Dr.たつき

Vo.春

Gt.さゅら

Ba.LAYHA

──今回のアルバムはメンバーセレクションとのことですが、どのように選曲していったのでしょう?
春:アルバムを出した意図としては、結成9周年を祝う為の作品にしようということだったんです。今年は周年ライヴをしないので、その分アルバムを出そうということになって。だからといって、ベスト盤にするのではなく、ワンマンのセットリストを組むような感覚で選曲していったんです。まず、SCAPEGOATが出してきた全曲の中からこれを入れたいよねってメンバーで話し合ったのと、無料配布や現在では入手困難な曲も入れたら今後のライヴが楽しくなるだろうなということを考えて収録曲を選んでいきました。
──バランスの良い構成となりましたね。それぞれの観点から各曲を解説していただきたいのですが、1曲目は「君を殺して僕も死ぬ(嘘)」となっています。
春:ターニングポイントになった曲なので1曲目に持ってきました。リキッドルームでやったワンマンのタイトルと同じ曲名なのですごく思い出に残っているし、この作品を出した時は自分自身が喉を壊す前だったので、単純にそういった部分での思い入れが強い曲ではありますね。あと、この頃はリリースが相次いでいたというのもあって、衣装が変わるタイミングが早かったなと。ちなみに、この曲の衣装って俺は2回しか着ていないんですよ。なので、今も真っ白なまま綺麗です(笑)。
さゅら:「昏睡」は、ライヴ曲でありながら、聴いて観て楽しんでもらえる曲になったらいいなと思って作っていきました。バンドが年齢を重ねていく中で他のバンドにはない見せ方が出来たと思っています。1人ずつが攻撃的なんだけど内側の感情をより燃やしていく、そんな曲になったんじゃないかなと。
──「サイコな晩餐」はライヴでも人気曲となりましたね?
たつき:リリースしてから結構経っているんですけど、未だにライヴでは欠かせない曲になっていると思います。それこそ、5回ライヴがあったら4回は演奏しているんじゃないかっていう(笑)。この曲、ツアー中に制作していたんですけど、ライヴと制作活動の両立はかなり過酷でしたね。でも、今だったら器用に出来るのかなとは思います。
LAYHA:「流星」は、この次に収録されている「EVERGREEN」を出した辺りで録っていたんですよ。結成2年目でやったロフトワンマンの無料配布だったんですけど、録っていた時の思い出で言うと、今自分が出来ることは全部やろうっていう気持ちだったんですよね。それで、今回新たにミックスし直したんですけど、フレーズとか若いなっていうのを実感しました(笑)。今のSCAPEGOATがあんまり見せていない曲の良さっていうのがギュッと詰まった曲なのかなと思いますね。
春:「EVERGREEN」も僕らの分岐点となる曲だと思うんです。というのも、この曲で初めてPVを撮ったんですね。あとは、結成2年目ということもあり、ライヴでどう観られるかというのをすごく気にしていた時期でもありました。それゆえ、衣装もどれだけ目立てるかっていうのを意識してライヴをやっていたように思います。ただ、曲作りの部分に関して言うと、今とはあまり変わっていないのかなって。その時に想った言葉を歌詞にしているし、内容的にもぶれていないんですよね。その点では、SCAPEGOATをちゃんとやってきているなという感じがします。
──確かに、歌詞を読んでいると、これまでのものが積み重なってきて今につながってきているような気がします。続いての「ゴシック・ナイトメア」はいかがですか?
さゅら:会場限定盤を作ろうということで制作した曲だったんですけど、SCAPEGOATがやりそうでやってこなかった曲というのがテーマでもあったので、いかにもヴィジュアル系っぽいというかドラムがきっかけとなって始まる曲なんですけど、これはやっぱり歌詞を読んでもらいたいなと。今読んでみても春の書く世界観は怖いなって思います(笑)。
たつき:「mad day,Sick rain」もまた、僕らが得意とする闇がかった曲なんですけど、その中でもジメジメとする雰囲気を持った曲だと思ってます。しかも、この曲を出した時は天気にも恵まれていたなぁと。恵まれていたと言っても晴れではなくて雨が続いたっていうことなんですけど、それがまた曲に合っていたんですよね。
春:衣装もレインコートだったんですよ。
LAYHA:あれ、めちゃめちゃ暑くて大変だった(笑)。あと、この曲は、ライヴで雨が降った日には必ずセットリストに入ってた。
たつき:そうそう。でも、野外ライヴの時にこの曲を入れて本当に雨が降ったら困るかな(笑)。
──次の「拒絶」は割と最近の曲になりますね?
春:リキッドルームのワンマンを発表したタイミングで出したんですよね。これが3部作リリースの第1作目となったんですけど、それだけでも大事な曲ではあります。今まではただただシングルを出すといった感じが、それよりももっとパンチのあるものにしたいってメンバーで話していたのをすごく覚えていて。あとは、シングルなんだけど、リード曲というよりかはカップリング曲っぽい曲っていうイメージで制作していったんですよね。それだけにメインにならない毒々しさというのが表現出来たと思っているし、この曲があったからこそ、後に「昏睡」が出来たと思っています。
さゅら:曲の色は全く違うんですけど、「拒絶」と同じように「「君ノ“心臓”ニ恋シテル」でもライヴを中心に考えて曲を作っていった感じがあります。この曲が始まるとお客さんが今でもワーッと盛り上がってくれるので。あとはPVの印象も強いですね。返り血を浴びる等のイメージシーンがあったんですけど、メンバー順番に撮っていく中、最後のたっきーは余ってた血糊を思い切り浴びるという。
たつき:ふふふ(笑)。「Deletion noise」は結成2周年を迎えるにあたり出した曲なんですけど、確かこれオムニバス・アルバムにしか収録されていなかったんですよ。ライヴでもたまにしか披露しない曲ではあったんですけど、今年になってから結構セットリストに入れるようになりましたね。この間のSAVAGEと一緒にやったツアーでも披露したですけど、そういえば当時も彼らと一緒にツアー廻ってこの曲やったなぁって。その点ではすごく込み上げるものがありました。
LAYHA:「scarlet」も初期の頃の楽曲だよね。
春:そう、会場限定盤として出した。
LAYHA:レコーディングの風景をあんまり覚えていないんだよなぁ。でも、覚えているのは、ピアニストさんが現場に来て生のピアノの音を入れてくれたんですよ。今考えるとすごく贅沢だなぁって思いますね。
春:バンドっぽい曲になっていると思います。なにせ、作曲クレジットがSCAPEGOAT表記なので。そして「迷走トワイライト」はこのアルバムの中で唯一の再録となっています。元々、2枚目のシングルに入っている曲なんですけど、激しい曲が多い中でアップテンポの歌モノに仕上がったなと思います。大事な曲でもあるので、今回再録するにあたって各々が原曲の雰囲気を壊すことなくやっていきました。
──「赤いバスルーム」はイベント・ライヴでも積極的に演奏してきた楽曲だけに、知っている人が多い1曲ではありますよね?
さゅら:対バンなどでは欠かせない曲だけに、自分たちの名刺代わりとなる1曲だと思います。でも、その時に作りたいものを作っただけではあるので、後に定番曲となるなんて最初は想像もしていなくて。やればやるほど、みんなを巻き込める曲に育ってきたと思います。
たつき:「告白_時々、雨」を出した頃は主催ツアーを廻っていたんですけど、この曲があったことで濃いライヴが出来たと思います。あと、この曲はデモを聴いた時のことをすごく覚えていて。個人的にバラード曲が欲しいなと思っていた頃にこうした曲がきたので、メンバーもこういうタイミングだって感じてくれていたんだなって思いましたね。今聴いても良い曲だし、僕もカラオケで歌ったことがあります(笑)。
──そして、ラストの曲は「ハルカ・モノクロ」になります。
LAYHA:「迷走トワイライト」とか、そういった歌モノがあったからこそ出来た曲だと思います。この曲は歌詞が本当に良いので、ライヴでやっていても泣いてくれるお客さんが多いんですよ。それだけ、曲の持つ力が大きいんだなぁって。これはほんと、アルバムのラストに入れようというのは満場一致でしたね。
春:今回、ベスト盤ではなくメンバーセレクションにしたというのも良かったなと、出来上がってみて思います。作品を持っている、持っていないに関わらず、単純に聴いて欲しいなって。楽曲を通してSCAPEGOATの変化もわかるし、何よりも、この1枚でライヴが楽しめると思います。
Interview:ERI MIZUTANI