Gt.九条 武政

Ba.一色 日和

Vo.黒崎 眞弥

Dr.遠海 准司

Gt.酒井 参輝

 最新シングル『春時雨』を発売して間もない己龍。この記事を目にする頃は、ちょうど単独巡業「磑風舂雨」直前の時期。ここでは、『春時雨』に収録した楽曲の歌詞に紐付いた質問をメンバーへぶつけてみた。普段聞けない意外性を持った言葉の数々を、ぜひ楽しんでいただきたい。


――今回は、『春時雨』に収録した楽曲の歌詞へ紐付いた質問をします。まずは、『春時雨』の「春時雨」より。みなさん、「どんな雨の風景」が好きですか。
日和 僕、雨に濡れるのが大嫌いなので、家の中から眺める雨の風景が。とくに、窓へ雨水が滴り落ちてゆく風景が好きです。
――そこへは、何か理由があるのでしょうか。
日和 小学生の頃、少年野球のチームに入ってたんですけど。小雨が降るくらいでは練習が休みにならないくらい厳しくって。でも土砂降りの雨のときは、さすがに練習も休みになるから、子供心に少し嬉しかったんです。だから、そういう雨の風景が好きなのかも。
――ちなみに、春の雨に情緒を感じたりは?
日和 僕はないです。何時の季節に振っても、同じ雨の風景です(笑)。
准司 僕、雨は嫌いなんですけど。唯一好きなのが、天気雨や通り雨のとき。そういうときって、雨が去った後に綺麗な虹がかかるじゃないですか。あの風景が好きなんです。
――己龍のMVの場合、野外撮影も多いですよね。いろいろと気苦労も多いのでは?
准司 晴れてたのに、突然の雨で地面がグショグショになったりね。『私ハ傀儡、猿轡ノ人形』のときが、まさにそう。いきなり雨が降ってきてドラムセットが泥だらけになるし、時期的にも晩秋だったから寒いし、夜中まで山の中で撮ってたから闇だし(笑)。
武政 あのときの撮影は地獄でした。
日和 うちら、ロケ撮影が基本のバンドであり、しかも現代の機器が映ってはいけないから、どうしても撮影場所が山の中とか江戸村のようなところが多くなるんですよ。
武政 『春時雨』のMVも日光江戸村で撮影したんでけすけど。日中は日光が射してたのに、夜がめちゃくちゃ寒くって。まして春を意識した映像にも関わらず、撮影したのが真冬!
日和 まだ壁のある場所があったから撮影以外は寒さをしのげたけど、何もない場所にテントを張っての撮影となると、風だってまともに防げなくなるからね。
――続いても『春時雨』より、「救いを着飾りて巣食う己が餓鬼」にかけて、「少年だった頃のヤンチャな想い出」をお願いします。
日和 己龍って、全員ヤンチャじゃなくて、昔から真面目な人たちばかりなんですよ。
准司 これをヤンチャというのかわからないですけど。こうみえて僕も、高校時代は彼女がいました。僕と武政は、学年は違うけど同じ高校。当時の武政は、恋愛シミュレーションゲームをいっぱいやりながら恋愛の経験を積んでたんですね。それでも、なかなか彼女が出来なかったらしいんですけど。とあるきっかけで、当時の僕の彼女が住んでいた弁天島近くのとある場所で、武政は学校をさぼり、まだ彼女じゃない女の子とチュッチュしてました。それって、ヤンチャですよね。
武政 その子から(チュッチュした)三日後に告白され、僕は振りました。
日和 当時まだ童●だったんでしょ。チュッチュしたんなら付き合ってやれよ!
准司 だから、その後もズーッと●貞状態が続いたわけじゃない。
武政 あー!、意味わかんない言葉が飛び交ってる!!
――『自惚レテ愛玩』には、「案玩」という歌詞が出てきます。みなさんが「可愛がっているもの」を教えてください。
准司 僕は楽器です。僕のドラム愛は深いんで、使い終わったら毎回綺麗に拭いてます。
武政 僕もギターを可愛がってます。いろんなタイプのギターやアンプを揃えたこともあり、どのギターとアンプの組み合わせによって、どんな音色が生まれるのか、それを探りながら弾くことがすっごく楽しくって。ちなみに、楽器に名前とかは…付けてません(笑)。
日和 「愛玩」したいという意味では、本当はペットを飼いたいんです。むつごろうさんみたいに、動物に囲まれる生活にはむちゃくちゃ憧れます。
参輝 それをやるのは、身体が動かなくなった老後になってからだね。僕は自分が一番可愛いんで、自分自身です。
――参輝さんって、日々とてもストイックな生活を送っていますよね。
参輝 僕は「達成感」が好きだから、みずからを追い込むことは多いです。仕事に関しても、あえてやることを増やし、みずからを追い込ませてゆく。そうやって頑張っている自分が、自分で好きなんだと思います。とくに夜中とか、何処まで自分を追い込み頑張れるのか。そこを楽しんでいますからね。
――そこは、睡眠時間とのバランスも考えるわけでしょ。
参輝 睡眠時間はどーでもいいです。毎日、何時間寝たいという意識もないので。そりゃあ運転をしなきゃいけないときはしっかり睡眠を取りますけど。デスク作業だけのときは、終わるまで寝なくてもいい。だから、寝ずに翌日の仕事へも普通に行ってます。
眞弥 僕は、IQOSかなぁ。巡業中ずっとIQOSを持ち歩いてるんですけど、水にも衝撃にも弱いよう意外に壊れやすいんですよ。しかも長い巡業になるほどIQOSをフル稼働してるから、電池の消耗も早くなる。だから、壊れないよう大切に愛玩しています。
――『自惚レテ愛玩』には「それが愛の証」と記されています。これぞ「愛の証」と感じたことがあったら教えてください。
参輝 メンバーどうしはもちろん、スタッフたちも含め、己龍のために努力している姿を観るたびに、それが「己龍へ向けての愛の証」だなぁと感じます。「誰かの力になろう」とすることって、まさにそうじゃないですか。ファンの子たちも含め、僕らは何時だって愛を感じながら活動をしています。
武政 それに繋げて言うなら、己龍が生み出し続けている楽曲も「愛の証」なんですよ。とくに僕らは「これを伝えたい」という想いはもちろん、それ以上に、「こういう曲を作ったらみんな喜んでくれるかな、笑ってくれるかな」ということを何時も考えながら楽曲を作っていますからね。
――お互いに愛を与えあってるんだ。一方通行の愛だと、ちょっと違いますもんね。
武政 一方通行の愛でも、愛の証だとは思いますけど。それを作品にするとしたら、両想いとはまた別な表現になりそうな気がします
――キスした3日後に振っても、そこに愛は。
武政 ………。
准司 そこに愛はあったはずです。愛があったからこそ、その愛を受け付けずに拒否したわけなんで。
武政 一瞬でも愛があれば、愛なんです。キスをせまられたときは、素直に嬉しかったです。あー、余計な情報を与えてしまった(笑)。
――『贄の筵』の歌詞に「欲に忠実な犬畜生」と記しました。みなさんの身近に「犬畜生」な存在がいたりするのでしょうか?
眞弥 僕は、ファンですね。これ、けっして否定的な言い方ではなく。ステージ上に立っているときの僕は、つねに支配者的な立場でいたい。そんな自分の指示通りに動いてくれるファンのみんなが愛おしいのと同時に、欲に忠実だなとも見ています。さすがに犬畜生とは思いませんけど(笑)。
参輝 犬畜生とは、意志のない社畜。目的へ辿り着くためや、目的意識を持ったうえで、そのために今は尻尾を振るように媚びるんだったら、僕はぜんぜん良いと思ってる。そうじゃなくて、ただ、その環境の中で生きるために尻尾を振る生き方ほど、僕はすげぇ情けないことはないと思ってる。
日和 言ってしまえば、人間みんな犬畜生なんですよ。欲のために生きてるって、むしろ人間らしいこと。まして人間は欲深いからこそ、ここまでいろんなことを発展させてきた。ときには犬畜生にならないと生きていけないこともあるように、なんだかんだ言いながらも、人ってみんな犬畜生なんです。
――最期は、『鏖』に記した「存在の意味を紡ぐは言の葉」より、「自分の存在理由を感じるとき」を教えてください。
武政 みんな一緒だと思いますけど。ライブをやったり、楽曲を作り続けてゆくことじゃないですかねぇ。だって、それこそが僕らが己龍として生きている証なんですから。
日和 そうなんだよね。同時に、ファンの存在もうちらが生きている証に繋がること。こうやって全国各地で己龍のことを待っててくれてる人たちがいるからこそ、うちらは前向きな想いで活動をしていける。誰も望んでないのに活動を続けてたら、自分たちのモチベーションだって何処まで続くかってことじゃない。僕にとっては、己龍として活動していること自体が存在証明の証。それが無くなったら僕、ご飯を食べてるときくらいしか「生きてるな」と感じられなくなりますよ。
――ここまでいろいろ聞いてきました。最期に『春時雨』の魅力と、これから始まる単独巡業「磑風舂雨」へ向けて、お願いします。
眞弥 『春時雨』って、スナック菓子で言う惹かれる魅力的なパッケージ。その中を開けたら、己龍の本質である『自惚レテ愛玩』や『贄の筵』『鏖』というジャンキーで病み付きになるお菓子が出てくる。作品に関しては、そんなイメージで捉えてもらえたらなと思います。
武政 巡業に関しては、3月に行ったイベントツアー「均整を乱す抗うは四拍子」を終え、さらに己龍が格好良く進化している頃。その進化した己龍の格好良さを、ぜひ「磑風舂雨」巡業を通して感じてください。
――そういえば、己龍の先輩であるマイドラゴンさんが、4月1日のマイナビBLITZ赤坂公演を持って解散してしまうんですね。
武政 その有終の美を飾るため、今、マイドラの先輩たちは、ダンススタジオで必死に練習に励んでいるみたいですよ。
日和 最期は、華々しく散ろうという気持ちみたいですからね。