Ba.カノン

Dr.輝喜

Vo.みく

Key.ゆうき

Gt.takuya

──取材をしている現在、15th Anniversary Year Special LIVE CAFE TOURが岡山公演まで終わりましたが、手応えはいかがですか?
みく:手応えは色々とあるんですけど、僕が1番印象的なのは、アンティック-珈琲店-ってライヴで20曲以上の曲目を1度のライヴで演奏したことがないんですよ。それが今回は、1度に20曲以上を演奏してしまうという挑戦をしていて。結成15周年ということもあって、ファンのみんなを喜ばせたいという気持ちの下、こうした挑戦をすることになったんですね。あと、それに加えて、みんなが選んだ曲がライヴで反映されるので、できるだけ多くの曲をやった方が喜んでくれるかなぁって。とはいえ、やったことがないことに挑戦するわけだから、最初は体力が持つのか?喉は潰れないか?と心配だったんですけど、人間やろうと思えば何でもできるんだなというのが今回のツアーで印象に残っていることですね。
──1回のライヴで20曲も披露するとは、なかなかのものですよ。
カノン:本編だけで20曲。アンコールもやっているので、20曲以上ですね。
みく:そうだね。あと、みんながリクエストした曲は、僕が予想したものと結構当たってるなぁって。比較的、昔の曲が多いのかな。そんな中、新しい曲が入っているのも面白いなって思いますね。昔の曲なんかは、今の5人で演奏すると聴こえ方も変わってくるので、新鮮でもあるし。楽しいよね、今回のツアー。
takuya:うん。充実感がすごくあります。
ゆうき:それと、このツアーで久しぶりに観に来てくれた子もいて。終演後に握手会をやっているんですけど、すごく楽しくなっていて良かったっていう言葉を聞くと、このライヴツアーをやって良かったなって改めて思いますね。
カノン:しかも、尻上がりに良くなっているんですよ、今回のツアー。最初は20曲以上演奏することに対してプレッシャーや緊張感もあったんですけど、やっていくうちにだんだんと和らいでいったので、そこが楽しさにつながってきたのかなと。
──カノンさんでもプレッシャーを感じることってあるんですね?
カノン:それはありますよ(笑)。そういえば、フィギュアスケートの羽生選手が「4年前は魔物にやられましたが、今回のオリンピックではその魔物に助けられました」って言っていたじゃないですか。魔物ってプレッシャーのことなので、まさにそれだなぁって。
みく:いやいや、羽生選手のプレッシャーと比べるものじゃないから(笑)。
輝喜:僕としては、このツアーの1本目が終わった時、集中力が途切れた部分っていうのが分かったんですよね。いつもの曲数でピークを迎えてしまったので、いつもの自分がやってきたことはここまでだったのかと思い、最後までキラッキラとした演奏ができるようにと改めたんです。それと、今回リクエストを受け付けたことで、自分たちは15年バンドをやっていて音楽を作るクオリティは上がっているけど、そのときそのときで人の胸に刺さっている曲を作っていたことを思い出しましたね。
takuya:こっちの気持ち的にも、ファンから好きな曲が聴けたって聴くと本当にやって良かったなって。個人的に、すごく熱くなれる瞬間が多かったのは「BondS~絆~」ですね。演奏する手にも力が入るというか。気が付いたらスイッチが入ってました。
──非常に良い状態でツアーが廻れていることが分かります。そんな中、ニュー・シングル「願い事は1つさ」が発売されますけど、どういった想いで作られたのでしょう?
カノン:えーっと、これは、次に出すシングルをどうしようかって考えていた時、メロディ重視でキラキラとしていてっていう、大ざっぱですけど、そういったキーワードを自分の中で挙げていて。その上で、今まで出した曲を振り返りながら自分たちの曲を分析していってたんです。そこで見えたのは、メロディが切ないんだけど、キラキラとした印象を残しながらも最後には明るさを残すっていう、色々なことが融合した曲が多かったことで。それで改めて、そういった曲を作ってみようかなっていうのが、リード曲「願い事は1つさ」が出来た背景ですね。
──なるほど。ただ、切なさと明るさというのは対極的でもありますよね?
カノン:そうなんですよね。そこは、バランス感覚が重要になってくるなと思ったんです。何かが出すぎてもいけないし、何かがいなさすぎてもいけないので、この位置にこの楽器がいて、この音量でこの楽器がいて、という風に、絶妙な感じでバランスが取れたので、ミックス作業を終えたときは感動しましたね。改めて、1曲の中で色々な要素が出せるっていうのは、うちらの強みでもあると再確認しました。
──歌詞のテーマは、失恋だとか?
みく:楽曲をもらってメロディを聴いた時に、失恋ソングを素直に書いてみたいなと思って。今まで、A面で失恋ソングを書いたことがなかったので初めての挑戦となるんですけど、活動15周年を経て新たにやってみても面白いなと思ったんですよね。書く失恋をテーマに書くからには、聴いてくれた人みんなのことを泣かしてやりたいと思いましたね。
──綺麗な内容になりましたね。それにしても、みくさんは失恋とは縁がなさそうな感じがしますけど?
みく:いやいや、人間ですから失恋ぐらいしますよ(笑)。ちなみに、今回のツアーでこの曲は既に披露しているんですけど、みんなが聴き入ってくれているのが分かるので、最初からすごく手応えがありましたね。
──ライヴで重ねることにより、ますます表情が変わってきそうな1曲ですよね?
takuya:そうですね。切なさの中に力強さを感じる曲なので、ギター・ソロを始め、演奏にも力が入りますね。
輝喜:バラードっぽい部分もあって今までにないリズムパターンだけに、自分の中でも必死になって演奏できる曲ではありますね。
ゆうき:CDとライヴって違うと思うんですよ。ライヴは最初に目がいくものだと思うので、CDで聴くよりも必然的に印象が変わってくると思うんです。この曲もツアーでやっていると、聴き惚れてくれる人もいれば、手をあげてノッてくれる人もいて。楽しみ方って人それぞれだと思うので面白いですよね。
──カップリング曲の「ねぇ」と「キミはいつか鍵になる~truth or lie~」も今後のライヴで重要な曲になってきそうですね?
カノン:「ねぇ」は、とりあず作ってみようっていう初期衝動を大事にしていった曲なんです。例えば、帰り道とかで急に曲を作ろうって衝動的に思い立つことがあって。そういう時に出来た曲ってどうしてもテンポが速くなる気がするんですよ(笑)。この曲も、イントロを聴いた瞬間からテンションが上がると思うので、再生した瞬間に、オッ!って思ってもらえたら嬉しいです。
みく:カノンくんからこの曲のデモをもらって、率直に「ねぇ」って言葉が出てきたんです。それで、男女の恋愛観にスポットをあてて書いていったんですけど、そもそも、好きってどういうことなんだろうっていうのを、この曲を聴いてファンのみんなに考えてもらいたかったんです。好きっていう言葉でもそこに存在する感情は人それぞれ違うと思うので。
──では、その質問に対して、みくさん自身、どういった回答を出しますか?
みく:え~、難しいなぁ。自分が分からないから、みんなに好きってどういうことだと思う?って聞きたくなったと思うんですよ。なので、たくさん教えて下さい(笑)。そして、「キミはいつか鍵になる~truth or lie~」は自分の人生観を語った曲というか。元々、僕は人見知りでステージに立つような人間じゃなく、自分でもそれが変えられることのない真実だって思っていたんですよね。でも、アンティック-珈琲店-を15年続けて本来なら成りえなかった自分がいた。そこで自分の身を通して真実は変えられるんだって思ったんです。“みんなが無理だと決めつけていることもちゃんとした意思があれば変えられる”ということをこの曲で伝えたかった。
──全曲通して大事な作品になりましたね。そして、4月28日には日比谷野外大音楽堂でツアー・ファイナルが行われます。その前には、Blu-BiLLioNとの2マンライヴがAREAにてありますが、この5人でAREAに立つのは初めてだそうですね?
ゆうき:僕とtakuyaは、AREA自体に出演するのが初めてなんですよ。
みく:どこにあるか知ってるの?
ゆうき:最寄り駅が高田馬場っていうのは分かる(笑)。
みく:僕から見ると、AREAってヴィジュアル系が詰まったライヴハウスっていうイメージがあるんですよね。
カノン:市松模様の床も印象的だし。
みく:そうそう。その2マンが3月31日で、4月に野音でツアー・ファイナルがあるんですけど、間違いなくアンティック-珈琲店-史上、1番熱いライヴになると思います。
(Interview:ERI MIZUTANI)