解してほしい気持ちはあっても、どこかで俺のことを全部わかるわけではないだろうという感じですか?
来夢:あぁ、そのとおりかもしれないです。でも、この曲は強い意志を持って書いた新曲なので、割とわかりやすくはあるかな。
reiki:僕は一応、歌詞に目を通すんですよ。でも、この曲って何を伝えたいんだろうとか細かく解釈するタイプではないんですよね。それよりも、この単語の持つ意味は何だろうとかは聞きます。例えば、Aメロに●●っていう単語があるとしますよね。そうしたら、その意味を意識してアクセントを付けて演奏するので、歌詞は演奏に少なからず影響してきますね。
来夢:その前に漢字読めないだろ。
reiki:読めるわ(笑)。
来夢:「傷痕」って、最初すぐ読めた?
reiki:傷は読めた。あとは、オオカミみたいな漢字かなって。
来夢:そのレベルかよ(笑)。
reiki:痕と狼って何となく似てるでしょ(笑)。ただ、うちの歌詞って最後にオチがあるんですよ。大サビでオチがあるので、そこで伝えたいことっていうのはわかった。結局は、書いてある言葉そのままなんですよ。
来夢:良い音楽やライヴを提供すればするほど、バンドとして傷を残せると思うんです。だからこそ、コンセプトを曲にして残したんですよね。けど、ここで俺があんまり答えを言ってしまうと、曲に対しての楽しみ方がなくなってしまうので、まぁ、ここら辺でやめておきます。
──他に、レコーディングで印象に残っていることはありますか?
reiki:うーん、何かある?
来夢:ギターのフレーズを考えているときは、だいぶ病的になってた。
reiki:たしかに。レコーディング期間中は何時に連絡しても返ってくるやろ?
きょうのすけ:うん。
reiki:それ、ずっと起きてるから(笑)。っていうか、難しく考えすぎなのかな。時間をかけた方がかっこよくなるときもあれば、パッとアレンジした方がかっこよくなるときもあって。あと、迷ったときは来夢に曲の雰囲気や色を聴いてやっていくんですよ。この曲、展開が多くて色んな表情があるだけに、説得力の強いアレンジが必要だなっと思ったんですよね。
来夢:逆に、ユエには何もアドバイスはしないです。みんな知ってのとおり上手いんで、任せておけば平気かなって。
ユエ:でも、レコーディング現場に行ってその場で決めることもありますよ。けど、結局は出来上がったものが良ければそれでいいかなと。だからと言って、これで満足してるっていうわけではないんですよね。そこはメンバー全員同じだと思うんですけど、1つのレコーディングで満足してしまったらそこで終わりだと思うので。でも、現状で満足しているかって訊かれたら、満足はしています。
来夢:あとさ、ドラムはもう使命感だよね。叩かなきゃっていう(笑)。
きょうのすけ:やらなくてはいけないっていう(笑)。さいしょにこのきょくをきいたとき、むずかしすぎてよくわからなかったんですよ。なので、そうとうききこんで、そうとうたたきましたね。
──本作は、表題曲「傷痕」の他にも収録曲があります。どのような曲が入っているか、教えてもらえますか?
来夢:多分、みんなが1番期待している曲は「十九」なんじゃないかな。「十五」って曲を前に出したんだけど、あれは15才のときに体験したことを書いていて。「十九」もそれと同じように19才で体験したことを書いているんだけど、きっと想像している感じとは違うと思う。だいぶ良い裏切りを見せているかなと。あとは、他もヤバいですよ。びっくりするほど、まとまりがない。なんていうか、全部聴くと、キズじゃない。っていうのも、俺が色々な曲やりたいなと思ったので、普通ならアルバムで1つ外すような曲を持ってくるところ、このシングルで全部外してやったっていう(笑)。
──それは、後に出すであろうアルバムのことを見据えて作ったのですか?
来夢:いや、まったく。むしろ、アルバムなんて出す気は一生ないですから。
reiki:ないねぇ。
来夢:周りからアルバムを出せ出せって言われてるんですよ。でも、一生出さない(笑)。あと、それに伴ってワンマン・ツアーもやったらどうとか言われるけど、それも今はまだやらない。だって、中途半端じゃないですか。WEST規模の演出が出来るライヴを東名阪で観せること出来るならツアーにも行くけど、それもせずに曲を長めに演奏してただツアーを廻るだけなんて、やる必要ないなって。だから、それが出来るまではツアーはやりません。それよりも、今は目の前のLIQUIDワンマンに集中したい。あとは、与える側の人間として、与えてもらいに来て下さいってファンに頭を下げるのは違うと思っているから、ライヴに絶対来てねとも言わない。こうやって、わかりにくいバンドかもしれないけど、ただちょっと不器用なだけだと思ってわかってくれるといいんですけどね。
(Interview:ERI MIZUTANI)