Gt.響

Gt.なる

Vo.吟

Ba.だいち

Dr.りお

──「般若恋地獄」は曲の持つ雰囲気が良いですが、世界観を極めたいという想いはあったのでしょうか?
吟:そうですね。今回は和風ということで、とことんやってやろうかなと。衣装もそうですけど、ヘアメイク等の面でも、とことんやりました。ただ、この曲は1度だけワンマンの配布で出したことがあるので、以前からあったものなんですよね。あとは、アルバム(5月2日リリース『逆襲のすゝめ』)発売前に出したいと思ったので、今回、先行リリースという形で出すことになりました。
──まず気になるのは、前に配布で出したものを、ここでまたリリースする意味とは?
吟:自分の中で中途半端だなと思って。なので、ちゃんと形にしたいという気持ちがあったんですよね。今思うと、配布で出したものを中途半端だなと感じたのは、曲に対してというよりも、音をもっと足したいと思ったんです。それで今回は、和楽器の人に演奏に参加してもらって。あと、音源だけで歌詞もそのときは出していなかったので、ちゃんと歌詞も見てもらいたいなと。歌詞に関しては、当時と内容は変えていないんですよ。ただ、和楽器が入ることもあって、演奏してくれる方には、良い感じにして下さいっていうお願いはしましたけど。
だいち:自分としても和楽器は未知な感じだったので、ただただ、すごいっていうのを連呼してました。あと、サビのリズムのアレンジが変わったんですよね。最初の頃よりもシンプルになったので、慣れた曲というよりかは、新鮮な気持ちで演奏できました。
りお:和楽器の中に小鼓も入っていたので、レコーディングがすごく楽しみで。でも、小鼓ってとても独特なんですよ。だから、同じ太鼓同士ではありますけど、見ていて何だこれはっていう衝撃を受けました。とにかく、チューニングの仕方からすごくて。繊細な楽器だけに、ちょっとの乾燥で音が変わってきてしまうらしいんです。そこが、ドラムとはまた違った世界だなと思いました。でも、最終的に、良い感じにユニゾンできたので、そこはすごく良かったなと思います。
──良い融合を見せていますよね。その点でも、良い曲を作ったという自信はあるのではないですか?
吟:確かこれ、最初はスタジオで進めていった感じなんですよ。全体で作ったのはこれが初めてになるのかな。そこからまとめてくれたのが響くんになるんですけど。
響:今回、音源を出すにあたり、改めてアレンジを考えたんですけど、和楽器を知らない分、1から勉強して。そこから考えていったので、大変でしたね。アレンジは打ち込みで作っていたんですけど、和楽器って感情で変わってくると思ったので、やっぱり本当の音色は出せないなって。そういった点でも考えるのは大変でした。
──その上で、ギター隊で話し合ったことは?
響:ギターは特に変わっていないですね。
なる:うん、変わっていないです。でも、音はこだわりました。いつもはハムバックっていうピックアップを使っているんですけど、今回はテレキャスのシングルコイルでジャキジャキした音を出していって。人が分かりにくいところにこだわって録音していきました。
──では、歌録りでこだわったところはありますか?
吟:ちょっと気味が悪い感じというか、平和的な歌詞でもないので、おどろおどろしさを意識して歌っていきましたね。
──また、映像もとても見応えがありました。
吟:神社で撮影したんです。
だいち:雨降りの中、竹やぶで撮って。
吟:うちのバンド、撮影の時に雨多いよね。
だいち:そうだね。大事なときは雨降るよね。この間の大雪のときもライヴだったし(笑)。
なる:あぁ、そうだった(笑)。
──バンドのカラー的に、雨似合っていますよ。
吟:それはきっと、僕が暗いから雨が似合うんじゃないですか。ここでは、あんまり派手な動きをせず、歌録りでも意識したように、気味の悪さを出せたらなと思ってやっていきました。
だいち:激しくない曲っていうのが、逆に難しくて。個人的には、撮影を通して課題が見つかりましたね。あと、この衣装が好きなので映像に残せて良かったです。
──この曲は、今後のライヴでも出番が多そうですね?
吟:4月リリースなんですけど、ちょいちょいやってはいるんですよ。僕、この曲になると全く動かずに歌うんですね。なので、ちゃんと歌うということに意識を置いてやっています。
だいち:動かない見せ方っていうのは、僕も追求中です。最初はもっとわちゃわちゃする曲になるかなって思ったんですけど、この曲は動かない方がかっこいいかなって。
吟:反対に、お客さんはすごく盛り上がってくれるんですよ。僕からは煽りもしないので、その対比が観ていて面白いと思います。
──「業-karuma-」も「般若恋地獄」と同じく、作曲がバンド名義になっていますが、どのようにして出来上がった曲ですか?
響:仏教的な部分を出したいと吟さんがおっしゃったので、じゃあそういった曲が作れればいいなと思って出来た曲ですね。
吟:単純に仏教が好きだったからそういうお願いをしたんですけど、何だろう、僕、救われたいんですかね。
──そこは、メンバーが救ってくれるのではありませんか?
吟:あぁ、そうですね(笑)。もちろん、周りの人たちも救ってくれますけど、まだだなって。あとは、激しい曲がいいっていうことも注文しましたね。
響:良い感じになったんじゃないかなと思います。
吟:それにしても、今回、収録曲3曲ともバラバラになったと思いますよ。曲調はもちろん、歌詞でも。「業-karuma-」は、物騒な言葉が並んではいますけど、大事なことを忘れている人が多いんじゃないかなと思って書いていった歌詞なんですよ。結局は、感謝して生きていきましょうということを言いたかったんです。僕たち、日頃からお肉とか食べているじゃないですか。でも、それは何かの命があって僕たちが生かされているということに通じてくるので、感謝しないといけないなって思うんですよね。
──となると、レコーディングの前には肉断ちを?
吟:それはしてないです(笑)。ただ、ネガティブな歌詞ではないということだけは言っておきたいです。あくまで、日々の行いによって後の自分に返ってくることがあるというのを歌いたかっただけなので。
──だからこそ、「因果応報」という言葉が曲中に入っているんですね?
吟:そうです。ほんと、そのとおりだなって。
りお:理解するのが難しいタイプの歌詞なんですけど、演奏の際にこだわったのは楽曲の激しさでしたね。プレイ面でも今までやってこなかったことを入れているので、楽曲に合った激しさが出せたと思います。
だいち:ひたすら激しい曲なんですけど、自分の中では極力タイトにいくようにしました。激しい曲だからこそ荒くなることないように。あまり波のないように弾けたらいいなという思いでやりました。
なる:僕は、歌詞をざっくりと読んで、あとは雰囲気で演奏した感じですね。
吟:あとはもう、ライヴで楽しめたらいいなという。
──「雨ざらしの唄」はタイトルから想像するにバラード曲かと思いきや、良い意味で裏切られました。
吟:原曲を持ってきたのは僕なんですけど、青春パンクをやりたいと思って作ったんですよね。そうした感情になったのも突然のことで。ただ、10代の頃はめっちゃパンクを聴いていたので、特に抵抗はなかったんですよ。それより、ストレートな想いを書けたらなって。
だいち:これ、ライヴでも楽しくなりそうですよね。
──フロアに向かってダイブとか出来そうな曲ではありませんか?
だいち:確かに、飛び込みたくなる感じはあります(笑)。僕もパンクは聴いて育ってきたので、こういう曲調はやりやすかったですね。自分の性格的にも合っていると思うので、聴いているだけで自然と笑顔になれます。
りお:僕も高校生のときにパンクバンドのコピーやっていたので、この曲に対しても理解が早かったです。今日、出来上がった音源を聴いていたんですけど、懐かしさは変わらないなぁって。
なる:僕も通ってきた道だったので、この曲はやりやすかったですね。
響:僕もパンクは聴いていました。ただ、そこで演奏がやりやすいか、やりにくいかというのはあんまり関係がなくて。これはこれで成立している曲だと思います。
吟:ライヴのノリは今のところあんまり考えていなかったんですけど、みんなが楽しんでくれたらなって。
──5月13日には、弐周年記念単独公演もありますし。
吟:そうですね。ここまで本当にあっという間でした。だからこそ、ここから先、どうやってライヴで見せていくかっていうのは重要になってくると思うんですよ。とりあえず、弐周年記念単独公演では、自分の醜い姿をさらけ出すぐらい、かっこ悪い部分も見てほしくて。それぐらい必死に、一生懸命取り組んでいけたらなと思います。
(Interview:ERI MIZUTANI)